japan-stamp Archive

2010年5月13日(木)

『鑑定委員会』
当ブログに3月2日に、南方占領地の「アンボン郵便局長」のカバーがRPSLの鑑定に「真正品」として通った旨を書きました。ところが、3月4日付で、意外なE-メールがやってきました。
Certificate203231は、正しくなく、結論としては、FAKEであるので、もし現物を送り返してくれれば、別の鑑定書を「無料」で発行するというものです。メールでの連絡であり、RPSLを騙った可能性もあり得ます。ただ、総合的に判断すれば、当ブログを見た誰かが、RPSLの鑑定委員会に影響力を行使して、現品を再確認するのでなく、活字上の情報のみで、違う結論を導き出したということでしょうか。それにしても、オリジナルの鑑定書の発行日は2009年8月19日、半年以上経過しての、客観的な説得力のあるデータも示さないオファーというのは、いかがなものでしょうか。物の真偽という以前に、世界に冠たる「鑑定委員会」の扱いとしては常識に欠けるように思うのです。
このカバーの場合は、元から商品として使うつもりは全く無く、参考の為に持ちたかったものなので、買った時と同じ状態で金庫に入れてます。でも、一般的には6ヶ月経ってのメール一本での訂正連絡というものはマナーとしては納得できる物ではありません。所有者が移動していても何の不思議もないのですから。この件は、私一人で解決できるし、これ以上のアクションを起こすつもりは有りません。でも、別件は深刻です。
昨今継続中の話題は、ヤフー・オークションを舞台にした、主として手彫の大珍品の連続しての出現なのです。具体例の列挙は避けますが、有れば良いなと思うレベルの珍品が、「父の収集品」として、「若い女性」の名前で継続・反復して出品されています。100万円レベルでの落札が、うろ覚えのものだけでも二桁になっていると思います。
全てが、誰も過去に見たことが無く、如何なる文献にも記録が無い、それでいて膨大な蔵出しでない収集品、希少性のみならず、状態も過不足のない完全品です。何点かは、落とした人から詳しくコアな話を聞きましたし、現物にも触ることが出来ました。実際、単独のマテリアルとしては、真正度を疑う情報が出てこない、言葉を変えれば、平成の業師では創りえない物も有るのです。何点かは鑑定に出して、真正品の結果が出ています。
ただ、私の今までのビジネスの経験で言えば、強烈な違和感と不快感を拭い去れないのです。一連の出現の異常性から、誰もが同じ事を思います。かなりの人は頭ごなしに拒否するし、それなりの根拠も色々囀ってくれます。それ以外の人の購入行動も他のルートに出た場合よりも、かなり抑制されてます。「竜5銭ぺルアー貼の角検、距離別時代の適正使用 極美」が100万未満など、本来は有り得ない安値なのです。でも、何物かが悪意で作った物を、金銭目的か、或いは自らの手腕に陶酔した愉快犯かは知りませんが、希少性の落ちる真正のカバーに紛れさせて、ヤフーで流通させているなら、事は重大です。
直近に終わったカバーのセールで、人並みはずれて「勇気があり、行動力に秀でた人」がいて、出品者に質問をぶつけました。ビッドしますが、もし偽物なら返品=返金できますか?です。答えは躊躇無く、イエス。住所も電話番号も分かっている出品者だし、今までに物の受け渡しには問題が無かったやに聞いています。該当の人物の出品物をこれから買うか、既に買った人でも、「日本郵趣連合の鑑定委員会」の鑑定書を付ければ、真正なら安心して所持するか転売も可能だし、偽物ならば返品は出来ると思います。やる価値はあるでしょう。実はこのパターン、数年前に、私が少しお手伝いした、「ヤフーの岡山のリガム」と全く同じケースなのです。岡山のケースでは、10数人の方が返品、中には1年以上経っての物もありましたが、全て受け付けられています。そして、誤解を恐れずに表現するならば、岡山の未使用リガムと東京の手彫の珍品カバーには、同じ人物の息遣いが聞こえてくるのです。出品者のIDも苗字も違うのですが、流通上のあり得べからざるステータスのマテリアルの継続出現では、完全に一致しています。普通のブツには、必ず有るはずのお釣りが全く見当たらないのです。ここらは私流の表現でご容赦願いたいのですが。

2010年5月5日(水)

