japan-stamp Archive

2012年4月6日(金)

『オークション・ライブで中継 2』

出品物の受け付け締め切りまであと2日、土曜日には確実に5人がご来店、海外からも既に送ったの連絡が3件、FedexとEMSなので、きっちりと着くでしょう。ここ数日は1日の受け付け件数が5件~10件のペース、ザット数えて、入稿日までの必要処理件数が80人位になりそうです。いつもなら、締め切ってからの入稿までに約1ヶ月を見ていますが、今回はGWが絡むため、1週間の前倒し、20日間で80人分は相当にきつくなりそうです。

出品物の受け付けは、みなし前日扱いはせずに、7日の土曜日に事務所に届いた物でシャットアウトです。週明けで、メール分を抜き出して、フロアの土曜日セールが必須のものと、日曜日でなければならないものを区別します。現行切手関係は土曜日に、中国関係は日曜日に、しかもセールの時間帯でもくっつけての掲載です。

普通のペースで、記事の編集は1日で100ロット、但し、書けるように並べさえすれば集中すれば、スピードは更に上がります。全部は詳しくは見ていませんが、内容的には結構幅広いのですが編集に苦労するものは無いでしょう。積み残さずに済ませます。

目玉は、突然の電話でやってきた、「オークションでは何が売れますか?」のお問合せ。この質問は最悪でタブー、だからまともには答えないのですが、東宮婚儀の不発行、満州の国防献金、坂東ラーゲル、手彫のシート、青島軍事、かつお釣り・・と答えます。普通はそれで終わるのですが、今回は反応が違いました。並べた順に前からの4点がマジで本当にやってきて、ご尊父が三重県の業者から「自宅でバザール」で買っていた物とか。不発行はシートを4分割した田型を、目の前で、単片に切ったとか・・。竜の200文の初期のブロックなど、オークションの「特」の部なので信じられない金額の伝票を見せられました。ふた時代前のデールだし、お買い上げがご本人ではないのが救いです。売れるであろう概算の数字を電卓で叩いたら、その線でOKの返事を貰いました。手彫の単片も概ね揃っていたのですが、今回の出品は和桜20銭仮名入りだけに留めました。作ったようなおお話ですが、この人の出品は、今回のセールのラストのパートに並べます。

2012年4月2日(月)

『オークション・ライブで中継 1』

第71回フロアは2月25日・26日に開催、第61回メールは2月28日が締め切り、この分のご出品者へのお支払いは、3月13日(火)に完了しています。会社としては、当然ながら、次のセールに進んでいます。

初めての試みですが、オークションの流れを時系列にライブでご報告してみようと思います。次回のセールは第72回フロアが6月2日・3日開催、第62回メールは6月5日が締め切りです。今はまだ、ご出品の受付中、今週の土曜日7日が、最終のデッドラインです。現状で記事の編集が終わったのが、フロアは600点、メールが1700点、最終的には合わせて6000点を目指すのですが、今の段階でかなり日程がタイトになっています。

入稿日は4月27日で確定、GWは4月29日~5月7日までが完全にお休み、発送が5月16日になります。Web.での下見は5月10日から、東京下見会は5月27日です。

セールを終わっての精算は、遅くとも6月21日に、実績では返品受付と残品売りの締め切り日=6月19日の昼には、確定の伝票を出しています。

編集・入稿・納品発送・下見・メールビッド・セール・発送・精算までの流れを、週に2回程度、数字をメインに書いて見ます。オークションのバックヤードツアー、結構面白いと思います。

2012年3月6日(火)

『中国切手のデリバティブ』

昨日と今日で電話が2件、鹿児島からと岡山から、全くの未知の人からでしたが、新中国切手のオークションでの出品に関しての問い合わせです。新中国の相場は、現時点で振り返れば、去年の横浜国際展が天井、売り物を作る端から奪い合いになっていました。その後の11月のJAPEXがギリギリでセーフ、直後の無錫のアジア展で明瞭に下がって、旧正月明けの現在も相場は戻ってきていません。聞くところによれば、中国本国での不動産バブルの崩壊が一因とか。見方によれば、余りに急激に値段が上がったことへの副作用での相場の修正の一休みかも知れません。だから、お問合せへの返事は、今の相場でよろしければどうぞ。クールな値段だけが問題で、相場の値段できっちりと売れますし、将来的に上がるか下がるかは誰も判りません。プロの感性できっちり最低値を決めますから。

