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2008年3月11日(火)

「日中コンビネーション」

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海外のオークションに出る、中国関係のマテリアルは、アメリカ・欧州・香港の何処に出ても我々の評価はお呼びでない。カバーも切手も、目に付くディスクライブで出ていれば落とせる可能性は完全にゼロである。この分野での原体験は20数年前に行った、CORINPHILAが強烈。ピーター・ホルカムが世話をしたと思われる、クラシックのCHINAが出て、参考値はそそられる程安い、でも場では競って競って、10倍・100倍はざらに伸びる。台湾の呉楽園とスウェーデンのベッケマン、互いに降りないので何処までも行く。スイスのモーザーさんが大竜のリコンストラクションを買ったり、フランスのコンさんが紅印花のカバーを必死の形相で競っていた。この頃のJAPANのパートにチョッカイを出していたジュリアン・クライブもルドルフ・シャピラもとっくの昔に逝っている。CHINAに限っても、場での雰囲気は大いに変わってしまっている。場のビッドで、誰もが平伏すキングはいなくなり、香港でのフロアのビッダーは随分若返って、顔と名前が一致しなくなった。
今回のセールにも、かなりの日中コンビネーションカバーが出ていた。大竜・小竜や紅印花の大物はないけれど、旧持ち主の好みだろうか、バン竜貼りの丸一の平凡な物は少なく、万寿、暫作洋銀貼りや、IPO、不統一のプレミアが付いている物が多かった。中国の局名の希少性の評価では私は勝負出来ないけど、今回のマテリアルは日本でもプラスの評価になるはず、駄目元で数字を入れて見た。相手にされない、ぼろ負けでなく、買いたい評価は完璧に超えるけど、私の評価で微妙な上下の値段になっていた。結果は20点の内4~5点落ちたし、Lot 149の1897・9・27発で暫作洋銀10銭+U小判5銭のSHANGHAI 1897・10・2など米宛の料金が5銭→10銭の切り替え期なので、きっちり理屈がクリア出来れば面白かったかも。でも、24万円では落ちないのでいい数字でしょう。今回の場でのCHINAはフロアビッダーは大人しくメールビッドも強くない。それでも全ロットにエージェントへ複数の札が入っているし、目立つ物へのテレフォンビッドは強かった。我が社へのリクエストが来る数人と同じ人かも知れない。
私の場合のCHINAはあくまで、遊びの延長、でも今回は郵便史的に手にして、調べてみたい物が有ったのです。日中コンビネーションは、多分9割までが米宛、ヨーロッパ宛はかなり少なく、日本宛は更に希。その手続きの根拠は、中国がUPU未加入の為に、国際郵便は他国ルートに託さざるを得ない為に交換局で貼り替えているからである。日中間の中国発で日本郵便局が無い土地発なら同じ手続きになってしまう。日本局に持ち込めば、日本郵政のルートなのでこの手続きは不要になる。この理屈で、日中コンビの日本宛は少ないのだろう。日本局も需要に応じて広範囲に開局しているから。
オークション誌の記事を見て、何これ?と思ったのが、この逆ルート、YOKOHAMA発で北京宛、1896年なので、北京に日本局は開いていない。だからSHANGHAI中国局で中国切手を貼り替えての逆方向のコンビネーション、料金が中国の国内料金か、国際料金か、単なる不足の転送か、制度として有ったのか、私の知識ではクリア出来ず、東京の下見会で、多分最も詳しいであろう、二十一男先生とCPSJさんに聞いたけれども、はっきりした答えは無かった。多分実例も殆ど存在しないのでは。画像と記事を載せるのでどなたかご教授お願いします。オークションでの結果は、Lot169のカバーはエージェントとテレフォンが競り合って5500ポンド=130万円位でテレフォンの勝ち。Lot177の連合葉書は1300ポンド、多分エージェントが落としたと思う。32万円位なので、値段的には買えなくは無い、ただ差出の日付印がYOKOHAMA 12 DEC 96、貼り替えの洋銀の消印がSHANGHAI CUSTOMS がFEB 17 1897、PEKINGが 8 MARCH 1897。中国暦でなく、西暦なのでこの日付のタイムラグがどうにもクリア出来ずにビッドせず。作り物的な嫌らしさは全くないけど、戦争の取扱停止でも、河川凍結遅延の裏付けも取れず、ギャンブル出来ずに諦めたのです。

今貰ったばかりの、超最新情報です。昨日の午後行われた、HEINRICH KOEHLER のフロアセールの結果です。Lot 3763A 洋桜20銭、1銭貼独宛 1875 FEB 20 HIOGO(外郵第2便)が、EUR.23000 約430万、Lot 3774 坂東ラーゲル2完シート EUR.58000 邦貨で1000万超え、私もかなり強い預かり札でビッドしたものの、掠りもしません。落札者は共に、全く見知らぬ人ではないのですが、日本国内のオークションではちょっとここまでは頑張ってはくれてないのが寂しい気もします。オークションはタイミングで随分と値段が違うし、2人いればどこまでも競りあがるのです。