『応札数ランキング』

連休前に、PA63・MA54の入稿を完了、オークション誌の発送は予定通りの13日の木曜日です。正規の入稿に間に合わず、それでもどうしても今回のセールで処理をしてしまいたかったのが、「収歴70年」のコレクターの遺品の内の膨大な量の文献類、単行本は今回が3回目の出品なので、今までにそこそこ片付いて来てました。でも手付かずの雑誌・定期刊行物・オークション誌がみかん箱で50個ほど有ったのです。これを処理しなければ、列を成す別口のマテリアルにチャレンジが出来ないのです。だから、何とか無理やりに分類して、「ぺラを1枚追加」して、別刷りで特別のADDENDUMセールにしたのです。

Lot6924~6951に、箱詰め=発送時の手間を考えて、30キロを超えないように区分したのです。最大のロットは「関西郵趣」で9箱が1ロット、「郵楽・漫歩」など戦前の雑誌は1箱に満たないので合併して、出来る限り、似つかわしい性質の物をグループ組みしての出品になってます。全て最低値は1箱@1000円均一、勿論この値段では落ちません。状態はパリパリではないのですが、経年相応です。どの文献(オークション誌)がどの程度揃っているかは、想像してもらうしかありません。捨てられない人の所有物ですし、立場上第1号からの完揃いが多いに期待できるのです。ただ、本を書く際に使って戻してないとか、資料として切り抜いたケースもあるのです。これを調べるのは無理なので、それも承知で山を掛けてビッドして下さい。Lot6952は多分戦前の郵便配達夫が使っていた郵便かばんと通信事務送付用の木箱、これは性質が違うのですが、28ロットの箱入り文献は相当な取り合いになるでしょう。このグループで応札数ランキングのベストテンを独占するかもしれません。落としきるのは大変だし、相場は全くないものなので、なめると怪我をしかねません。馬鹿になって放り込むのでなく、賢明な数字でのビッドをお願いしたいのです。

前回のセールの応札数のトップは、メールの表紙、Lot6059だったのです。大仏145円単貼 1種・書留・引受・配達証明=10・35・50・50=料金適正のカバーです。少し解説すれば、数年前に東京の切手商の店頭で、同じあて先の物が@100円で大量に出ていた物の一部でしょう。一瞬、同じものが同時差出で大量にあるかと思ったのですが、鉱区申請のカバーなので、同じ日の複数差出はないはずです。追えるデータで調べても、同じような体裁のものは4~5通はあるのですが、差し出し人と受け取り人名は同じですが、全て年度が違うのです。払い下げ時に纏まって違う年度まで一括に市場に出たので、存在数が誇張して推測されてしまったかもしれません。最初に扱った時は25~30万位ですが、こんなへんな料金体系は作りようがないし、もう別口でも出ないでしょうから、オークションでの反応が見たかったのです。最低値8000円は、出品者の指値です。別に8万に変えても良いのですが、8000円だからこその、メールの表紙に出来るのです。

金曜日の仮締めの時点で、ビッドは13名、2番札の一声上の暫定値が62000、メールの暫定値は、フロアに来る人へのちょっとしたサービスで、Web.を見られる人も全く同じ利便を享受出来るのです。追加も変更も出来るデータなので、2番値の一刻み上の数字は、最低値の合理的な訂正以上の意味は有りません。金曜の正午に締めて、実際の締め切り=翌週火曜日の午前9時までに、多分200人からのビッドが入ります。この内の9割以上が、暫定値のリストを見てのその値段以上でのビッドです。随分とWeb.の情報利用の密度が上達しているし濃くなっています。

このロット、最終的には応札26名、落札値は16万になりました。ビッドの数字も8~9人が15万と15.5万、1番札が16万、見事なまでに集中していたのです。このロットに対しても、フロア会場で配布の印刷物とWeb.で情報が発信されてから、そのデータを元にしてこれだけのビッドが入ってくるのは結構素敵なことでしょう。

そして、私の当ブログ、海外の、それもRoyalPhilatelic Society の鑑定委員会までもが見てくれていて、予想外のメールが送られて来たりするのです。このお話は次回に書きましょう。

2010年3月17日(水)