具体的な相場としては、本土の業者が買う値段で、T46 赤猿の単片が、最高値で13.5万、今はギリギリで10.5万です。プロが相場を見る参考にするのは、本土で発行される相場新聞です。少なくとも4種は出ていて、勢いの有る時は大いに参考にしていました。値上がり局面では素早く上げています。ただ、値下がり局面では活字に現れる値動きが緩く高止まりしています。4社で元からの数字には差があり、9500元~11800元ですが、少なくともここ数ヶ月は値段は動いていないのです。JPSの赤いカタログや、郵趣の買い入れ広告は、右肩下がりの局面には的確な対応は取れないのです。浮世離れした数字が残ってしまいます。数字はオールマイティーでは有りません。しいて言えば、中国のオークションのサイトのデータが、最も信頼度が高いのです。ライブで動いていますから。私の考えでは、中国は、常に売りたい時が売り時です。オークションに出してのそこでの結果に納得するしかないのです。

ちょっとした面白いお話を聞きました。欧米資本のオークションハウスが数社、香港に進出して、1回のセールで数億円から10億円の売り上げをたたき出しています。未だに羨ましいばかりの勢いが続いています。中国人は、他人に委ねるという行動パターンのメールビッドをしないので、競りは100%、場での強烈なバトルでの結果です。明らかに、相場では有り得ないハンマープライスで落ちています。その数字で、全く同じものをオファーしても、彼らは絶対に買いません。オークションで成立している数字の幾分かに裏の事情が隠れているのです。

「デリバティブ」が掛かっています。大雑把に言えば、落とした後にキャンセルの権利を付けているのです。6ヶ月以内に引き取れば良い。相場が下がっていればキャンセルでも構わない。ただし、その為には一定の手数料(多分5%~10%)が掛かり、それは返金されません。オークションの出品物なので、定めた期日には出品者には支払われます。だから、出品者がこの条件に納得したマテリアル(オークションハウス自身の商品か、影響力を行使できるグループの出品物)に対して、特定の参加者のみが、6ヶ月以内の相場の上昇に賭けて勝負するのです。香港での中国切手のオークション、善良なコレクタブルアイテムの競りとは別世界の鉄火場勝負になっています。今の相場では、当然ながらデリバティブの手数料を捨てて、品物購入権を放棄する方が怪我は少ないでしょう。売れたことになっていても、引き取られない「猿のシート」が、しこり玉になって、うろうろしているかも知れません。新中国切手の相場が円滑に動くには、ちょっと時間がかかるかも。

私事ですが、明日から香港に出張します。弊社のオークションの落札品の現地へのお届けが3件と中国切手の相場勉強がメインです。週末開催のオークションには、先方からのご招待のメールも来たし、セールのスケジュール自体もこちらのリクエストを入れたので行かざるを得ないのです。マテリアルとしては、ウッドワードからスポールディングへ移った、丸菊1銭の版の研究ロット、数千枚の未使用の束・・とかも出ているのでJAPANの買い物も少しは有ればと思ってます。

2012年2月7日(火)

『ポスパケット約款第10条』

PA71・MA61のオークション誌は2月9日正午~午後1時の大阪支店の集荷で発送いたします。今回は、下見期間が短く、期間中の土曜日が18日の1回しかありません。よって、11日=建国記念日も、特別に昼頃から18時までなら下見可能といたします。10日には本は届いていないと思いますが、Webでの情報をお持ちの方、また当日のお渡しでOKの方は直接お越し下さい。

オークション誌の発送は、郵便事業会社大阪支店との相談の上で、双方に最も益の多い方法を採っています。確か去年の10月1日からだったと思いますが、郵便事業会社の赤字削減対策として、65歳以上のゆうメートさんが、全て契約を更新されなくなりました。違う立場での増員もなく、平常の業務を行うための人手は明らかに足りません。弊社の集荷にも支店の担当者からリクエストが入って、五・十日は外して、しかも昼一ぐらいには出して欲しい。そうでないとルートに流すのが1日遅れるとのことなのです。だから、逆算して9日のお昼に出すのです。

