月別アーカイブ: 8月 2025

業務連絡

オークションが近づいて来ました。幾つかホットな情報を載せておきます。

Lot 1662 南京書信館発のカバー 識者からのご指摘が有り、船のデータが合わないとの事。W.D.にします。

Lot  2104 鑑定書の表現に齟齬が有りました。鑑定の依頼者は、支那加刷旧毛3銭単線12使用済の加刷・目打・消印の真偽に対しての判断を求めたそうです。4月5日付の鑑定書ではOC39Aは真正ですの表現です。この番号は、支那加刷旧毛3銭の最初期毛紙の番号で有り、目打12とは繋がらないのです。オークションへの出品者の意志とすれば、鑑定依頼時に目打12と特記しており、鑑定書の表現が【真正です】には、加刷・目打・消印全てが含まれると受け取られたそうです。鑑定者の意図もそれで正しいとの事です。

加えて、オークションへの出品記事にも、単線12の使用済はユニーク・・的な表現がされていました。カタログでは確かにuですが、オークションで記事化する際には私はこの手の定量表現を好みません。他に有っても知られていないだけのケースがままあるし、定量の希少性はコレクションの説明や、ご自分が署名入りで論文を書く際には大いに自慢しても良いのですが、オークショニアの口を使って、あたかも希少性の高さを誇張する手段に用いるという考えには与したく無いのです。普通は全部無視ですが、余程の説得力があるデータが有るのなら、どの文献によれば何点確認されているという表現を取る場合も有りますが、それですら納得している訳では有りません。現存何点と書いても、オークションでの結果が良くなる可能性は皆無ですから。この表現は、国際切手展の知識の表現手法として、審査基準なる物を妄信している人に於いてのみ有効な情報だと思います。私は軽蔑してますし、何らの敬意も払いません。物の実際の存在枚数を定量の数字でfixして表示するなど怖くてやれません。判る訳は有りませんから。

もう一つは、最近の日本の鑑定機関の場合、恐らくはやらないでしょうが、昔は鑑定要因を区分けして、1点のマテリアルに要素を割って、複数のペーパーを出していた事が有ったのです。加刷は真正で1枚、消印が偽で1枚、オークションへの出品でも、切手展での展示でも、自分に有利な物のみを出すみたいなケースも有りました。今度の件は、今年の鑑定なので、まさかこの手の小細工は無いと思ったのですが、オークショニアとしての判断で、鑑定書に表現された情報のみをかみ砕いて書き直したのです。OC39Aは、支那加刷3銭最初期毛紙としては真正です。目打と消印の真偽にはコメントが有りません。でも、それなりに切手を扱っている人なので、何故単線12に触れていないのか大いに疑問に思いました。このペーパーの表現は有り得ないので、鑑定委員会にクレームを付けるようにアドバイスしたのです。

結論を書いてしまえば、ちょっとした行き違いが有ったのです。依頼人には鑑定書を受け取った際にクレームを付けなかったこと以外には落ち度は有りません。鑑定者も加刷・目打・消印共に真正と判断したから、【OC39A】真正ですのメモを事務局に渡したそうです。おそらく目打・使用済の表現を書いてなかったかと思います。出来上がったペーパーの表現はチェックする様にはなってなかったのでしょう。以後は慎重にチェックするとのコメントを貰っています。リクエストして8月16日付で差し替え完了です。勿論、使用済はユニークとの表現は見出せません。もしこちらの鑑定書が出品時について来ていたら、ビジュアル日専使用済uと書いたかも知れません。無意味なのですが、強ち喧嘩をする必要も有りませんから。カタログの表記が微妙なのです。最新版のビジュアル日専では、OC39に統一して、サブバラエティーには記号も与えていません。以前は紙質を分類して39Aなら最初期でした。更にその前は、目打にも記号を付けていたのです。即ち、OC39Aaが単線12なのです。この件は、誰もが見落としていた要素です。再交付のぺーパーにはOC39で、目打12と使用済を言葉で付記されておりこれで完結です。私がちょっと変に拘り過ぎたのかなと反省しています。この件では、悪意の存在は無かったのですから。