『観音350円電子菱形』 

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今回のセールでは、カラーマークで注目に値する動きが有りました。何れも10Bなので必ずしも一般的ではないのですが、専門家が欲しがるマテリアルが随分と高いのです。
Lot1112 松20円下A2逆櫛 LH 応札5 落札値135,000、Lot1130 狛犬250円下暫定版濃淡逆順 応札9 落札値220,000、Lot1132 観音350円下コンベンショナル 応札8、落札値 370,000。一時の値段の倍ぐらいですし、嬉しいことに、接近した札が複数続いていました。単片なら逆順やコンベでも、7~8万で喜んで売る位の手持ちの在庫もあるのですが、10Bとなると美品は少なく、それ以上に目打形式と絡んでの需要が強いのでしょう。売る立場としては嬉しくなる良い傾向です。
もっと得をする情報を差し上げましょう。発端は、昨年の11月28日に開催した、弊社のPA61回セールのLot3116、そのアイテムが公式な分類手法で表現され、真正面からの記載でオークションに出たのは初めてでした。
物は、観音350円電子菱形CM下単片、胡散臭い、余計な解説を付けずに、最低値30,000で表紙に掲載、これで必要十分条件は充たされます。結果は応札6 落札130,000、同じ回のLot3114のコンベが、応札4 落札90,000なので、きっちりと評価されていました。ただ、この時点ではビッド(少なくとも強い札)は、記事の情報を信じてくれた下見無しのメールビッドだったのです。この結果に対しては世間的にも、私としても、へ~え~程度の受け止めで、真面目に探せば見つかるかな?でも、一般人が見ても分かるのだろうかで終わっていました。人から教えてもらった知識とはその程度のものなのです。
今回のメールMA53のLot5635の銘10、CM下10Bが正にそれだったのです。札は3人、フロア当日の時点では札は1、だから最低値=暫定値で7,600、ギリギリのタイミングで下見した2人が落とす気でビッドして、2番札が54,000、落札値は56,000だけれど、1番札は倍以上の数字で入ってました。落とした人の許可を得て改めて現物を見ましたが、その気になれば割と簡単に探せます。なぜ今まで出て来なかったかが不思議な位で、この切手に関しては、コンベと柵とワインレッド以外は最初から探す人がいなかったのでしょう。カタログに書かれたり、内輪の情報でも有れば探す術も有るのですが、ゼロからの探索はやる人は少ないのです。
出現時期は、恐らく350円の最後期、糊はロータリーの時代の物、これでコンベ=暫定との区別が完了。色の特徴はさて置いて、30倍のルーペで見れば、スクリーンのセルが明らかに、緻密な正方形でなく、隙間の多い、表現としては言いえて妙の菱形です。数多くの350円を手探りで探すより、360円が正にそのものなので簡単に覚えられるでしょう。念を入れるのなら、スクリーンを測れば良いのです。250線なのですが、コンベ・正方形とセルの角度が違うので、横読みでは1ミリには7でなく、6強の数字になるのです。30倍ルーペを使える人が、このポイントで探し出せば、今なら大いにチャンスは有るでしょう。弊社の場合も、出品者の記載の有無に拘わらず、肉眼で分かる分類は原則として書きますが、ルーペで全ての出品物をチェックすることはやりません。正直なところ、希少性は全く分かってないのです。銘10やCMは結構、色んな時期の物が人知れずに残されている場合がありますから、これから暫くはこのテーマで賑やかになるでしょう。
序でながら、おなじオークションでの、地味な掘り出しをもう1点書きましょう。Lot5012、桜連合4銭ジャワ宛 櫛麻布10.1.1 薄印、これが実は「林式」、下見で見つけた人が教えてくれて、データを確認すれば、OK、薄いけれど希少度はかなりの物でしょう。でも、これだけのアドバンテージを持っていても、意気地なしには落とせないのです。2番札は林式は抜きにして、連合はがきの年賀状でビッドしただろうの人で1万円。一番札はもっと上、下見無し隅から隅までオークション誌の写真を見直して、でもボケボケの写真だけで、読み切ってのビッドでしょう。これはご立派。写真だけでこれだけの情報を収集出来る人が結構弊社のオークション誌を見てくれているのです。記事の方はもっと真剣に読んでくれているのでしょう。これからも文字や写真に現れない部分を含めて、真剣に編集に掛かりましょう。行間を読める人が結構いてくれるはずですから。

2010年3月16日(火)