発送は、「特約ゆうメール」、郵便事業会社のホームページには、その存在は載っていません。日本郵便は、今は民間企業なので、料金の設定は法定でなく、事業者が任意に定められます。詳細を書くのは大変なので今はやめますが、「特約ゆうメール」の料金は、ユーザーと、引受支店の支店長との交渉で決められるのです。年間の差出予定数が一定以上が条件です。“郵便法”上の種類としては、元の冊子小包=今のゆうメールが該当し、信書・物品(電磁媒体を除く)は送れません。そして、料金の支払い手段は、後納か計器別納に限られ、結論的には切手での支払いは出来ません(郵便法43条が根拠になります)。料金は契約時の年間利用予定数で変動します。でも、交渉次第とか、支店によってバラバラでなく、大枠は決まっているのです。弊社の場合は、年間数量1万通+ゆうぱっくが1000個で話を決めました。1年経過で、軽く超えたので、年賀の記念品を貰いました。今回のオークション誌は500グラムを超え、1キロ未満なので、日本全国@108円の設定です。500グラムまでなら75円です。

表立っての宣伝もしてないのですが、コンセプトはひとえに、「打倒・ドラ猫・メール便」なのです。最初は、ヤマトのメール便のお客限定での乗り換え狙いとか言っていましたが、実際はその条件は付けていません。かのメール便よりは遥かに安いし、佐川急便が郵政の超大口割引を使って乗っかっている、引き受けてバーコードを入れるのに1日、更には大口割引=特割での遅延承諾3日付加のよりも、ユーザー直出しの「特約ゆうメール」の方が値段もサービスも優位なのです。最近の郵便物を注意して見て下さい。「料金後納」が増えているのに気づきませんか、かなりの割合で特約ゆうメールの扱いでやっているはずです。官公庁・金融機関・教育産業・通販業界など、支店の担当者が営業を掛ければ、誰だって乗ってくるはずです。値段も安いし、サービスも郵便の物流を知っているものが見れば驚きの手法を取り入れています。

弊社も喜んで使います。値段は二の次で、別の要因=配達スピードを重視してですが。最初の契約時に詰めたのですが、郵便物の種別は、旧冊子小包、根拠法令は「ポスパケット約款」になります。そして、配送での扱いは、第1種定形外としてのルートに乗せるのです。速達やレターパック並みの優先ではないけれど、大口の割引荷物のようには劣後はしない、配達予定通りの扱いです。弊社の以前の出し方は、冊子小包=ゆうメールの500通以上同時差出・郵便番号2桁~5桁区分の特割でした。この場合、1キロ未満で、定価340円が、割引で支店内が230円、大阪府内が250円、府外が285円、切手別納での支払い可でした。そして、特割なので、繁忙期は他の郵便物に劣後して、3日程度の遅延承諾が掛かります。弊社の荷物の場合、大阪支店の集荷・計量(1000通超)を経て、集中局の新大阪支店へ流れます。ここで、多分、郵便番号の上2桁区分で各地の中継支店へ動くのですが、特割であっても、違っても、新大阪以前で、意図的に留まることは有りません。但し、特割の場合、東京23区へは、銀座支店へ行き、北海道へは2日に1便のJRコンテナでの鉄道輸送になるのです。北海道へは平均で1週間掛かるので、このルートは使わずに割引なしの340円のゆうメールで出していました。

ところが、「特約ゆうメール」は、特割でない、第1種として流すので、東京へは銀座外しの新東京支店へ行き、北海道へはデイリーで飛ぶ、JALの新千歳便に乗るのです。必然的にスピードがアップされます。但し、昔からよく言われている都市伝説で、切手を貼らない、日付印を押さない郵便物は遅れてもばれないから後回しにする=計画配送というのも有るそうです。それを防ぐために、差出シールに「大阪支店・2月9日集荷」を入れて出しています。正確にその日でないとダメで、シールの日付の前でも後でも、事業会社は強固にクレームを付けてきますから緊張感を持って、スケジュールを立てるのです。