2008年3月8日(土)

「CAVENDISH AUCTION」

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今回のフロアオークションを終らせて、メールの締めも人任せで、組合の年2回の交換会も参加せず、台湾のアジア展も完全にパスして火曜日の朝から金曜日までイギリスのDERBYに行ってきました。ISJPのセクレタリーがE-メールで情報を流していたのですが、オークションハウス自体は地味目なので、カタログを持っている人は少なかったはずです。私のほうは20年来の付き合いで、菊8銭・15銭の銘付田型とか、ストックブックの頁一杯の新毛コイルの使用済とかを買ったことが有りました。銀行の送金先にも登録が有るので、結構な金額を買った経験が有るはずです。
何時ものペースで、海外から数件の情報、行くの・行けよ・降りてよ・・・のオファーが3ヶ月前から来てました。主体は、リヴァプールに住んでいる、E.J.WOODさんの郵便史のコレクション、2004年のJAPEXに「JAPANESE POST OFFICES ABROAD」で出品してLS(大銀賞)になった物の全部+αの内容でした。あの時に目に焼きついていたのが、台湾の最初の欧文印のFORMOSAカバー、長春に変更になる前の寛城子の欧文印=KWANG CHEN TZUの中継印、まさかこれほど早くオークションでお目にかかれるとは思っても見ませんでした。純粋のJAPANばかりではないのですが、写真版に出ている単品、写真なしのボタのロットにNEMUROとか、日本航路のフランス船内印がカバー・葉書で7点、切手で25点が1ロット、この内容なら兎も角行くしかないのです。このオークションハウスの場合、JAPANやアジアが主体でないし、ロンドンから3時間ぐらいの距離にあり、気軽に参加するには抵抗が有るはずなので、行って下見して場に出ればかなりの確率で買えるはずと読みました。たまりにたまったノースウエストのマイリッジがあるし、永久有効とは言う物の、会社が何時まで続くか判らないので、この機会に12万マイルを使いました。普通ならKLMですが今回は取れずにエアフラです。関空からのヨーロッパの場合はどのエアラインでも一緒です。夕方に着いて翌日移動、直ぐ下見会場に行きましたが、危惧していたアジア系の顔はなく、現地の日本切手研究会の数人と、CHAINA PHILATELYのおじさん位しか場で競りそうな人はいませんでした。最近の日本物が出るアメリカ・香港のセールの場合、日本切手のディーラーよりも、E-BAY出品狙いの中国系のブローカーが矢鱈と強いのです。
今回のセールではその類は皆無、場の競争者も影響はゼロ、だから、あとは世界中のカバーを扱うディーラーが何人下見して札を預けているかと、ISJPからの情報を得た日本人がWEBで見て、メールで入れて来たかが問題になるだけです。場が開けば直ぐに様子は知れます。エージェントの落とす品物とパドル番号で上から下まで入れているのが一人、でもセンスは目茶目茶。それに明らかに数字はFIXなので競る相手としての凄みは有りません。日本からのメールは数は来たかも知れないけど、本当に強いのは1人だけ。
Lot 448 旧小判3銭・5銭・10銭・U小判2銭貼の書留英宛 小型花型+20ミリTOKIO 8角横浜書留、差出の引受が東京/牛込下宮北町郵便受取所、もしかしたら現品は未確認かも知れません。参考値は240ポンド=6万円、ゼロを付けた程度で収めたかったけど、かなりオーバーしてしまいました。こちらは目を瞑れば誰かの上で落とし切れるのですが、下見なしで、メールで値段もその数字で買う覚悟で入れた人、立派なビッドだと思います。勢いで落とした値段は、商売的には鞘を乗せられるものではないけれど、「5月の広島」で壁に飾ることとしましょうか。考えられない使用例ですが誰が評価してくれるのでしょうか。
Lot 183 U小判3種他計20銭貼書留 ANPING JAPAN 俗に言うFORMOSAは、参考値の丁度10倍で落ちました。1銭の1枚もカットでなく、裏に貼り付きなので随分立派なカバーです。今までに2通ほど扱ったのですが、「台北スタンプ」さんには随分馬鹿にされました。台湾の日帝郵便史のコレクションで金賞を得るには、これと混第一の2タイプが絶対に要る、ガチガチの客がいるので、●●●万で買うとのオファーを貰ってました。難を言えば、先方はFORMOSAの印影が要るので、葉書でも新小判10銭でも、TAMSUIでもTAKAOでも良いのです。今度のプレミア付のものでも値段は全く同じです。それでも、聞いてる値段が日本での評価よりはるかに高いので、このカバー1通で十分に経費と日当が出るでしょう。
Lot463 菊封皮に日韓合同他加貼福州宛 丸一殷山消、ドイツの非常に熱心な友人に降りてくれと頼まれてました。それでも良かったのですが、たまたまぼかした話をした数人の内、2004年のJAPEXのイギリス人の作品・・・という括りで、何の情報もなく、このマテリアルを言い当てた人がいたのです。記念切手の専門家で、日韓合同の韓中の郵便使用を評価してました。およその値段を聞いたら、私のそれとピッタリ一致、ドイツの彼の数字は聞いてないけど、多分ピッタリ1000ポンド、この場合、一声に掛けて1100までに切ってビッドを決めました。それ以上で来るのなら脱帽、でもきっちり勝つのです。・・・・・続く。