業務連絡

超ホットな情報です。本日からアメリカ宛の郵便物の引き受けがかなり制限されるようになりました。勿論、トランプ関税のせいですが、商業取引される物品には原則15%がアメリカに輸入される際に課税されます。実務の詳細は不明ですが、他国もアメリカ宛の小包・EMS等の引き受けを停止しており、今回のJPの判断は極めて真っ当だと思います。キング・トランプは関税の意味を理解していないのでしょう。例えば自動車の対米輸出の場合、製造元が値引きして関税分を被っているのでしょうが、これはイレギュラーで有り、15%の支払い義務者は輸入者です。弊社の今回のオークションでも、5名以上のアメリカの方が数千ドル以上のビッドをされており米国内に送れば15%課税されます。幸い、取引頻度の高い方だし全員とメールでの遣り取りが出来るので発送する前に先方のご意思を確認致します。現時点では何をすべきかは見えて来ないのです。だれも15%の関税には納得しないと思います。

JPのEMSは暫くは使えません。代替としてFedEXが有るのですが、運賃の値段は滅茶高だし、15%の関税も免除されません。海外のオークションハウスの場合、高確率でFedEXで送られてくるので、大分前に発送に関して可能かどうかを正式に問い合わせたのです。公式の返事を貰ったのですが、収集用の郵便切手や書画骨董、貴金属はFedEXとしては受け付けない、このルールは本邦のみでなく世界中共通であると明言されました。実際に、海外から当たり前の如く届くし、当然ながら正規に郵便切手でデクレアして、法律の定め通り消費税を払っていると言ったのですが、その答えは引き受けた担当者が間違えたが便宜上扱ったという物でした。だから、私が今回のセールの落札品をFedEXでHS97:04の郵便切手として保険付きで送ろうとしても受け付けてくれないのです。この矛盾を解くには説明にちょっと時間がかかるのです。結構面白いのでオークションが終わった後で書きましょう。キーワードは、【MAGNOLIA】アメリカの独立系石油会社のCEOだった人との取引ではやれていたのです。でもこの時代のディールに関わった人たちは、皆さん、鬼籍に入ったか認知症で施設入り、思い出は沢山有るのですが随分と際どい商売をやったことも有りました。

 

デミニミス 

アメリカの所謂、トランプ関税に関して、デミニミス待遇が2025年8月29日午前01分に廃止されます。従来はアメリカ向けの輸出に関して、US$800以下の場合、関税等が賦課されずに輸入されていた優遇措置が無くなります。特に郵便で送付する貨物に関しては、日本郵便からは実務に関しての詳細なレポートは出ていないと思います。本邦から米国宛の輸出貨物に関しては、何らの優遇措置は取られないと思います。貨物の場合は、HSコードの記載が義務付けられ、恐らくは申告額の15%の関税が徴収される事になりそうです。郵便の場合、貨物以外の信書やドキュメント等、経済的な価値を有さない物の扱いがどうなるかが大問題なのですが、現時点では誰もご存じないようです。現在でも、郵便切手に対して、税金が課される国が有り、イスラエル、中国はかなり高く、イギリスを含むヨーロッパ諸国とシンガポールでも課税されておりました。弊社のオークションでの落札品でも、日本渡しや、伝手を辿って、海外での手渡しなどの手段を取った事も有りました。香港、台湾とアメリカへは実質無税で輸出できていたのですが、今後は厳格にやらねばならないでしょう。オークショニアのスタンスとすれば、ビッダーさんの利益を図るのは当然なので、先方のご希望には応えるものの、リスクを取る事は出来ないのです。差し向きは、やり方を変えるのはアメリカだけでしょうが、世界のオークションマーケットにとっても影響は出てくると思います。今のイギリスでは、曾てのメジャーオークションハウスが全て消えましたが、最大の要因は、VATがきつくて、イギリス国外の出品者が皆逃げてしまったからだと思います。今後のアメリカの郵趣マーケットに於いて、輸入時に15%かかるとなると最早ディールは成り立たず、イギリスと同じようにビジネス自体が廃れることを恐れます。今までは、ちょっとしたテクニックを使えば、数十万ドルのコレクションでも無税でアメリカのオークションハウスに出品出来たのですが、今後は怖くてやれません。イスラエルの税関は、モサドが入っているので、騙しは一切効かないのですが、元からアバウトなアメリカの場合はどうでしょうか。輸入される全ての貨物の課税手続きを厳格に洩れなくやるのは、能力的に絶対に無理だと思うのです。良い話しでは無いのですが、注意深く滞りなく作業をせねばなりません。今度の弊社の8月末のセールでも、アメリカへ送らねばならない落札品が有ると思います。当分の間は、送る前に先方の希望を聞かねばなりません。さあ、どうなるかは今は全く読めないのです。