この特約ゆうメール、ドラ猫からは顧客を奪うという目的は果たせるでしょう。ただ、大量の貨物を捌くために作ったルートを通さずに、旧来の信書と同じ第1種扱いで、劣後せずに届けるという約定は、果たして何時まで続くのか、些か危惧しているのです。利用増に、人員を削減された、物流拠点の処理能力が悲鳴を上げてパンクすることを恐れます。

嫌味でもないのですが、「ポスパケット約款」の第10条をお見せしましょう。

(荷物の配達を行う日)

第10条 当社は、地理的条件、天候、交通事情、その他やむを得ない事由による場合を除き、荷物受取日の翌日から起算(中略)して3日(日曜日、休日及び1月2日は算入しません。)を経過した日までに荷物を配達します。ただし、運賃料金表に規定する料金を適用するもの(一部略)については、この限りでは有りません。

特割の場合は、遅延承諾付ですが、特約ゆうメールはそうでない事は、何度も確認を取っています。だから、今回の場合は、9日の午後5時以前の引受なので、翌日の10日をカウント、11日祝日、12日日曜をスキップして、13日(月)の次の14日(火)が義務日になります。今までも、未着や遅延の問合せを頂くたびに101号の調査を出しており、大阪支店の課長代理・総務主任さんの名刺は一杯溜まっています。仮に、14日に付かなくて、弊社で、遅延の調査依頼を出しても、恐らくは効果は有りません。101号の、付着や遅延の調査依頼は、受取人にても出せます。2月9日事務所での集荷、特約ゆうメール、B5サイズのクラフト封筒、約900グラムの本2冊で各地から調査依頼が出たほうが、効果があると思います。特に、郵便番号の上2桁が33・34を受け持つ、埼玉新都心支店で、パレットがお休みすることが多いのです。

法令に定められたユーザーとしての権利は主張できるのですが、この特約ゆうメールという郵便事業会社の商品設計は、経済学上の視点では、ちょっと成り立たないということは、現場の職員さんと話せば簡単に判ることなのです。それが有る以上は利用させて頂きますが。また、ポスパケット約款の10条、定めはあっても、履行できない場合の、罰則と賠償規定はないのです。故意又は重過失なら別ですが、一般的には努力目標ととらえて置く方が腹が立たなくて良いでしょう。

2012年1月20日(金)

行徳国宏著

『航空郵便路線に搭載された速達郵便を集める』

(戦後の郵政資料 第7巻)

が入荷しました。

 (717KB)

頒価 2,300円+300円(送料)=2,600円 にて販売いたします。

ジャパン・スタンプ 商会 会員様は代金後払いにて、ご注文下さい。
店頭及びバザールにても販売いたします。

2011年12月27日(火)

『最終更新』

本年最後の更新なので、溜まっている垢を大掃除してしまいましょう。余り気分良い話ではないのですが、何時までも甘い顔で放置しては片付きません。年明け早々にでも一定の結論を得ねばなりません。

未払い金のお話です。JAPEXセールでも、特集的にやった、中国関係での大口の未払いが一件有るのです。情報通の中国人から耳打ちがあって、あいつには要注意と言われていた、夫婦連れの香港人、日本でも何度か姿を見たし、香港のオークションでは良く会う痩せたお兄ちゃんです。ビッド自体は、フロアで落としてそのまま帰国、請求書を書留で送って、やっとメールで返事が来て、来年1月15日に大阪へ来て、支払ってピックアップするとのこと。でも当日は日曜日だということを知ってか知らずかは不明です。直ぐ送金するようにと連絡をいれましたが、当然何の反応もなし。猿を13万、愛・科学を20万で落としているし、その時に即本国に走ってしまえば、5分は儲けられても今の相場では足が出る、元からあのセールでの新旧中国ともに目一杯の値段なので、引き取っても転売での鞘抜きは無理でしょう。約束を果たしたくても、本国のオークションハウスにも数千万の借金が有るとのこと。期日を切って、弊社が買取で後処理をするしかないでしょう。出品者には、弊社は約定の期日までに当然支払い済み、海外のオークションハウスでは、支払い不能の場合、落札をキャンセルして再出品するみたいな規定もあるのですが、日本のルールではそれはダメ、オークショニアが何もなかった如くに義務として100%の責任を果たします。出品者には何の責任も落ち度もありません。