2008年2月27日(水)

★『戦後の郵政資料』第5巻 行徳国宏著 入荷しました。

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昭和52年1月~64年1月 250頁
頒価3,300円  送料300円

当シリーズの最終巻です。既刊本も全て在庫しております。

第1巻 187頁 昭和20年1月~26年12月  2,900円
第2巻 207頁 昭和27年1月~36年12月  3,000円
第3巻 173頁 昭和37年1月~42年12月  2,900円
第4巻 160頁 昭和43年1月~51年12月  2,600円
※送料は1冊なら300円、2冊以上なら500円均一です。

★『現行切手』 第1巻・第2巻
昭和51年1月~平成元年4月まで
2冊で4,200円  送料500円

『戦後の郵政資料』と同時にご注文の場合は、送料は何冊でも500円になります。
お申込みはメールにてお願いいたします。

2008年1月31日(木)

『手彫切手研究』発刊のお知らせ

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2008年2月1日に手彫切手研究会(会長:福原一信氏)から標記冊子が発刊されます。

A4サイズで20ページ片面印刷、一部カラー印刷、簡易製本の冊子です。
年4回の発行で、購読料は年間6000円(送料共)
お申し込みは名義人 、「高野昇郎」 ゆうちょ銀行 振替口座 00900-2-280879
連絡先は watasuge@ymail.plala.or.jp
〒631-0044 奈良市藤ノ木台2-5-21 高野昇郎氏です。

見本誌は大阪は弊社店頭で、東京は目白の「切手の博物館」で見ていただけます。
内容のコンセプトは、手彫切手の製造面と使用面での集積されたデータの公開の場を作り、そこでの発表を叩き台にしての更なるデータの充実を目指します。
創刊号では、和桜黄2銭の無シート版の再構成の現状と、完成された13版のリコンストラクションシート写真、この版の全ての使用例の一覧=局名及び消印の種類。
使用面では手彫切手全ての使用例の一覧表のNo1として、6ページを割いて「北海道で使われた手彫切手」を局別・消印の種類別に洩れなくリストアップ。今後北から南へと琉球まで漏らすことなく発表されます。地元印の収集家にとっても欠かすことの出来ないデータですし、洩れているデータの発表の場としても有効に使えるようになるはずです。まずは、局毎での使われた手彫切手の一覧ですが、エクセル等を使って、その逆の手彫切手をメインにした使用局・タイプの一覧表も発表してくれるはずです。この種のデータは、従来は地元印収集家にすれば、ともすれば自分達だけが知っていれば良いという狭量な発想に陥りがちでしたが、有る・無し話の収集スタイルでなく、年代を区切って全国レベルで使用例を眺めることにより、当局の配給の意思や、額面毎の使用頻度まで目に見える形で明らかになって来るのです。この手法は手彫だけでなく小判以降のシリーズにも流用が可能でしょうが、集積した生のデータをオープンにしての問題提起という、初めての試みがどのように完結するのか大いに期待しています。
続いては昨年発行された「手彫切手専門カタログ2007」の改訂の場所としての役割も担います。
何れも、今だけの情報の発信でなく、数年先かそれ以上先を見越してのデータの集積と発表のツールとしての冊子のスタートです。データをキープしての発行なので、当分は何時お申し込み頂いても創刊号から購読が可能とのことです。

冊子の発刊に先立ち、弊社フロアオークションの2日目(日曜日)の午前中に、「関西手彫切手研究会」の会合を大阪駅前第2ビルにて開いています。次回は3月2日の午前10時~。お問い合わせは上記高野氏又は、フロアの当日にでも受付に声を掛けて見てください。

弊社のオークション誌は昨日入稿完了、発送は2月8日金曜日です。既に情報はホームページにUPしており、ダウンロードでの下見は2月2日土曜から可能です。

2007年12月4日(火)

『オークションと文献と』

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終ったオークション、PA51・MA44のレポートを郵趣の広告に載せるべく原稿を書きました。幾つもハイライトが有ったのですが、場での競りで面白かったのが「航空切手」の使用済単片⑩の幾つか。元気に競っていた人に、何であんなに高いの?と聞かれたのです。その答えは、貴方が競ったから、としか言えないし、競る人が2人いれば高くなるのがオークションなのですから。
2209  0付立山55円 紫櫛YOKOHAMA10・4・52 最低値  15000→240000
2210    〃 75円 紫櫛YOKOHAMA10・4・52  〃     12000→280000
2472  きじ103円   ロールKOBE22・ⅹ・1952  〃     5000→210000
3539  0付立山75円 櫛北浜27・6・6         〃     6000→100000