『オークションのトピックを』
お約束の記事に入る前のイントロで、PA62・MA53のトピックを幾つか書いて置きましょう。まずは、正統派の目玉の2点から。
Lot 3057の大日本郵便切手沿革志 最低値 100万、スタート 125万、落札 155万、メールの1番札が145万、2番札が120万、メールビッドは4人、場でお二人が手を挙げて、メールをクリアで150万、場での2人の競りの更なる一声での155万の落札です。マテリアルとしては、弊社だけでも2年に1回は扱っているし、マーケットトータルでは、年に1点は売り物が出ています。今回の落札者は、一度は持ってみたいという覚悟を決めての、海を渡ってのお越しの方、昨今の相場は120~125万位だけれど、落札値との差は、機会を得て念願のマテリアルを入手出来た喜びが容易に埋めてくれるでしょう。わたくし的には、2番札の150万、メールのトップの145万のビッドが極めて貴重。十二分に留意する価値がある数字なのですよ。
Lot1652U小判2銭貼 那覇ボタ カバー。最低値 30万、スタート 74万、メールは7名 1番札は140万でした。フロアでメールの1番札を一声超えて、145万で落札。コンピュータのシステム上、このケースはビッドの数がプラス1としかカウントされず。実際はフロアでオープンの74万の上で、90万+、100万+、125万+とファイナルの落札者の4人以上のビッドが有りました。ハンマープライスの145万は、赤二のボタのカバーの値段としては、最高記録でしょうか。これも、落札者は、遠路はるばるお越しの、オークションは初めての方、開始前にルールの問合せを戴きました。赤二のボタカバーを熱心に集めていて、これで完集?になるので、覚悟を決めてのお越しでした。このクラスになると、冷静に値踏みしたメールビッドではまず落ちません。仮に予算を超えたとしても、数十年の念願が叶って大満足だと思います。
このカバーは、消印のボタはタイド無、でも全くといって良いほど、真偽は話題に上りませんでした。かなり知れ渡っているお話で、昨年にヤフーで出た、九州の蔵出しやルートの初出しの「薩摩・伊集院・有馬家宛」の一連のカバーの最後の一山だったのです。那覇が5通、宮崎が沢山、鹿児島系も結構有ったようです。弊社に来たのは、本当に最後の最後で、突然、「○○県の△△です。ある人の紹介で・・・。」地名と紹介者のお名前で一発に判りました。先方が用件を切り出す前に、「那覇ボタ?」と聞いていました。ひとしきり話をして、お急ぎでないのなら、オークションが良いですよ、とすすめて、驚くような値段で売れることを約束しました。この結果なら、ご満足戴けるし、紹介者の顔が立つし、先に動いた4通の現所有者もお喜びでしょう。わたしのビジネス上のポイントは、2番札の140万のビッドですが、この需要を充たすのは容易でないかも知れません。チャンスがあれば、具体的には、おなじ山のカバーを2通持ってる人が、賢明に判断して1通を出すならば、いつでもお手伝いできるのですが、その確率は低そうです。
この2点は、ある意味、想定の範囲での動きであり、驚きネタでは有りません。でも、メールオークションの方で結構なドラマが有ったのです。

2010年3月2日(火)

『アンボン郵便局長印加刷切手』 

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半年程前にここに書いた、蘭印旧女王121/2C封皮に航空30C、各アンボン郵便局長印加刷貼りのカバーのThe Royal Philatelic Society の鑑定結果が出ました。Philatelic Useの注記はありますが、間違いなく真正の結論です。
このカバー自体は、かのR.Boekemaのセールで随分と立派な値段で売られた記録があり、時を経て私の手元に来ています。何せ、 日専からは、全てが偽造として追放されており、それを検証できる資料も明瞭には示されてはおりません。私としても、あわよくばというよりも、もしかしての確認の意味で入手して、恐らくは世界で最も信用できる機関の判断を仰いだのです。このケースに於いては、RoyalのGenuineの結論が全てであり、否定するならば、説得力のある資料を開示していただきたいと思います。
日専からの追放の詳細は存じませんが、「日専」を読み解く「南方占領地」P123を読む限り、土屋理義氏が判断されたと推測されます。・・・現在ではこの加刷切手は、アンボン郵便局長の鄭忠孝が戦後になって作った偽造品であることが確定している。・・・とあります。偽物として同書に示されたのは赤加刷、私のカバーは黒加刷ですし、消印の印象も異なります。また、カバー上には鄭局長の名前も出ていません。出所が全く違うのなら、100余種の偽物の他に、少数の真正加刷が存在して、郵趣家便が残っているという位置づけになるのでしょうか。次回の日専・日本関連地域編の訂正されての採録を待ちたいと思います。
このカバーがきっかけ、という訳でもないのですが、オークショニアという立場の役得で、一般の世間の常識では情報不足ゆえに、色眼鏡で見られている郵趣マテリアルに関しても、真正さを証明するのに、結構説得力の有るデータを持っている場合があるのです。画像に出す資料を見つけるのは手間が掛かるので、オボロゲ記憶を文章で表現するしかないのですが、ちょっと書いて見ましょうか。理屈で考えれば、真正性には絶対に自信は有るのですが、説得力の有る資料を提示出来ていないマテリアル・・だから時として随分冷たい扱いをされることものです。オークションの出品物として来たならば、料理の仕様も有るし、現実には私以上にコレクター的なセンスで、飛び込める人達も複数います。
更には、もし持っているなら見せてよと、一声掛ければ、きっちり持って来てくれる人もいますから、最大限に敬意を表して幾つかの情報を出しましょう。
SPECIMEN+ULTRAMAR=UPU見本、消印では年2字SEOUL(局名下)IJPO逆向き・JN3上海日本郵便局、実際に私が扱った物なのですが、ちょっと時期尚早という評価になっているのです。「20銭リ」は、私の感性では、2枚目云々でなく、1枚目で挙証責任を果たせている、でも2枚目や、連れが有って始めて陽の目を見られるケースも多いのでそこらを書いていきましょう。