別の中国人でも長期に滞っているケースがあるのです。旧中国・満州・南方の使用例のコレクター、相場の5倍~10倍でビッドして来ます。満州の小型一徳一心葉書は、満州郵票会発も含めて、@100万円で常にビッドが来ていました。落札は強気の2番札の一刻み上なので31万位です。この時は在大阪の元中国残留のお爺さんを窓口にしてのビッドでした。でもこの爺さんが弊社のバザールで万引きして現行犯で逮捕、半年は拘束されていたはずです。盗んだ物は他のオークションに相当な金額の出品をしていて、現行犯以外のものも立件されて起訴・・国選弁護士が入って、弊社とは、民事はそれなりの金額で和解しましたが、刑事事件の方は結果の連絡を貰っていません。一般の刑事事件の場合、検事からの被害者への報告はないのです。この件は本国の大金持ちには責任は有りません。代理人が消えた後は、本来の収集家が必死に電話して来て、メールでビッド、落札率は100%です。支払いがスムーズならば最高ですが、払いは1年遅れが日常です。物は前送しないのでリスクは押さえられるのですが、JAPEXセール前は迷いました。取り敢えずは、他の海外の上顧客に対するのと同じ様に、100何ページの中国のパートのカラーコピーを送りました。同時に、ビッドするなら、前の借金をクリアして、次のビッドのデポジットを全額入れよ。黙っていれば、競りに競って、総額1000万レベルの落札の可能性が有ったのです。その後の連絡は全くなし、この人物とも縁を切らねばなりません。無意味に待つのはストレスが溜まります。

中国系だけでなく、日本にも、ちょっとどうかという輩がかなりいるのです。コレクターの分割払い・ボーナス払いでも、問題なく受け付けます。約束を果たしてくれることが前提ですが。オークショニアとしては、その位の余裕は必要ですから。でも、私のビジネスの経験上、過去の何年かに弁護士から3件の自己破産の連絡を受けました。何れも業者です。それ以外に、コレクターで売り掛け残がある状態での連絡不能、自己破産か夜逃げのケースも片手では足りません。これらのケースは償却で損金処理するしかないのです。

横浜国際展で、ドイツのオークションハウスのオーナーが、ある人物への請求書を持ってやってきました。第2回のオークションで落札、前送したら支払いなし、円換算で200万ぐらい未払い残の有る日本の業者がいて、今回もブースを出すはずなので、直接会っての集金狙いに来たのです。件の業者は、それを察知したのか敵前逃亡で、ブースはキャンセルになっていました。この人物は弊社にも常に多額の赤残が有って、出品物で相殺のつもりかもしれないけど、彼が付けている小売りの値札の1掛で出品しても売れません。高いから売れない、安ければ売れるでなく、要するに誰もが要らないものを商品として後生大事に持っているのでしょう。品物を出してくるということは、日本人の感覚なら、多少の誠意ということになるかも知らないけど、ドイツのオークションハウスが現地で裁判を起こして、確定判決を得て、強制執行の委任を掛ければ、逃れる術はないのです。海外での裁判なら、訴えられた時点で負けてしまいます。ドイツからの仰々しい封筒の到着に怯える日々は楽しくはないでしょうに。

かの人物のお友達かどうかは知りませんが、プロとして信じられない行為を為した輩がいます。数年前の弊社のオークションで竜のカバーを落札、その時はコレクションのつもりかも知らないけれど、未払いの状態で、他のオークションに出品、精算が終わっても弊社への支払いが有りません。当然、何度も請求するし、その都度お詫びのメールと、支払い予定の日程表は来るのですが、最初の1~2度しか実行されません。今年は、地震でお客が影響を受け、月に数百万の減収、また顧客の高齢化に伴い、会員数の減少が著しいという言訳です。そのくせ、弊社が今年オークション・買い取りで扱った、数件の著名コレクターのご遺族には、必ず、「作品集を出しましょう」・・(その後は自分が売ってあげますよ)のオファーを掛けているのです。実際にこのパターンも、弊社とは無関係のコレクターで成就しているようですが、ひとごとながら、お支払いは?・・と危惧してしまいます。弊社としての売掛金の回収に関する与えられる猶予期限は切れています。年明けにも法的な行動を起こします。刑法の詐欺・・だから、警察・・というのは実現性は有りません。でも民事の代金回収の訴訟は、起こさないほうが愚かなので、きっちり責任をとって貰いましょう。