99.9%

一般的な切手収集家の目的は、判りやすい目安で言えば、今ならばボストーク1巻、昔ならば銀座スタンプ倶楽部の図入りアルバムの完集でしょうか。カタログで言えば組合のメインナンバーを未使用で揃える事を目指されるのです。勿論、それは義務で無くお遊びなので、先立つ物とのご相談で身の丈に合った楽しみで無いといけないでしょう。完璧に目的を果たすのは大変なのですが、それは大部分は金銭的な意味合いに於いてです。値段問わずと言わずとも、現状のマーケットならば弊社のオークションを使ってくれれば金銭の制限がないという条件で、1年で99.9%は揃うと思います。ご出品に関してなら1年間でほぼ完集になる物が出て来てますし、ビジネス的にも良いバランスだったのです。ところが昨今は完全にこの需給比率が壊れています。5月以降で明らかに5~6組のコンプリ狙いだったはずのコレクションが手元に来ているのです。買い取りと出品がほぼ半々です。お一人は1点を除いて完集、行くとこまで行きついたので、最近は古い高価なシートを随分と買ってくれていたオークションでのお客さんです。予告も無く、突然に全部売りたいと大箱で送ってくれていて、買い取りよりもオークションの方が絶対に高いので、私の判断で8月のセールから出品を始めました。欠けていた1点は、洋桜30銭ブッチで、これのみが使用済だったのです。弊社でも未使用を多分3枚は扱っているのですが、タイミングが合わずだったのでしょう。他の5名の方も、この切手に関しては、完璧に一致、未使用抜けで使用済が入っていました。

未使用限定でのコンプリ狙いなら、30銭ブッチに次ぐ難物は、青島軍事と不発行4種完です。要支払額は無視して論じますが、数か月前に弊社が即売で売った青島は即座に8点が完売でしたし、不発行もオークションに於いてはセットでもバラでも、不落札になった記憶が有りません。需要が供給を上回っているのです。次いで、キーになるのは、和桜20銭ロ・ハ、1銭ブッチ、洋桜赤4銭イ、支那字毛紙10円、電信でしょうか。でも、ここらは状態がショボい物はオークションでも残ることが有るのです。ここで列挙したのはカタログのメインナンバーで、未使用特化のコレクターの強い需要が有る物です。改色6銭ラ、10銭ホ、鳥12銭ハあたりは、使用済で代用出来てしまうのです。