2010年2月4日(木)

『現行切手即売』
第62回フロア他の3月のオークション誌の入稿が完了、12日に確実に発送できます。ちょっと時間が出来たので、次の即売品の整理に掛かっています。バザールの目玉は、現行切手の銘10、相当なボリュームで新規商品をお見せできます。
郵趣の2月号の現行切手シートの即売広告にも、予想以上の反応が来ています。10Bでなく、シートなので、ちょっと足が遅いかなと思っていたのですが、オークションでの10Bの落札データを基準にすれば、大いに割安感があるのでしょうか、高い物からかなりの勢いで売れています。中には現品限りの物も有りますが、大部分は10Bをベースにオークションでも後日ご案内できると思います。こちらは色々準備が必要なので、長期の仕事になるでしょう 。
11月のバザールと、2月の郵趣の広告に引続き、銘柄を変えて、シートの即売をゲリラ的にやりましょう。最初は2月13日(土)の「オール関西 郵趣家のつどい」・関西郵趣連盟主催=13時30分から16時30分まで、大阪駅前第三ビル17階で開催されます。
その次が、2月21日(日)、弊社オークションの東京下見会、目白の切手の博物館で、下見の時間中に行います。
何れも、全て新規商品で、目打形式をベースにしたシート限定です。郵趣の広告の値段を基準にして、ありふれたオシドリ5円なら@2000円、桜10円なら@3000円程度になる予定です。おおもとの出所が、著名な目打形式に力を入れた製造面バラエティーの収集家の物なので、非常に歩留まりが高いのです。まだ、細かくは見ていませんが、CMでは、50円緑は圧倒的にコンベが多く、200円赤は、電子よりも暫定の方が多いような初期に強い内容です。松20円のA1や、逆櫛A2と思えるものも見つかってます。
今回のシートの即売は、目打形式ではまず見落としはないし、1次円単位のスクリーンも調べています。ただ、版は殆ど手付かずなので、それに価値を見出せる方には絶好のハンティングの機会になるでしょう。シートで売りに出しても、残れば10Bと額割れにしてしまうので、興味をお持ちの方は、是非チャレンジして下さい。この2回の機会なら、競争相手も少ないと思いますから。

2009年11月25日(水)