年末恒例の不思議話を書きましょう。『福丸の市の竜』、京都の骨董・道具の市でも、殆ど紙物は出ないのです。商売ベースでの取引品目としてはエンタは過去の遺物です。でも、どういう訳か、福丸には、大将・将軍が一人いて、士官や武官が付いていない、雑兵をお供に連れた売り物が時々出るのです。有り得ない現象なのです。既にネタは割れていて、誰も怖がって買いません。仕込んだ竜と見るのです。最近3回連続で、このパターンが有りました。「竜48文単貼横浜宛 東京検査済」、「菊4銭貼絵葉書 年2字GAISEN-MARU」、「勅額10銭無目打4枚貼 速達」。おちょくり屋さんがちょこっと、お付き合いして、何れも同じ人物がお買い上げ。市で出た、初出しの珍品カバー、第珍品としてオークションの目玉になるのでしょうか。どこかで見かければ、目に唾して精査しないといけないでしょう。度胸があり、感性が求めるのなら、飛び込んで買うのもいいのかも。

今回のお話は、何れも、勘違いや幻ならハッピーなのですが、冗談で放置できる時間は過ぎたので、敢て問題提起する次第です。

2011年12月24日(土)

『dボタンと玉六ヨ』

11月2日に放送されたテレビ番組に取材協力しました。読売テレビの「すまたん・ZIP」の朝7時過ぎの各地域ローカル局製作枠の、「教えて辛坊さん」のコーナーです。私はシルエットでコメントし、その後の連絡先はdボタンで検索できたようなのです。お家に眠っているお宝というコンセプトで、読売の下請けのプロダクションのディレクターが2人やってきました。電話での事前取材が15分、直接の面談が30分、最終確認の電話が5分で格好をつけました。最初は、所謂記念切手の四天王?見返り・雁・ビードロ・写楽が、随分値上がりしているというお話でお話を作りたかったみたいですが、実情は逆、デフレ率の高い物の特集の材料にしましょうか?というアイデアで持ちかけたのです。それでは絵にならないので、「切手で高い物」しかも普通のご家庭に有るという視点で、中国切手を薦めました。「猿とパンダと梅蘭芳」、猿は当時50円が13万、パンダはポートピアでの売値100~200円が15000円になっています。相手は趣味週間に拘っていたので、今の単片の買い入れ値は、見返り1500円、雁2000円、ビードロ・写楽は10円で放送されました。ついでに水仙シートは高い時は業者の買い入れ値が1万円、それを今回250円で売りました。

意外なほどに反応があって、自分からは取材されたことは誰にも言ってないのに、知り合いで、テレビで見たよというのが10人以上いましたし、テレビの猿とパンダを持っているという電話が7人から有りました。裏番組の、みのもんたさんより、辛坊さんが好きという人が関西には多いのでしょうか。電話の7人中6人が実際やってきて、それなりの商売になりました。でも、テレビの数字=パンダの15000は、最高値の業者間の取引値、買取値は違うのです、と言っても、大阪のおばちゃん達は中々にえげつないのです。15000円で売れるのでしょう・・。安い値段では叱られます。一緒にくっついてくる物をひねって、何とかこじつけましたが。

この取材、最初は東京の公益財団法人に行ったのです。千葉さんが対応したけど、電話とE-メールでの、ズブの素人さん立案の企画でのやり取りでは無理、千葉さんが最後に切れてしまってこちらへ振ったと言っていました。東京は放送もないし、お礼のボールペンもなかったとか。でも、放送の前段では千葉さんの写真がデカデカと映ったし、高くなった切手で、秋田犬2円の財務省銘500円、バサラ大将500円のCM濃オリーブが50000円、JPSオークションの表紙の「玉六ヨ」が3000万で出ていました。3000万の是非は兎も角、玉六ヨには幾らでも記事に出来る材料が有るのですが、巷間記事になっていることは止めにして、この時の切手の裏話に絞って書きましょう。