オークションで何が売れますか、とよく聞かれるのですが、いつも同じ答えをしています。ひねくれているのでなく、絶対の真理が有るのです。経済学の論理通りに需要が供給を上回る物が売れるのです。電信の未使用、かつお釣り、坂東、久米島あたりです。レベルを上げれば、国防献金、青島、20銭ロ・ハ、支那字毛紙5円・10円に繋がります。売り物が1年に1~2回出るのなら、オークションのビジネスとしては良い感じで流れるのですが、今は完全に売り物が溢れてしまっているのです。有難いのですが、このクラスは同じ回には並べないので掲載をお待ち願う場合も有るのです。偶然なのですが、かつお釣り2タイプ、台湾数字の不発行2タイプ、青島使用済2タイプ可読辺りまで、複数の方からの出品物として来ていますので要調整です。

数年前から地方の業者さんに頼まれている仕事が有るのです。お金が使える人で、組合カタログ完集を目指している。但し状態に関しての要求が厳しいので手に負えなくなっているとの事で、協力を頼まれました。お客さんに売る値段は基本的にフル型なので、業者さんは私から、型価の7~8割で買ってくれるのです。物さえあればいい顧客さんなのでかなり頑張りました。綺麗な物という条件はOKですが、全部がNHでは無理なのです。電信からスタートして、これは沿革志剥がしのNGで納得させました。兎も角、センターと目打への要求が厳しいのです。竜銭は2銭・5銭は綺麗な物が有るのですが、半銭は20枚程送って抜いて貰いました。要るか要らないがハッキリしている相手なのでクールに対応できるのです。青島の8枚ブロックを切った時も、要りますかのオファーをしたのですが、カラーコピーでは嫌で現物を見たいとのリクエストになりました。ちょっと時間が掛かりそうなのだし、人を挟んでの値段の交渉も面倒なのでお断りしたのです。これは他の方に売れますから。国防献金はオークションでの落札相場が基準なので型価以上で買ってくれたのですが、困難さを抜きにして全てを極美でのリクエストなので簡単では有りません。20銭ロ・ハは、センターを理由に4回蹴られてます。相場通りの割安値ではダメなのです。残りは30銭ブッチを含めて3枚になりました。問わず語りで聞いたのですが、完集した後は直ぐに売るつもりです。それも、弊社のオークションでと決めているそうです。良い値段で買って貰っている物も有りますが、状態は妥協無しに拘った一級品です、多分、歩留まりは高いと思います。30銭ブッチの極美品、果たして幾らで買って貰えるのでしょうか。

大ⅢK1元山津郵便局

前回の続きをお見せします。日韓コンビネーションカバーです。菊に於いては超目玉なので、まめな方は全てのデータを押さえておられていると思います。この2点は既知なのか、初出なのか分からないのですが、見たところ郵趣家便臭くなく好ましいルックスです。韓国のCHは、日本の銭と同貨なので、普通便の方は第1種3銭の兵庫県宍粟郡宛、書留は10銭料金で京都宛、差出人名も何となく記憶がある人です。ひと時代前ならば、菊の人たちが大騒ぎした筈ですが、今は過去の取引実績を基にした、クールな評価での競りになるでしょう。マテリアルの希少度と、曾ての価格は皆さんご存じだと思います。素っ頓狂なハンマーにはならないでしょう。ホットだけれど、想定内の健全なバトルになると予想しておきます。この2点と前回の3点のエンタ、そして8月セールの朝鮮字5厘多数貼の群山消は勿論同じ方の出品です。事前に連絡を頂いたのですが、最低値の決定には何のストレスも有りませんでした。でも、よくぞこのクラスの希品を貯めこんでいて、ここを先途に一気に出してくれた物だと感心しています。偶然で無くタイミングを計った狙い撃ちでしょう。