こういうケースは大体が、超強気のお一人の独占買いに、ダメ元で競りかかる人が出た場合が多いのですが、今回はこの4点が見事に4人に分かれました。だからこの分野は当分ホットに続くでしょう。皆さん、複数のロットにチャレンジしているので、大満足の方はいないでしょうが、競って取れた1点という物には結構満足感が有るのです。買った値段は忘れてしまえば良いのです。
場での話題というか、おしゃべり雀が少し騒いでました。私が直接耳にした情報ではないし、説得力のある根拠は全く聞けてないのですが、2209・2210の櫛型YOKOHAMAが「偽消」だというものです。55円は前述の人が落札して、ちょっと気にしてましたが、75円はこの分野の自他とも認める超専門家のお買い上げ。カラーの表紙の情報で十分な判断が出来る人のはずなのです。私が手にとって記事を書いたときには、何の違和感も有りません。それに、経験上、色印で材質ゴムの場合は偽印は極めて作りにくいのです。余程ちゃちな物は別ですが、この条件での偽印は見たことが有りません。ただ、これで終ればちょっとした水掛け論に留まるのでもう少し調べてみたのです。
同じ雰囲気の接近した日付の物は少ないながらも有って、典型的なものはYOKOHAMA11.2.52 当然ながら0付立山のFDCです。どう見ても全てのポイントで本物だし、今回の出品物と同一の判子と思えます。更には特徴的な印なので、戦後航空や戦後記念・国立・観光・文化人の収集家は結構お持ちの方がいるのです。情報では2年位は使われたかもしれませんが、ゴム製のくせに崩れてなくて綺麗過ぎるのが疑問を持つ人が出てきてしまう理由かも知れません。ただ、大量に見かけるものではないので、使い勝手からして、本格使用で無く、補助的な使われ方がされていたのかもしれません。
今回の出品物の日付で、決定的な理由が知れました。S26・10・20 公達159号、
外国郵便取扱規定の一部改定の通達です。「1952・4・10より外国郵便の取扱に関し使用する日付印を改める」です。我々が言うところの、欧文三日月印使用の告示です。
因みに、27・4.10告示111号では、この日から東京中央・同羽田・横浜・大阪中央・神戸中央・博多で使い、近く追加して90局に配布されるとのことです。
だから、YOKOHAMA10・4・52は欧文三日月印初日使用の直前の、櫛型紫最終使用=ラストデーのCTOなのでしょう。この根拠なら、どこに出しても通るでしょう。告示や通達は一般の人には縁遠いものなのですが、今は簡単に手に入る手段が有るのです。このパートの必要なデータは、弊社で扱っている「戦後の郵政資料 第2巻 S27・1~36・12」に詳しく出ています。
行徳国宏さんの『戦後の郵政資料』、現在第4巻まで発刊済み、収集の対象としている年代の本は取り敢えずは持っておくべき良書です。読んで面白いものではないのですが、知りたい事柄が出てきて、公示・通達が要るならばかなりの確率で応えてくれる本なのです。切手を1点、フロアで頑張る確信が持てるなら、本に費やす金額など端金に過ぎないのですが。

2007年11月22日(木)