『現行切手』
この程、数年越しの交渉の結果、「知る人ぞ知る・現行切手・目打形式」の膨大なボリュームのコレクションの処分の依頼を受けました。アルバム、ファイル、特注のバインダーから切手をはずして、セロケースに移す作業だけでも数日間かけましたが、著に付いたばかりであり、全貌は殆ど確認できておりません。長期に渡り、あらゆる手段を用いての売り立てになりますが、量も半端でなく、内容も空前絶後と言って大げさでは有りません。1次円単位は発行初日からライブで集め、末は国立銘まで入ってます。ただ、分類手法は昔のままで、目打形式をメインにして、糊と紙を組み合わせての収集です。切手の保存にはブロック、単片でもマウントは一切使わず、古いところはグラシン紙を折り曲げて保存、4次R次以降は、4角をヒンジで貼ってます。今の30倍ルーペの知識で言えばちょっとはズレが有るのですが、目視できる糊・紙違いで異種を集めることにより、結果としてのスクリーン線数違いも集まっているのです。
円覚寺30円の普通全型を発見して、当時お付き合いの有った方に額面で分譲され、巡り巡って、私が今までに扱った関西の大御所中心の4~5点は全部この人の物が出所です。極美のシートも残ってました。スクリーンも定量の数値で集めてはいないはずですが、桜10円逆櫛180線、弥勒50円逆櫛200線も有るのです。正一連1はオシドリ、桜は当然あり、南天は非常に微妙です。4段抜けは充実しており、連柵は抜け段違いで集め、横波と正四(逆四も)も良く揃ってます。ここらの目玉は数が限定されており、慎重に値付け致しますから、売りにだすのはまだまだ先になるでしょう。ただ、確実に無かったのが、新藤と松の正二連1、オシドリ3版、八橋の定変です。CMも、熱心な分類手法ではないのですが、出現初期から集められており、350円のコンベ、各額面の暫定、複合などが相当量入ってました。何れ基本パターンで分類して即売でご案内出来るでしょう。
今回の第24回大阪駅前第三ビルバザールでも、大急ぎで値付けした分を特価で提供いたします。初日の土曜日は、「シート」限定です。青風神90円は20万、平等院30円は15万、1円普全は5万、松20円下全6は3万、貝4円CM淡は1万、オシドリ5円、桜10円の平凡品は@2000です。4次R次、慶弔、財務省のシートは、殆どが額面売りになってます。CM付も画像80円、イヌワシ90円、棟飾り150円あたりで額面の1000円増しです。シート故に割安の値段設定になってます。
「銘付10B・CM付10B」は2日目の日曜日に店頭に出します。即売値としてはかなりのお買い得値になってます。量は相当なボリュームで、全てが即売に出すのは始めての初心い商品です。ヒンジ跡有りも含んでますし、ルーペも自由に使っていただいて構いませんが、全部を見切るには相当な時間と根気が必要です。混雑回避の為に、両日ともに開場は10時厳守です。取り置き、予約、業者割引は一切適用いたしません。同じルートでの新入荷の記念切手、PR・ふみの日・緑化のシートの額面売りも大幅に増やしました。こちらも楽しんで頂けるでしょう。

2009年11月17日(火)

『国際切手展規格 展示用アルバムリーフ 完成しました』 

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第61回フロア(通算112号)にてお知らせしました、上記アルバムリーフが入荷しました。店頭でご覧いただけますし、通販でもお求めいただけます。
10年程前に、FRANKGODDEN社に委託して大英博物館仕様の中性紙=斤量約200~220キロで特注のサイズで製作しておりましたリーフは、品切れになり、再発注をしたものの先方の経営上の都合で同一の紙が入手不可能になっておりました。
仕様は230ミリx289ミリ 角丸 パンチ孔無 ホワイト(極淡いクリーム色) 片面方眼(3・5mm)印刷 逆面無地 中性紙で、展示目的限定のリーフの為、適応するバインダーはございません。 この程、国内の製紙メーカーに調査を依頼したところ、希望に合致した良く似た紙質の物が見つかりました。「竹尾」の「ロベール」で色目の呼称は「ホワイト」=実際は淡いクリーム色、四六判、Y目、斤量180KG、中性紙です。FRANKGODDENの物よりは若干薄く、色も並べるとほんの僅かにクリームが掛かっております。それ以外の仕様は前回の物と全て共通です。色合いと厚みが微妙に異なりますから、併用はお勧めしませんが、印刷機での対応は以前よりは容易になっております。
価格は、100枚4000円・保護ラップはOPP#50で100枚500円(この分だけの別売りも可能です)、送料は数量に拘らず500円(お持ち帰りなら無料)です。サンプル=保護ラップ付は、送料共で200円です。店頭に常時在庫しておりますし、全て国内で手配できますので品切れのご心配は無用です。オークションの下見、大阪駅前第三ビルバザールの際にお申込下さい。

2009年10月22日(木)