オークションでは確か700~800万ぐらいで落ちて、2001年国際展のナショナルグランプリ作品に入っています。元の持ち主は大阪の化粧品会社のオーナーで、ご遺族が切手商に売っています。その相手は、今年私が500個のダンボールを買った人なのです。玉六はオークションに出た時点では、切手の博物館の鑑定が始まってなく、日本郵趣連合のそれに出ています。すったもんだで、結論としては意見なし、as is 条件で売りに出て、フロアで落ちた瞬間には大歓声だった?とか。因みに、その後の資料収集と検証の結果、今は玉六ヨの鑑定依頼には、100%正邪の意見が付くようになっています。墨六ヨとポジションを合わせて、更に目打を調べれば紛れは起きないそうです。ご遺族と業者の取引値は元の持ち主の買値でした。聞きましたが、野暮だから書きません。実はこの時に他の物も一緒に取引がなされていて、買い入れる際の電卓のチェッカーと他の手彫が、小さいストックブックに残っていました。未使用の高いもの、和紙6銭へ、改色1銭ト、洋紙2銭ヌ・ヲ・タがそのままの状態で有ったのです。大部分は今年の弊社のオークションで売りました。玉六は、友人関係の水原明窓さんに頼まれて出品したと聞いています。この切手を手にした方は、売らずに持っているのが大好きでした。玉六ヨも、ほんの少しの状況の差で、私が手にしたストックブックに入ったまま・・という可能性も大いに有ったのです。でも、私とすれば、カタログ値3000万円の玉六ヨを無理やり、水増しの型価基準で踏まされるよりは、トピカルのパンダで商売できた今の状況の方が遥かにハッピーです。今年のJAPEXでの弊社のオークションは、この方のストックの中国切手が目玉でした。このエピソードは次回です。

2011年12月21日(水)

『売ります・買います』

2012年版のJPS新中国切手カタログが届きました。猿が18万、パンダが25000なので、随分と、ド派手に値上げしています。今年の夏から秋にかけての勢いからは、この値段設定も分かりますが、昨今の本土での実需の相場ではこのカタログ値は通りません。今までにも何度か有った、値段調整の停滞期を過ぎて、エネルギーを増しての再上昇で、カタログ値は安すぎるよというデジャブーに出会えるのは何時のことになるのでしょうか。

直近の相場新聞の数字を出しておきましょう。2012年1月号です。月1の発行ですが、上げは早いのですが、下げには慎重になっています。有り体に言えば、相場の下落を反映してはいません。11月頭までは、この新聞の「買い」の数字に元/円のレートの12~13を掛ければ円換算になり、横浜国際展では商品を作る端から、目の色を変えた中国人同士の取り合いになって売れました。新聞の元に14を掛けて、値切られて、1割引いて商売成立がパターンだったのです。今は、見向きもされません。

銘柄・番号  売ります・人民元   買います・人民元

赤猿 T46 12500 11000=132000円

パンダ 革14 2000 1400=16800円

梅蘭芳小型 紀94M 250000 150000=1800000円

猿が13万、パンダが15000、梅蘭芳が200万というのが、まさに相場だったのです。

郵趣に広告を出している、ぱくちゃん=日中スタンプ商事、さとうくん=宇中(うなか)スタンプ、はるよさん=ケン・ベーカーが僅差で値組みの数字を出していますが、その根拠は正に相場新聞の数字です。直近まで、実際にその値段で買っていたはずです。相場の矢印が右上を向いていたならば、彼や彼女らなら約束は守ります。今は、弱っているでしょう。相場が急変ということで値段を下げざるを得ないのですが、結構エネルギーがいるのです。最初から広告主を疑って、喧嘩を売ってくる輩もいますから。上の数字で分かる通り、「猿」は1割の鞘の範囲での商売です。買います=は業者が買う値段、売りますは、業者が売る値段、最近の相場での13万で動いている猿は、利益5000円で100%本土のシンジケートに入ります。この値段で買えるコレクターは一人もいないでしょう。猿の5分・1割の利幅は極端ですが、他の物も「買います」で買って、1割オンして北京・上海へ即流してしまうのでしょう。コレクション目的でないのは無論ですが、投機とかバブルとかではないダイナミックなメカニズムで動いている雰囲気です。ヤフーを見ればよく分かります。猿が即決13万でウジョウジョ買い手を待って並んでます。来年2月はどうなっているでしょうか。消える時には一斉に姿を消すでしょう。