『特別送達』
待っていた種別の郵便がやっと到着しました。「特別送達」で某簡易裁判所差出しで受取人は私です。管轄名を見るだけで封を切らずとも、要件は瞬時に知れました。先日来当コラムでも取り上げている、オークション誌発行後の出品の取消要求とそれに対応して除名にした相手方からの、損害賠償他の訴訟の書類です。電話での話の中で「訴えてやる!」の罵詈雑言も有りましたし、それ以外のルートからの情報でも、相手の、人となりや過去の所業も分かってました。こちらは基本的には受身なので相手の行動を待つ立場です。現実問題として私を相手方(被告)とした公的な書類が来ても、良くぞやってくれました、指定された期日=来年1月9日には必ず出向くので、絶対に訴訟の取り下げだけはやって欲しくないというのが偽りの無い感想です。
裁判という場での議論になりますので、ここに書いていることも当然証拠として使われます。それゆえ、軽率な情報を出せないのですが、概略だけ説明しておきます。事実関係の認識は相手が訴状に書いた通りで、概ね間違ってはおりません。出品者引きにして除名にしたことによる損害賠償が10万円、その後のブログでの「侮辱行為」への「慰謝料」が10万円という請求です。根拠として、オークションへの出品物の所有権が、落札者確定までは出品者にあり、売る・売らないも含めて全てが包括的に出品者に属するというのが主張です。このことは、当然ながら根本的に間違っています。私の主張は、出品者の所有権の内、財産権に属する部分はオークションに於いても出品者への支払いが終了するまでは出品者に属することには同意します。ただ、オークションのメカニズムでは、オークションの規定に則って競売されて、落札値が決定し、規定の手数料を差し引いた金額を受け取れ、不落札の場合は預けたままで返品を受ける権利に限定されるのです。競りに出して、オークションの業務に掛かった時点で、売買に関する裁量権=誰に幾らで売るかの決定権はオークショ二アのみに移ります。出品者はこの作業に如何なる意味でもコミット出来ません。幾ら出品者が嫌いな相手でも、最低値以上なら一番札の人に売るのです。出品者の権利制限が掛かるタイミングが有るのです。弊社の場合は、明確に期日を切っており、掲載原稿を出品者に送り、受け取ったであろう期間を経過後を異議申し立てがない限り、起点にしています。実務的には、より相手方に有利になるように、オークション誌が印刷に掛かるまでは参加者には情報が開示されないという事実を持って、一般的には競売からの取り下げも無碍には拒否しません。
ただ、経費の発生という弊社の経済的な要因でなく、オークションに参加する善意の第三者に悪しき影響が及ぶタイミングでは出品取消は認めておりません。カタログ上に掲載されており、それを見てビッドした人がいた場合、そのロットが取り消しになっておれば他のロットへの応札行為に違いが出る場合が有るのです。取消の情報を参加者に普く告知する手段はないのです。善意の第三者は何の罪も無いのに不利益を被ることになるのです。この事実は、オークショ二アとして容認出来ません。オークション誌発行後の出品物は、唯一最も高いビッドをした人が、ルールに定められた方式で買う権利が有るのです。そのメカニズムの実現のみにオークショ二アは行動します。
今は無くなった名古屋のオークションハウスへの有力な出品者が私に言ったことが有りました。オークションに出品者したロットに対しては、自分=出品者は値段を知る権利がある、だから一番札が幾らかを聞いて、その値段で売るか売らないかを決めているという趣旨でした。所有権云々を根拠にしての主張でしたが、私はその考えを採りません。オークションへのビッドの数字は出品者は何ら聞く権利は有りません。それを許すのは一番札そのままで、売っていいか否かを出品者に委ねることで、最早オークションとは呼べないものなのです。それが直接の原因かどうかは知りませんが、その要求を当然の権利として主張した出品者は、別の不誠実な行為が露見し、今や業界の表には出て来れず、舞台になった組織は法の名で消滅しました。
今回の相手方の主張は、ストレートにはこの意味での要求ではないのですが、出品物への自己の所有権の確保というポイントではオークションのルールに悖っているのです。私の日々の仕事はオークショ二アですが、それ以外にオークションアナリストとしての分析と、オークション・システム・オーガナイザーとして行動することがライフワークだと意識しているのです。日専やブログでの主張は、ある意味、言いっぱなしですが、望まぬきっかけで有ったにせよ、公式の場で、この世界の構成員以外の価値観を持ち、恐らくは業界に通じてないであろう法曹者に、私のオークションのシステム論が通用するかを正式に確認してみたいのです。
本件に対する私の採るべき態度には何の迷いも有りません。先方の出方に拘わらず、私は代理人を使わず自らが対応します。法的な定めにより、保管が義務付けられている7年間の書類は完璧に有りますし、コアな資料はそれ以前のものも復活可能です。相手方の訴状に対する答弁書のみならず反訴の書類のフレームも瞬時に書いております。ただ、上がるべき土俵が裁判所なので、ことを起こす以前にそれを開示は出来ません。オークション雀の皆様には興味津々の「大事件」では有りますが、私の気持ちとしては、初公判の日が待ち遠しくてたまりません。先方の今までの為した同様の行為に対する相手程は、甘くは無いことを覚悟してもらって、出る処に出ての話しにしたいと思います。
上記の事情ゆえに、この件の追加の情報開示は暫く封印になりますことご了承賜りたく存じます。

2007年11月13日(火)

