速達二ノ一と二ノ二
JAPEXセールの編集が進んでいます。誰でも判る目玉はさて置き、中々に渋い物も来ています。ビッグな田沢の大コレクションの、旧毛3銭の無双罫の山に埋もれていて、今まで気付かなかったカバーです。4枚貼の東京市内便速達、多分早稲田大学の教授宛の重量便だと思えたのです。基本3銭の2倍重量の+速達6銭ですから。朱色の▯居宅引受にギョッとしたのです。調べて簡単に知れました。速達なら、ポスト投函や窓口差し出しで無い、局員を呼んで、居宅で差し出すことも出来たのです。その料金は3銭です。重量便でなければ3銭-、居宅差出で3銭+。行って来いで料金は有ってます。電信為替の居宅払いは有りますが、速達の差し出しの実例は果たして有るのでしょうか。少なくとも私は初めて見たのです。
もう1点気になる点が有りました。名宛人名は英語で書いてますが、カタカナのロビンソンの文字が見えます。そして、同じ雰囲気のペン書き▯速達二ノ一、差出人で無く郵便局員の仕事だと思えたのです。二ノ一が有るなら、二ノ二も有るでしょう。差出人と受取人が同一の相手に出す速達料金が、2通目が半額の制度が有るのです。実例の発表の有無は知りませんが、このカバー上のペン書きはその扱いの指示だと思えたのです。半額になるのは2通目です。1通目は正規料金です。だから、旧毛3銭4枚貼の料金は、基本3銭・1区間速達6銭・居宅差出3銭だと思います。
ちょっと残念だったのが、同時2通差し出しの証明が出来て無い事です。1通目は割引なし、2通目が半額です。これが速達二ノ二なら、基本3銭・速達割引3銭・居宅3銭、更にもっと嫌味を言うのなら、重量便の増料金3銭の12銭だと言えなくも無いのです。朱印の2印と、ペン字の2項目、何の違和感も有りません。変造品ではないでしょう。この使用例なら、切手の傷も気になりません。居宅引受だけでも速達制度史上の大珍品でしょうが、速達二ノ一をどう表現するか見てみたい気がします。無視は罪だと思います。
素晴らしくそして悩ましいカバーです。セールでは良い値段になると思います。どなたが買って、適格に料理するのでしょうか。