前回の続きをお見せします。日韓コンビネーションカバーです。菊に於いては超目玉なので、まめな方は全てのデータを押さえておられていると思います。この2点は既知なのか、初出なのか分からないのですが、見たところ郵趣家便臭くなく好ましいルックスです。韓国のCHは、日本の銭と同貨なので、普通便の方は第1種3銭の兵庫県宍粟郡宛、書留は10銭料金で京都宛、差出人名も何となく記憶がある人です。ひと時代前ならば、菊の人たちが大騒ぎした筈ですが、今は過去の取引実績を基にした、クールな評価での競りになるでしょう。マテリアルの希少度と、曾ての価格は皆さんご存じだと思います。素っ頓狂なハンマーにはならないでしょう。ホットだけれど、想定内の健全なバトルになると予想しておきます。この2点と前回の3点のエンタ、そして8月セールの朝鮮字5厘多数貼の群山消は勿論同じ方の出品です。事前に連絡を頂いたのですが、最低値の決定には何のストレスも有りませんでした。でも、よくぞこのクラスの希品を貯めこんでいて、ここを先途に一気に出してくれた物だと感心しています。偶然で無くタイミングを計った狙い撃ちでしょう。
もう1点には一杯書けるネタが有るのです。目を疑ったのです。有る筈がない使用例です。5月のセールが終わっての突然のご来訪でした。何の脈絡もなく尋ねて来てくれました。ご高齢の韓国の方と通訳と思しき若い女性です。オークションへ出品したい物が有るので教えて欲しいとの事でした。現物はお持ちでなく、スマホの画像を見ての会話です。ダンボール一杯のエンタです。宛先が武蔵国入間郡所沢の同一人宛、国内便にちらほら朝鮮・韓国発も見えました。年代は手彫から田沢まで、小判が主体の雰囲気です。朝鮮の二重丸も確か数通は有りました。韓国在住のコレクターでは無く、たまたま古い封筒をしこたま手に入れたので売り先を探していて、大阪の知り合いに聞いて弊社へのご来社だったのです。商売としてのこちらの本音は、全部持って来なさいよ、良い値段で売れますよ、なのですが、日本語と英語での片言会話なのでニュアンスでの会話は困難です。兎も角、良さげな物のスキャンを送って貰って、オークションの最低値を教えるので、それで良ければ出品して下さい・・・にしたのです。日を置かずに実行してくれました。数通有ったはずの二重丸のカバーは全部では無かったのですが、手彫のエンタに旧韓も含めての韓国物を主体にして20点ほどチョイスしました。月一で来日されるとの事でしたが。実際にリクエストした物を持参してくれました。この分は8月のセールの1日目に出しています。
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赤二貼の所沢宛のエンタです。大型縦書丸一印・24年7月30日/朝鮮國元山津郵便局、誤用での郵便使用です。朝鮮での大型縦書印は、色んな文献に出ている、澤護先生旧蔵の釜山➉が有名ですが、それ以外は半欠けでも滅多に見ないと思います。非郵便印の郵便への誤用はプラスですし、赤二だと言うのもミソなのです。縦書印の人は当然ながら必死に落としに来るでしょうし、赤二の単貼と1色貼に特化して、全ての消印をカバー限定で目指している人も、まさかパスはしないでしょう。私が扱った物の中でも、希少性で言えば、乃木2銭単貼の盲人用アメリカ宛に匹敵するかなと思うのです。万一の可能性ですが、元山→所沢の明治時代のコレスポンデンスが、一箱あってこれは遠からず出て来ます。もしかして珍消印の連続便が有るかも知れないのです。所有者には郵趣の知識は有りません。私との会話でも、切手の四角の絵を描いて、【朝鮮】の字が下に書いてある、沢山有るけど売れますか?のレベルなのです。
突然のご来社から、月一ペースで3回目の面談を終えました。次回は、8月セールの落札代金のお支払いの9月18日だと思います。実際に今回のディールが完結すれば、ペースを上げての商売が出来るかなと思っているのです。会話での意志の疎通は難しいのですが、メールでの日本語は完璧です。ビジネスとしても絶対に期待通りの結果が出ますから、タイミングを計って全体像を見せて貰おうと思っています。韓国の◎印は、釜山・元山・仁川の3局ですが、タイプはDK(dK)とJN3、国の有無と局名表示のバラエティー、更に台切手での旧小判等々、集める方は大変ですが売る方は楽しいのです。このテーマに絞っても、韓国のご老人が元山以外を何処までお持ちかは現時点では定かでは無いのですが、大型縦書誤用エンタよりもギョッとするような物だとしても、今回のエンタよりは出現可能性は高い筈なのです。月一のお二人とのミーティングを楽しみたいと思います。