『まずはプレ総括』
日専2008戦後編に書いたコラム、「オークショ二アからのメッセージ」の舞台装置として企画演出した、JAPEX2007特別オークションが終了しました。未確定な要素を基にした記事を、確定した事実で検証したみたいと思います。 ただ、フロアでの競りとその後処理は終えてますが、現在不落札品の残品売りとクレーム返品受付期間中です。17日(土)午前9時で確定しますので、その後に回数を取って総括いたします。11月4日のフロア終了時での数字は、WD2点を除いて、出品点数1918・落札点数1565・落札金額50,054,400円=手数料除く(内フロアでの落札が659ロット・金額30,254,650円)・落札率81.60%になっています。何せ初めての東京でにフロアであり、基礎データが無かったのですが、不落札の即売で通例5%+の伸びが見込まれ、厳選ロットのフロアセールなので殆ど返品も無いでしょう。数字的には想定のMAXの成績でした。特に今回はメールビッドの出足が悪く、登録のビッド数は520件、何時もの5000ロット+のフロア・メール併催に比べて300件は少なくなってます。平常からメールセールのみに拘っての応札の方も100人以上はいますし、フロアへの出席が確定の方のビッドも控えめでその分、フロアでの競りに集中したようです。欠番なしの札数151は今までの記録ですし、スタート値のリストが230部出てますし、代行札での出席数マイナスと、見学のみで未登録を足し引きすれば150+が覘いてくれたかなの雰囲気です。95%は会員さんなのですが、弊社のフロアへは初めての方が多く、大阪では常識のマナーが守られず、ちょっとした行き違いが有ったと聞いています。弊社のロット数なら、最後までお待たせしての引渡し・清算は、待ち時間が長くなりすぎ、また一気に集中されてもパニックになります。それゆえ、途中でのピックアップも出来るシステムなのですが、数秒も待てず、お客は自分ひとりというマナーの方がいたのです。一人で引っかかると、次々玉突き、数珠繋ぎになり団子になってしまいます。事務的なミスが起きても、一瞬後ろで待ってくれれば、必ず解決するのですが、その余裕の無い方が想像以上に出てしまったのは残念なことでした。
メールで入れて、フロアに勝ったものもその場では受け取りは無理ですし、落札品の無い方の団扇を、落札品を受け取るが如く出されても物が存在しない為、探すスタッフがパニックになってしまうのです。次回は、子供でも、猿でも分かるような交通整理の標識を立てようかと言ってます。
実は、今やっている51回フロア・44回メールセールに於いても、同じような事象が発生してしまいました。私は勿論、一般の大多数の方には常識で分かるはずの出品者としてのマナー違反の要求です。保険商品や金融商品の取り扱いの目論見書なら、細かい字でありとあらゆる起こりうるケースを想定しての売るサイドでの説明をしています。訴訟になっても勝てるというか、売る側に責めが及ばないようにガードを堅くするのです。ただ、我が社のオークションの場合、当然ながら、社会通念上の常識が保たれてることを前提としての運営です。ポイントとなる要項は書きますが、何が起きても100%のリスクヘッジが出来るようには雁字搦めにはしてません。
具体的には、オークション誌発送後=意味としては印刷所に入稿して校了になれば同じ、に出品者からの出品の取り下げの要求が来たのです。1~2点なら、何とか丸く治めるテクニックも有るのですが、10点ともなると傷を負わずには処理が出来ないのです。弊社の場合は、出品記事が付いていても、全て一任で有っても、載せる前に掲載原稿を送ってます。私が書いた値段や記事に問題が有るか、やむを得ずに売れない場合はこの時点で申し出てくれれば淡々と処理が出来るのです。本来なら書面による出品者の同意を取れば良いのですが、トラブルは殆どなく現状ではギリギリまで記事を書いて即入稿なので、問題が起きそうな人の物を先に仕上げて問い合せておけば、常連さんや手の内に入ってる人の場合は原稿のチェックさえもしてないでしょうから何らの問題も起きないのです。
今回のケース、本に載るのが確定してからの10点程の取り下げ要求がなぜ拙いかを説明いたします。私やスタッフが無駄に時間を費やしたとか、無意味の印刷費の負担は些事なのです。問題は、オークション誌を見た会員さんが、取り下げられたゴーストのロットに真面目に入札した場合、予算の都合で他のロットへの入札が出来なくなる可能性が出てくるのです。損害賠償という程の関連性は薄いのですが、ルールを定めて、厳しくその遵守を呼びかけるオークショ二アとしては容認できない暴挙なのですよ。理由を聞いても、お前に何か言う必要はないわい!で済まされる行為では有りません。
結論としては、説得してルールを理解できる常識をお持ちでない方と判断しましたので、申し出が有ったロットに加えて、該当者の今回の出品物を全てセールから取り下げました。10点の申し入れを受けて、引き、残りをそのまま売りたてるという選択肢は、継続して非常識な要求が続く可能性を含んでおり、信頼関係を構築できない以上極めてリスキーですし、会員さんとしての一切のお付き合いは出来ないのです。当然ながら入札でもルールを遵守しない可能性も排除できないため今後一切の取り引きは致しません。除名ということです。オークションというシーンではこの程度のトラブルは一杯有るのです。でも、その処理には迷うことなく即決断して実行しています。多分、どなたもが支持してくれると思いますから。

2007年10月2日(火)

「書くや、書かずや」
仕事柄、幾つもの機微に触れる情報が入ってきます。オークショ二アという立場ゆえに得られる情報には、職業上の厳格な守秘義務が課されてはいませんが、無原則に表ざたにはしておりません。ただ、公共の利益に重きを置けば、お知らせした方が役立てるケースも出てきます。差し障りの無い範囲で、幾つかホットの情報を提供いたしましょう。

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PA49の出品物、新楠公2銭に1次昭和1銭、7銭4枚貼り航空書留配達証明台北宛 櫛福井錦町16・10・14
知る人ぞ知る、ヤフーでの連続・大量出品された物の1点です。福井の道具屋さんが一山当てたもので、関東神宮鎮座貼りやら、随分魅力的な物も有り、結構な高値で落ちてました。余りに綺麗過ぎるものが多く、着印無しとかマイナス要素も有ったのですが、かなりのマテリアルが大川如水発ということも有って、郵趣家便だけれど、消印は真正、あとはルックスに惚れるか不自然な綺麗さを避けるかの価値判断だけという評価でした。弊社にも複数の人から何点か出品されてました。画像の物は思わぬほど競って高くなり、その結果、落札者から鑑定依頼のリクエストが出ました。
この程、財団法人 切手の博物館の鑑定委員会の結論が出て、日付印は真正、後押し=日付戻しで、郵趣マテリアルとしてはFAKEの判断です。オークショ二アとしての処置は、返品を受け付ければ良いのですが、このマテリアルには膨大な数の連れが有るのです。鑑定結果に対しての私見は差し控えますが、今後、このルートからの物は、少なくとも同じ局の日付印ならば実逓の証明がされないものは、出品物から除かざるを得ないのです。但し、同一の出所でも、他の差出人の物とか、明らかに性格の異なる物はこの結論にリンクはしないことも確かなことです。ただ、同種の物への鑑定は当然同じ結論になりますから、今後ヤフーや他のルートに売りに出た、兄弟カバーに関しては、入手並びに、コレクションとして使う場合、慎重な判断が必要になります。

