2009年5月21日(木)

『ノスタルジー』
最近イギリスから届いた手紙を開いたら、オークションの廃業連絡、支払い済みのカタログ購読料の返金のインフォメーションでした。「Bonhams」というよりも、サザビー、クリスティーに続くステータスのオークション企業、Phillipsの切手部門のオークション業務を行っていた会社です。私にすれば、Phillipsの名前でオークションをやっていた時代のNew Bond の古~い建物、迷路状態の建物で、一人では切手部門には辿り着けないオフィースに強い印象が有るのです。オークションとしては、Japanの大コレクションの売り立てや、記憶に鮮明な大きい掘り出しはないのですが、カタログの編集方針が、全世界のコレクション・アキュムレーションをトップに並べて、しかも参考値の高い順にロッティングをしていて何時も同じスタイルの編集手法の印象が強いのです。押しなべて値段の設定は割安で、売りきりが前提なので、ここに出ている全世界のぶ厚いアルバムを買って、ページをちぎって国別に売れば結構商売になるので、イギリスを中心に世界中のゼネラルディーラーや、中小のオークションハウスの効率の良い仕入れのソースになってました。
売りの需要は引続き幾らでも有るはずなのに、買いの意欲が追いつかずに、ビジネスとして成り立たないとしたならば、業界にとってはいい話では有りません。
イギリスの切手部門のクラシカルな4大オークションハウスといえば、ギボンズ、ハーマー、ロブソン・ロー、フィリップスで誰も異論を唱えません。でもギボンズは出版・アルバムは残っても、オークションはWebが主体です。去年の旧小20銭貼りカバーの出品など奇跡的な出来事でした。ハーマーは経営がイタリア人だし、ロブソン・ローも2度名前が変わってます。そして最後がフィリプス・・・。
Bonhams=Phillipsに限らず、最近はオークショニアの永久的な廃業の連絡を貰うことが多いのです。私の経験を踏まえて、思い出深い経験を幾つか書いて見ましょうか。買った物、買えなかったものを含めて、殆どどこにも書いてないはずのお話です。
今回の弊社のフロアに出ている目玉が旧小30銭の11L、チューリッヒでのRobson Loweでのアレン大佐のコレクションに有ったものです。私はまだ、動いてなく、カタログをライブでは見ていません。でも、当時の新進気鋭のコレクターがメールビッドで落として、どこにも出さずに秘かに持っていて、直近にE-bayでもっといい状態の物を手に入れて、ダブったからと出品してくれたのです。何人かに聞きましたが、この直近の掘り出しに気づいた人はいないようです。
私の経験でも、30銭11Lは多分7~8枚は扱ってます。その内の3回は海外での掘り出しです。まだ直接外国に行く前に、メールで落としたロットに入っていたことも有るのです。確か1980年代の前半、最初に11Lを手にした頃、偶然にも他の目打の珍品の入手のチャンスが来たのです。目打の珍品で、当時はまだ表で売られた記録がなかったもの。菊50銭C12x121/2 未使用、大白25銭L12未使用、小判・菊・田沢を3枚オークションの表紙に並べて売ろうかなと思ったのです。1枚は既に手元にあり、後の2点も手を伸ばせば届く所に有りました。
『菊50銭・・・に続く・・・』