『伝説の男になれなかった』 

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10月18日(日)の東京下見会の会場では、3人から声が掛かり、19日(月)には別の3人から画像つきのメールが来ていました。昨日あたりでは、まだ進行中で取引が未完了、チョッカイが入る可能性が有ったのですが、どこからも、その後の連絡も無いので取引自体は恙無く確定したのでしょう。
物は「改色20銭リ」、18日深夜終了のE-bayに出品されて、話題になる値段で落札になりました。現時点では、出品者の素性も聞けておらず、落札者の本来のIDも判っておりません。画像でもステータスは良くわかり、当然ながら、ポーラス・9s・鹿児島ボタ=印の外枠に滲み有り・柱の6~7の秘符が有り、彫り手の特徴とも言える、「チ」よりもやや短めの桜の花芯の癖も、1991年1月27日に出現した1枚目とピッタリ一致しています。物の真偽自体は、最初に出た時から、現物を見せた誰もが、本物に違いない、ただもう一枚出て欲しいなと言っていた、おとぎ話が実現したのです。 私の場合は、時満ちるまで17年掛かりましたが、今年の7月14日に切手の博物館の、7月28日に日本郵趣連合の鑑定で「真正」の結果を貰ってます。今回の物も、当然ながら議論の余地無く「真正」の結論になるはずです。無責任な雀が、数ヶ月前から皆が知っていたお話と囀っていたやに聞きましたが、それはガセネタ、出現の流れとその後の私が得られた情報の雰囲気では、正にびっくり仰天のE-bayでの掘り出し話と見て良いでしょう。
日曜日の深夜の終了、午前中~が弊社の東京下見会、このタイミングで、山口充さんが遠からず「JPS田沢菊切手部会報」に載せる予定原稿をくれました。的確な表現ですし、事実を公に周知する文章としては完璧な出来栄えです。オークションの結果という公知の事実を活字にするのであって、影響を受ける人がいる可能性は有っても、公表すること自体は何らの問題もないと思います。下世話な話で、落札額をオープンにすることに抵抗を感じる人もいるやも知れませんが、隠しおおせるものでもないでしょう。2番札$50000の上で、$50100の落札です。
貰ったメールの中で、「負けました。伝説の男になれなかった。」というのが有って、彼が$50000の札を入れたのです。グロスの数字の5万ドル=450万円はそれなりに良い値段では有りますが、私の感覚では、メチャヤス!朝一に情報を貰った人との間でも、10万ドルは誰も絶対に入れないけど、5万なら微妙、それにコレクションにするのでなく、落とせば100%弊社に扱いを一任で売るつもりだったとのことでした。山口さんの記事で落ちた値段を知った時点で、5万で負けたな、は読めてました。本来ならば、ビッドの前に連絡が有ったら、相手をノーリスクにして、その上で落としきる数字を教えられたはずですがE-bay、ヤフーの場合は止むを得ないのです。誰もが自分しか見ていないことを期待してやってますから。
5万ドル≒500万がMaxは心理的にもよく判ります。最初の1枚を見つけた時の私の競って負けて降りるつもりの値段がピッタリこの数字でしたから。あの時は自分でビッドが出来るし、相手の顔も見えるという好条件、でも絶対的にas isであって、誰も保証はしてくれません。ただ、現物を手にして、ステータスを納得できれば勝負できる数字なのです。今度の2枚目は、耄碌した爺さんならば無理でしょうが、普通に情報を持っていて、冷静に事実を分析できる人ならば、真偽で迷う必要は無いマテリアルです。コンディションの怖さは有っても、表つらが良ければ後は何とでもなるのです。でも、1000万にはなり得ません。耳学問ですが、売れるであろう値段を1000万と読みますから。
手彫の珍品の御三家と対比して「リ」を分析しましょうか。政府印刷20銭縞は20数枚有る、「リ」の立ち位置は、秋田調⑩か、真っ赤なマ23号に匹敵するでしょう。20銭イは墨点なので、正規発売の「リ」の方が下になることはなく、数比べでも劣後しません。だから結論としては、玉六ヨ、しかもその内の白抜十字消とイーブンかなと思ってます。今度の物は、数箇所裂けの雰囲気も有るのですが、カナ「リ」が見えるのが素敵です。私自身は存在が2よりは1の方が価値があると思いますが、複数出て来て戸籍が付いた方が、日本切手完集を目指す人の需要が起きるので業界にとっては明るい話題と言えるでしょう。
さて、1枚目の居場所ですが、鑑定に通ったことを殆どしゃべってないからですが、皆さん露骨には聞いてこないけど、結構気にしてくれるのです。2枚目が出たから、真正と認められ、1枚目も大手を振って表に出せるので良かったねが、Aパターン、物の良し悪しは既に勝負が付いていることが前提で、2枚目が出てきて価値が落ちてご愁傷様が、Bパターン。ただこのカテゴリーはアマチュアに対するものなのです。こちらは遊びで切手を弄ってる訳では有りません。17年掛かったのは、時の流れが自分に向くのを待っていただけ、条件が充たされれば、動くのに躊躇はしないのです。2組織の後の鑑定書が届いたのが7月末のこと。2枚目が出現するまでに2ヶ月強の日が経ってます。必要条件が先にあって、十分条件を得るためになら、17年は平気で待てるのです。最後のピースが揃ったなら、プロは躊躇はいたしません。無為に2ヶ月を虚ろに浪費はしませんし、ディールには2日の時間も要りません。2分で決着を付けますから。
さて2枚目、どうなるのでしょう。何れは詳しい情報も入るでしょうが、弄って見たい気は大いに有るのです。「伝説の男」が誰にも知られずに誕生していたら、きっちりケリを付ける自信が有ったのですが、今はちょっと未確定な要素がクリアできてないのです。昨年の11月の郵趣に1ページの記事を書きました。書き飛ばしていたら2ページ強になったので前と後ろをカットしたのです。プロローグは、「リ」の少し前に、スイスの不足税切手で、新発見が見つかって、デーヴィド・フェルドマンのオークションで2~3億円で売れた話、それに比べて日本切手は一桁安いかなという切り口です。プロローグは有名な逸話だし、古屋厚一さんの世界珍品切手物語=英領ギアナ1C(世界で最も高価な切手)の詳しく書かれているエピソードです。所持していた当時に、アーサー・ハインドが2枚目を手に入れて、金を払った後で、葉巻で燃やして「これで英領ギアナ1セント切手は1枚しかない」と言ったのです。だから、私の「リ」の記事の本来の末尾は「もし2枚目が現れたなら、それを破って捨てるかも・・」だったのです。残念ながら、この伝説を作りうるワンチャンスも既に消え去ってしまったのです。