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出品物として送られてきた小判が4点、結論的には流通の場に、無批判に流れ出ることはないのですが、こういうものが有るということを記録に残しておきましょう。5厘の初期無地に朱色の記番、U5銭P13に小局KG⑩は理性が拒否しますし、現物を触れば、もっと確実に見抜ける要素も有るのです。同じルートから、竜48文東京検査済 頭消し、100文の3文字検査済の頭消しというのも、以前来てました。出品者は変な人ではないし、悪意も全くないので、連絡を取って出所を聞きました。事実としては、30年ほど前から、ずっと某氏がそれと承知で密かに持っていたものが、ご遺族から第三者を通じて前提情報無しで、流れ出た物という結論です。コピーやパソコンでなく、手押し印を押していて、そういう目で見れば、見抜ける特徴も有りますから、過度に怖がることは不要です。
③ 

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今回のオークション誌PA50回、JAPEX2007特別セールは、10月4日に冊子小包が呼び名を変えた、郵メールにてのお届けになります。郵政公社は民間の株式会社になって、今度は民・商法の世界での商行為になるのです。従来は、特殊扱い以外の郵便物は、郵便局の責による紛失、誤配や遅配でも、郵便料金の還付が出来ませんでした。郵便法・郵便約款で、還付の手続きに該当条項が無かったからです。民法の考えの不当行為への損害賠償の概念からは放置できず、10月1日からはこの概念を取ってます。詳細な具体例は把握できてませんが、真っ当な民間企業として果たすべき義務を果たしてくれるのでしょう。さて、弊社発の郵メールで検証してみます。結論に走りますが、遅延の場合の法的な賠償義務は、差出の翌日を起点にして3日後、但し特割の遅延承諾が3日加算されるので、4日発なら、10日を過ぎて着かなければ郵便法(郵便約款)違反になるのです。もっとも郵便のホームページを見れば、大阪中央局の集荷なら、八重山・礼文等の離島を除けばかなりの区域で翌日配達予定になってます。こちらの情報が、無責任な自己都合のコマーシャルでなく、責任あるものならば、一般郵便の配達想定日の5日(金)の3日程度後、日・祝を抜いても9日には届いているはずです。もっとも、弊社の郵便物には大阪中央郵便局の郵便部長命令で、員数確認と郵便番号ごとの束ねを厳格チェックせよの指令が出ています。こちらは、100%完璧なルールに基づきやりますので、落ち度の要素は無いのですが、以前、局のミスに強硬なクレームを付けたので、その意趣返しをしているのでしょうか。それはそれで構わないのですが、約定はきっちり果たして欲しいのです。実は、前回のオークション誌の発送でも、1件事故が起きてます。完全な宛名で、弊社が出したのは確かなので、101号でトレースを掛けたのですが、その結果をUPしておきます。探したけれど、不明・・、は予想通りなのですが、特割郵便の九州へ入るルートが、久留米東経由だと初めて知りました。関東は銀座局、北海道は札幌中央とか、入る局は決まってますから、その局の体制で遅延・事故が起きますので、付着・遅延が起きれば制度に添って、調査の請求を出すほうが良いのです。不信を感じたら是非ご一報下さい。

2007年8月10日(木)

「朝日新聞」

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後先になりましたが、7月1日付けの社会面37ページの記事を紹介します。著作物の2次利用に際しての朝日新聞社知的財産センターの承諾=番号 20071094に基づいての掲載です。題字・日付・本文以外の一切の記事は載せられず、組の編集も変えられませんので切り抜きスキャンになります。
趣旨は、金券ショップで切手の買取価格が「暴落」している。郵政公社が7月1日から、大口郵便物の料金を現金の代わりに切手で納付できる制度を廃止し、DM業者の需要がなくなったからだ・・。というものです。一般社会面の記事としては、間違いではないし、概ね正しい認識なのですが、取材を受けた人が別の立場なら、違った視点で論んじたかも知れません。特に公社が切手支払い拒否の理由に挙げている、「窓口での1枚1枚に消印するオペレーションの手間が大変」というのは、全く事実に反してます。収集家なら誰もが知っている通り、多分昭和41年7月1日の制度大改正と関連しているのでしょうが、別納料金で納付された切手は、「波消し・棒消し」で処理してますし、更に今は郵政役人の天下りの組織の一つ=郵便切手振興協会・旧全日本郵便切手普及協会が消え、使用済切手を収集家に還元してその給与等に充てる必要もなくなってるため、納付切手の最終処理は再利用さえ出来なくすれば良いのです。国が絡んでいる。各種保険や印紙・証紙で国庫に納付されているものと同じ扱いで裁断・溶解で構わないので、数千枚の切手を手作業で数千通の郵便物の如く捌く手間など、最初から存在してません。本音の部分は、別にあるのでしょうが、それを表には出せない為の、実態をしらない郵政公社の行政官が無理やり付けた理屈でしょう。この部分の論議は置いておいて、まずは記事をお読み下さい。

