2010年3月2日(火)

『アンボン郵便局長印加刷切手』 

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半年程前にここに書いた、蘭印旧女王121/2C封皮に航空30C、各アンボン郵便局長印加刷貼りのカバーのThe Royal Philatelic Society の鑑定結果が出ました。Philatelic Useの注記はありますが、間違いなく真正の結論です。
このカバー自体は、かのR.Boekemaのセールで随分と立派な値段で売られた記録があり、時を経て私の手元に来ています。何せ、 日専からは、全てが偽造として追放されており、それを検証できる資料も明瞭には示されてはおりません。私としても、あわよくばというよりも、もしかしての確認の意味で入手して、恐らくは世界で最も信用できる機関の判断を仰いだのです。このケースに於いては、RoyalのGenuineの結論が全てであり、否定するならば、説得力のある資料を開示していただきたいと思います。
日専からの追放の詳細は存じませんが、「日専」を読み解く「南方占領地」P123を読む限り、土屋理義氏が判断されたと推測されます。・・・現在ではこの加刷切手は、アンボン郵便局長の鄭忠孝が戦後になって作った偽造品であることが確定している。・・・とあります。偽物として同書に示されたのは赤加刷、私のカバーは黒加刷ですし、消印の印象も異なります。また、カバー上には鄭局長の名前も出ていません。出所が全く違うのなら、100余種の偽物の他に、少数の真正加刷が存在して、郵趣家便が残っているという位置づけになるのでしょうか。次回の日専・日本関連地域編の訂正されての採録を待ちたいと思います。
このカバーがきっかけ、という訳でもないのですが、オークショニアという立場の役得で、一般の世間の常識では情報不足ゆえに、色眼鏡で見られている郵趣マテリアルに関しても、真正さを証明するのに、結構説得力の有るデータを持っている場合があるのです。画像に出す資料を見つけるのは手間が掛かるので、オボロゲ記憶を文章で表現するしかないのですが、ちょっと書いて見ましょうか。理屈で考えれば、真正性には絶対に自信は有るのですが、説得力の有る資料を提示出来ていないマテリアル・・だから時として随分冷たい扱いをされることものです。オークションの出品物として来たならば、料理の仕様も有るし、現実には私以上にコレクター的なセンスで、飛び込める人達も複数います。
更には、もし持っているなら見せてよと、一声掛ければ、きっちり持って来てくれる人もいますから、最大限に敬意を表して幾つかの情報を出しましょう。
SPECIMEN+ULTRAMAR=UPU見本、消印では年2字SEOUL(局名下)IJPO逆向き・JN3上海日本郵便局、実際に私が扱った物なのですが、ちょっと時期尚早という評価になっているのです。「20銭リ」は、私の感性では、2枚目云々でなく、1枚目で挙証責任を果たせている、でも2枚目や、連れが有って始めて陽の目を見られるケースも多いのでそこらを書いていきましょう。