アメリカの所謂、トランプ関税に関して、デミニミス待遇が2025年8月29日午前01分に廃止されます。従来はアメリカ向けの輸出に関して、US$800以下の場合、関税等が賦課されずに輸入されていた優遇措置が無くなります。特に郵便で送付する貨物に関しては、日本郵便からは実務に関しての詳細なレポートは出ていないと思います。本邦から米国宛の輸出貨物に関しては、何らの優遇措置は取られないと思います。貨物の場合は、HSコードの記載が義務付けられ、恐らくは申告額の15%の関税が徴収される事になりそうです。郵便の場合、貨物以外の信書やドキュメント等、経済的な価値を有さない物の扱いがどうなるかが大問題なのですが、現時点では誰もご存じないようです。現在でも、郵便切手に対して、税金が課される国が有り、イスラエル、中国はかなり高く、イギリスを含むヨーロッパ諸国とシンガポールでも課税されておりました。弊社のオークションでの落札品でも、日本渡しや、伝手を辿って、海外での手渡しなどの手段を取った事も有りました。香港、台湾とアメリカへは実質無税で輸出できていたのですが、今後は厳格にやらねばならないでしょう。オークショニアのスタンスとすれば、ビッダーさんの利益を図るのは当然なので、先方のご希望には応えるものの、リスクを取る事は出来ないのです。差し向きは、やり方を変えるのはアメリカだけでしょうが、世界のオークションマーケットにとっても影響は出てくると思います。今のイギリスでは、曾てのメジャーオークションハウスが全て消えましたが、最大の要因は、VATがきつくて、イギリス国外の出品者が皆逃げてしまったからだと思います。今後のアメリカの郵趣マーケットに於いて、輸入時に15%かかるとなると最早ディールは成り立たず、イギリスと同じようにビジネス自体が廃れることを恐れます。今までは、ちょっとしたテクニックを使えば、数十万ドルのコレクションでも無税でアメリカのオークションハウスに出品出来たのですが、今後は怖くてやれません。イスラエルの税関は、モサドが入っているので、騙しは一切効かないのですが、元からアバウトなアメリカの場合はどうでしょうか。輸入される全ての貨物の課税手続きを厳格に洩れなくやるのは、能力的に絶対に無理だと思うのです。良い話しでは無いのですが、注意深く滞りなく作業をせねばなりません。今度の弊社の8月末のセールでも、アメリカへ送らねばならない落札品が有ると思います。当分の間は、送る前に先方の希望を聞かねばなりません。さあ、どうなるかは今は全く読めないのです。
デミニミス
2025年8月23日
|