2009年8月5日(水)

『知的好奇心』 

 (280KB)

8月号の原稿は既に校了、11日に納品になり12日に発送します。Webで情報をご覧の方には5日から下見可能です。それに先立ち、オークション誌には書き切れない情報をチョッと書いておきましょう。まずは、知的好奇心が刺激される、ひねった情報からです。
Lot 1924 大型小包送票(乙)
根拠となる告示を探せませんでしたが、明治31年の時点では、大型の乙は、受取人に一定の期日内に配達できなかった小包の事後の取り扱いに限って使われた物なのでしょう。中央部に「転送・還付」の2要因が書かれ、扱いを問うてます。当然ながら初めてお目にかかりました。想像だに出来なかった珍しいマテリアルです。
Lot1412 着印 季節局 信濃御嶽山
田中寛さんの「丸一印の分類と楽しみ方」P57に載ってます。山岳季節局=富士・御嶽・浅間の三局に共通ですが、その業務は「普通郵便及普通小包郵便物ノ引受並二交付二限リ・・・」と有るのです。実例も、圧倒的に葉書の「引受」に限られ、封書はかなり少ないでしょう。それ以上に可能性として、有り得るけれど少ないのが、「交付」です。留置で出頭を待って手渡すサービスということです。今回の物が正にそれ、御嶽郵便局止めできっちりその役目を果たしたのでしょう。
Lot2126 鳩郵便 新宿三越展
鳩郵便で有名な物は、白木屋の満蒙展、これはかなりの数を見かけます。それ以外にも、毎日や読売が企画した同様な物も時々見た記憶が有るのです。でも、今回の鳩便には見覚えがありませんでした。消印が不鮮明、かろうじて読めたのは一文字で「浮」、裏の書き込みは大島にて・・。だから、この消印は「東京波浮湊」伊豆大島から伝書鳩が新宿三越に手紙を運んでくる。なかなかの良い光景だと思うのですが。
Lot1861 ゼロ付立山125円絵葉書航空便ドイツ宛 TOKYO19.ⅵ.52
ゼロ付立山の消印収集ポイントの一つは、ゼロ無発行前が必須、これは誰でも知ってます。発行日はゼロ付が1952.2.11、ゼロ無が1952.7.1、この条件で欧文印を探せば、必然的に櫛型がスタンダードになるのです。ところが、1952.4.10に重要な告示が出ています。交換局6局に限定ですが、この日で櫛型から三日月に切り替わっているのです。切り替え遅れも有るし、大局であっても、2ヶ月と3週間の期間での欧文三日月消は理屈の上からも高いステータスを与えても良いでしょう。立山航空の場合、欧文櫛でよく見かけるのは、商社や企業関係の差出郵便物が非常に多い東京と大阪の市内局の数局です。
OSAKAHIGASHI,KITAHAMA,NIHONNBASHI,SHIBAですが、この4局は三日月への切り替えが遅れてます。その意味でも、1952.4.10~6.30のゼロ付立山・三日月は非常に難易度が高いのです。今回のマテリアルは、ヨーロッパ宛でしかも葉書=封書と同一料金というおまけ付、何だ、TOKYOかと見過ごして良いものではないのです。反応できる人が2人以上いるなら、オークションはにぎやかになるでしょう。