20250807-01

もう1点には一杯書けるネタが有るのです。目を疑ったのです。有る筈がない使用例です。5月のセールが終わっての突然のご来訪でした。何の脈絡もなく尋ねて来てくれました。ご高齢の韓国の方と通訳と思しき若い女性です。オークションへ出品したい物が有るので教えて欲しいとの事でした。現物はお持ちでなく、スマホの画像を見ての会話です。ダンボール一杯のエンタです。宛先が武蔵国入間郡所沢の同一人宛、国内便にちらほら朝鮮・韓国発も見えました。年代は手彫から田沢まで、小判が主体の雰囲気です。朝鮮の二重丸も確か数通は有りました。韓国在住のコレクターでは無く、たまたま古い封筒をしこたま手に入れたので売り先を探していて、大阪の知り合いに聞いて弊社へのご来社だったのです。商売としてのこちらの本音は、全部持って来なさいよ、良い値段で売れますよ、なのですが、日本語と英語での片言会話なのでニュアンスでの会話は困難です。兎も角、良さげな物のスキャンを送って貰って、オークションの最低値を教えるので、それで良ければ出品して下さい・・・にしたのです。日を置かずに実行してくれました。数通有ったはずの二重丸のカバーは全部では無かったのですが、手彫のエンタに旧韓も含めての韓国物を主体にして20点ほどチョイスしました。月一で来日されるとの事でしたが。実際にリクエストした物を持参してくれました。この分は8月のセールの1日目に出しています。

全部一括とかのビッグビジネスが出来るかどうかはわからないし、この人との事は日常業務の流れの中での一般のご出品者どまりで、何時しか忘れていたのです。でも、E-メールの第2段が来たのです。出品できる物を教えて欲しいのリクエストです。随分と重い画像なので、見るのに苦労したし、クオリィティ―は1回目よりも落ちるかなの印象でした。数も20点位でしたから。桜を貼った神奈川検査は、運が良ければ青一のMLLの可能性があるし、赤二の朝鮮二重丸も確かに1通有ったので、オークションに出せるものは半分だけれど、まあ、良いかでケリのつもりでした。まさかこんな物が混じっているとは誰も思わないでしょう。

20250807-02

赤二貼の所沢宛のエンタです。大型縦書丸一印・24年7月30日/朝鮮國元山津郵便局、誤用での郵便使用です。朝鮮での大型縦書印は、色んな文献に出ている、澤護先生旧蔵の釜山➉が有名ですが、それ以外は半欠けでも滅多に見ないと思います。非郵便印の郵便への誤用はプラスですし、赤二だと言うのもミソなのです。縦書印の人は当然ながら必死に落としに来るでしょうし、赤二の単貼と1色貼に特化して、全ての消印をカバー限定で目指している人も、まさかパスはしないでしょう。私が扱った物の中でも、希少性で言えば、乃木2銭単貼の盲人用アメリカ宛に匹敵するかなと思うのです。万一の可能性ですが、元山→所沢の明治時代のコレスポンデンスが、一箱あってこれは遠からず出て来ます。もしかして珍消印の連続便が有るかも知れないのです。所有者には郵趣の知識は有りません。私との会話でも、切手の四角の絵を描いて、【朝鮮】の字が下に書いてある、沢山有るけど売れますか?のレベルなのです。

突然のご来社から、月一ペースで3回目の面談を終えました。次回は、8月セールの落札代金のお支払いの9月18日だと思います。実際に今回のディールが完結すれば、ペースを上げての商売が出来るかなと思っているのです。会話での意志の疎通は難しいのですが、メールでの日本語は完璧です。ビジネスとしても絶対に期待通りの結果が出ますから、タイミングを計って全体像を見せて貰おうと思っています。韓国の◎印は、釜山・元山・仁川の3局ですが、タイプはDK(dK)とJN3、国の有無と局名表示のバラエティー、更に台切手での旧小判等々、集める方は大変ですが売る方は楽しいのです。このテーマに絞っても、韓国のご老人が元山以外を何処までお持ちかは現時点では定かでは無いのですが、大型縦書誤用エンタよりもギョッとするような物だとしても、今回のエンタよりは出現可能性は高い筈なのです。月一のお二人とのミーティングを楽しみたいと思います。