2007年7月7日(土)

「郵税としての郵便切手」
郵便切手の持つ意味を、歴史を紐解いて解釈いたします。これはローランド・ヒル以来、本邦も含めて郵便制度を導入した組織は共通の認識を持っています。つまり、郵便役務の提供に対する支払い=郵税として、唯一、郵便切手を前払いの証紙として認め、実際の郵便物に直接貼付するのが大原則になってます。実務上は、創業時は封の裏に、最近は左肩にというように、貼付位置すら、法令で指定されているのです。
歴史的な要素として、ヨーロッパでの郵便制度における郵便切手の採用は、郵便物の料金前納と郵便差出箱への差出しを容易にし、そのことが郵便制度に飛躍的な発展をもたらす一大要因になってます。今日でも、郵便切手による料金前納が郵便料金納付の原則になっているのも、この効用の外、郵便窓口における金銭出納事務の簡便化に役立っていることによるのです。別納でも、切手での納付がオペレーションに過重な負担がかかるという郵政公社の言い分は、的外れだし、余りにも視野狭窄と言わざるを得ません。
郵税に限らず、登記費用や、自動車税、健康保険料等は、印紙を潰すことで国庫に料金を納付しているのです。別納郵便のB4版にきっちり、四角に同一額面の切手を貼った台紙を、無効にするのに、どれだけの手間が要るのでしょうか。まさか、一枚づつ、消印を押す義務が有るとは思ってはいないでしょうに。納付する方も、受け取って、即ルートに流したいはずなので、プロの大量の差出代行者は、一目瞭然で計算が出来るように収めるはずですから。
翻って、歴史上郵便役務への支払いに、郵便切手を直接貼付しない場合を探して見ました。創業当時の別段急便、明治16年以前の、郵便局これ無き土地への別仕立はユニバーサルサービス以前の、複雑な料金体系故に、あと精算でも已むを得ないでしょう。金子入り書状は、内国通運等の外部への委託なので、郵便切手は使えません。それ以外は、相当厳しく見ても、内容証明の謄本に貼付(封筒でなく)、官製はがき・郵便書簡等の切手でなく料額印面での支払い位しか見つかりません。これらは世間的には郵便切手での支払いと同じ意味になるでしょう。その後、大正8年になって、料金別納制度が出来ました。利用には幾つもの制限が掛かってますが、差出人にとっては、個々の郵便物への切手貼付の手間が省け、当局も消印の仕事をやらずにすむ、双方にとって労力軽減のメリットが生まれます。誰も損をしないし、郵税の納付は、切手を台紙に貼って収めるので、郵便切手の効力と、役務に対する納付手段としては、本質的な変化は生じてません。
観点を換えて論じます。郵便法等で規定されている、郵便に関する料金(法32等)を現金で特別に納付することができる場合は、次のケースに限られます。ネタ本が少し古いので、一部変更があるやもしれませんが、本質は変わってないと思います。
①  料金別納郵便物に関する料金
② 料金計器別納による場合の料金
③ 「料金後納による場合の料金。」この場合には、現金で納付することとされている。その意味は、後納=後精算と、郵便切手の持つ、前払い=差出と同時の支払いとが相容れないための制度かも知れません。
④ 転送料及び還付料
⑤ 料金未納又は不足の普通通常郵便物の不納額及び手数料
⑥ 料金未納又は不足の郵便物を還付の際の料金
⑦ 郵便法19条に違反して差し出された郵便物の還付の際の料金
⑧ 切手類の交換手数料
⑨ 第三種郵便物認可申請料及び第三種郵便物の題号等の変更認可料
⑩ 私設郵便差出箱の取集料及び郵便私書箱の使用料
で全てです。平成7年に或る特殊なシステムが導入されるまでは。それは、次回に論じますが、①~③は、料金額が高額になることが多く、現金での納付の方が利用者・郵便局双方に便利であるし、④~⑦は利用者に郵便切手の手持ちがないことが多いと考えられるし、⑧の葉書の場合は切手の手持ちがない場合があり、⑨~⑩も或る程度高額になる場合が多いと考えられているのでしょう。
なお、もとより、③の場合を除き、全てのケースで郵便切手で納付することも差し支えなく、その選択は利用者の随時なのです。郵便役務に対する支払い手段は、ひとえに、「郵便切手」であると郵便法は定めているのです。そして、実務規定である、郵便約款は郵便法の規定に反しないことが大前提なのですよ。
次回につづく。