2009年8月8日(土)

『韓国と台湾と』 

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去年から今年にかけてのオークションシーンでの話題の一つは、釜山(鎮海)の李昌性さん。著名な収集家宛のカバーがトラック一杯、ソウルの切手商の手元に来たのです。マジで丸ごと弊社へ出品という話も有ったのですが、戯れに出品したE-Bayが燃え上がり、後はご存知の通りです。でも、E-bay経由とソウルと東京で動いた物を含めて、10人以上から弊社に出品物が来ています。もし弊社にストレートに来ていれば、表に出すのは100分の1、後は剥がすか煮潰してしまったでしょう。その方が平和だったかも。AOPUの重量便とか、私製エログラムなど、収集家でないと使わない使用例が雑多な売り方がされているのが残念でなりません。
この口は私とすれば過去の事、今更どうにもなりません。ただ、別口の台湾からの山の方が現在進行形だし、まだまだ続くので将来的に面白みが有るのです。ここ数回、現地のディーラーから、素晴らしいマテリアルが届いてます。台湾楠公使用済や第十三軍事は、流石に次は来ないでしょうが、台湾速達や、航空便、旧植民地宛の例外料金、第一地帯宛の航空便というテーマでは、早い者勝ちでなく、選んで買えるよ、の状態になって来るかも知れません。現状では、1回のセールにEMSがひとつ来る程度ですが、中身は中々に魅力的なのです。台湾ヤケは、やむを得ないと我慢してもらうしかありません。
相手はプロだし、JAPEXにも毎年来ていますから、それなりに日本物の知識も持ってます。ただ、オークションの出品物としての際どい値付けは、彼の場合は無理なのです。完全なリストなしの最低値一任なら、こちらのアレンジで綺麗な並びに出来るのですが、全部記事と値段付、必要なら訂正は差し支えなしというスタンスです。状態で不十分な物とかは遠慮なく直しますが、物が見たままのものならば、最低値の修正は殆どのケースではやりません。オークションだから、最終的にはビッドする人が決めてくれる。オークショニアはその為の必要な情報を提供すれば良いというのが私の基本的な考えですから。
Lot2527 台湾速達郵便区市外30キロ超4キロ加算25銭
最低値22万は出品者の記載です。直感では他の物とのバランスでは大分高いと思うのですが、この実例は記憶に無いし、現地のプロの評価を認めて罰は当たらないでしょう。判っている人しか買えない値段ですし。
Lot2543 日本平24円、きじ16円貼航空便台湾宛
最低値1000円、日本平が表へゲ、消印が和文、全体に薄汚れ・・でも希少性と人気を加味すれば、10万円でも黙って載せたと思います。最低値を上げても怒られないけれど、出品者の記事と値段のままで書いて、オークショニアのメッセージは、チョイスして裏表紙に載せているということで十分に理解してくれると思うのですが。最低値にも色んなケースが有るのですがその解説は個別にはいたしません。