韓国物

8月2日のブログでお見せした速達の珍使用例のカバーですが、複数の方からご連絡を頂きました。元天野コレクションで、文献にも発表されていて、大白と書かれていた物です。現所有者は旧毛の頁に入れてました。私も一瞥した時に大白かと思ったので、慎重にルーペで眺めたのです。紛れることなく着色繊維が一杯見えますので、これは旧毛です。4年3月29日ならどちらも有り得るし、このマテリアルの場合は大白でも旧毛でも価値は同じだと思います。拡大コピーで毛紙であることを示しておきます。

20250805-0001

JAPEXセールへのご出品物ですが、予想以上にハイレベルの物が続々届いています。満を持しての渾身のご出品物が並びます。ほんの少しお見せします。何れもかなりの珍品です。見れば分かるでしょうから、ここでもオークション誌でもグタグタ書きません。オークショニアとしてのポリシーは、マテリアルを見たままに説明すれば良い、余計なキャプションは付けないのです。お見せする3点ですが、このクラスの物の場合は、事前のご連絡を頂いていて、ご出品者と当方の意志の疎通は終わっていて掲載記事と最低値では紛れることは有りません。朝鮮の◎は3局で、タイプが2種類、国名と局名表示にバラエティーが有る・・局ごとの希少性や、旧小判の珍しさなどは、買ってくれる人が絶対にご存じなのです。特に現存何点と言うのは、切手展の展示作品に書くのは、知識の証明になるのでしょうが、オークションの掲載記事とすれば私は書きたくないのです。見れば分かるでしょう・・です。

20250805-0002

次回はもっと刺激的な物をお見せいたしましょう。明日の午後、ご来社予定の方が持って来てくれるはずの物、予想もしていなかったエンタです。

速達二ノ一と二ノ二

JAPEXセールの編集が進んでいます。誰でも判る目玉はさて置き、中々に渋い物も来ています。ビッグな田沢の大コレクションの、旧毛3銭の無双罫の山に埋もれていて、今まで気付かなかったカバーです。4枚貼の東京市内便速達、多分早稲田大学の教授宛の重量便だと思えたのです。基本3銭の2倍重量の+速達6銭ですから。朱色の▯居宅引受にギョッとしたのです。調べて簡単に知れました。速達なら、ポスト投函や窓口差し出しで無い、局員を呼んで、居宅で差し出すことも出来たのです。その料金は3銭です。重量便でなければ3銭-、居宅差出で3銭+。行って来いで料金は有ってます。電信為替の居宅払いは有りますが、速達の差し出しの実例は果たして有るのでしょうか。少なくとも私は初めて見たのです。

もう1点気になる点が有りました。名宛人名は英語で書いてますが、カタカナのロビンソンの文字が見えます。そして、同じ雰囲気のペン書き▯速達二ノ一、差出人で無く郵便局員の仕事だと思えたのです。二ノ一が有るなら、二ノ二も有るでしょう。差出人と受取人が同一の相手に出す速達料金が、2通目が半額の制度が有るのです。実例の発表の有無は知りませんが、このカバー上のペン書きはその扱いの指示だと思えたのです。半額になるのは2通目です。1通目は正規料金です。だから、旧毛3銭4枚貼の料金は、基本3銭・1区間速達6銭・居宅差出3銭だと思います。

ちょっと残念だったのが、同時2通差し出しの証明が出来て無い事です。1通目は割引なし、2通目が半額です。これが速達二ノ二なら、基本3銭・速達割引3銭・居宅3銭、更にもっと嫌味を言うのなら、重量便の増料金3銭の12銭だと言えなくも無いのです。朱印の2印と、ペン字の2項目、何の違和感も有りません。変造品ではないでしょう。この使用例なら、切手の傷も気になりません。居宅引受だけでも速達制度史上の大珍品でしょうが、速達二ノ一をどう表現するか見てみたい気がします。無視は罪だと思います。

素晴らしくそして悩ましいカバーです。セールでは良い値段になると思います。どなたが買って、適格に料理するのでしょうか。

二ノ一