私にとっての中国切手は、サブのおまけ位の位置づけでした。でも、物が有れば相場と会話が出来るのです。横浜へ行く3日ぐらい前に、前触れもなく、旧知の道具屋のブローカーが売り込みにやってきました。手彫・小判は1種1枚、記念・通常のシートがカタログ値で2000万、それ以外に不発行4種完、おしどりの無目打銘付も有りました。相手もプロなのでギリギリの数字を要求します。飛び込める物には目一杯の数字を出して、何とかビジネス成立。相手は公私共に中国に深入りしていると聞いていたので、パンダいる?15000円・・と聞いたのです。やおら新聞を取り出して、いいですよと言ったので、不発行4種の代金は手持ちのパンダでまかなえました。貯めに貯めていた100何組かが綺麗さっぱり消えました。惜しくも何ともありません。本当に、パンダはどこにでも有るのです。特に、ポートピアでJPSがホルダーに入れて売ったので、関西には沢山残っているのです。

テレビで一瞬情報が流れただけで、7人から問合せがありました。「すまたん・ZIP」は次回です。JAPEXの直前に取材が入ったのです。

2011年12月20日(火)

『道は北京へ』

今日で、12月のオークションの清算業務が完了、ちょっと空き時間ができるので、直近の情報を書いておきましょう。2月の同業者の突然の訃報に始まり、間をおかずに500箱以上のダンボールが到着、優先順位を決めてのやっつけ仕事で何とか処理の目途が付きました。香港の2回のオークション=Robert M.Spauldingセールとで、平常の年間仕入れ金額を超えました。売る方も、大きい不定期のイベントとしては、夏の横浜国際展が入ったことで業務が全てがタイトになりました。こちらは1年ぐらい前から覚悟を決めていたので、初い商品は円滑に流れて、ビジネスとしては上手く乗り切れたと思います。

全ての郵趣のシーンに於いて、今年一年のキーワードは「中国」です。あらゆる道が北京へと通じているのです。前回に書いた旧小判12銭の田型は、無事にインボイスが来て、直ぐに送金、近日中に届くでしょう。最近の海外のオークションは、ギリシャでもオランダでもイタリアでも、目玉はみんな中国です。縁あって、ちょっと相場を勉強したので、戯れにビッドをするのですが、中国の大物や大きいロットは、どの国のオークションでも頑張ったつもりでも掠りもしないのです。以前は、日本にくっ付いて来たもので、結構なボリュームになったのですが、今やその可能性は有りません。バン龍の読めない使用済が、@3元=US$5=約400円で実際に業者の取引で売れています。清国時代の切手というステータスで、現地の末端での実需があるのです。旧中国と新中国、更には満州も含めて、どんなゴミの切手でも10円なら右から左へ動きます。これらの需要は川下でコレクターに納まっているので、突然途絶えることはないでしょう。覚えておいて損はありません。

今回の旧小判12銭田型のB銘版、片銘の使用済でも確認されていないようなのです。田型自体は幾つかの作品集と手元にある内外のオークション型録で、少なくとも5点、多分+2~3は有るでしょう。ただ、今回のPos65・66・75・76に確実に繋がる物は見出せていません。もう一つの片銘田型は夢の中で終わりそうです。

今回のセールでは、中国、主に旧中国で素敵な田型が沢山出ていました。でも日本は1点だけ、出品者が同じならば別額面も有ると思うので、次回に期待しましょうか。セールの数日前に、旧知のイギリス人から電話が来て、オークション誌が来てないなら教えるよ!自分と私以外は、誰も知らないだろうから降りるのでコミッションを寄こせ!みたいな話があったのです。でもその時点で、こちらはフロアビッドが出来る人を手配して、高くても落す手筈だったので、交渉に入らず、結果としては先方の出してきた数字の一刻み上で落ちました。参考値よりは、桁が一つ上がったけれど、ビッドした数字よりは一桁低い数字です。

中国は戯れに入れましたが完敗、アンダービッダー=2番札にもなっていません。本国は勿論、香港やアメリカ、欧州のメジャーどころのオークションでは私は中国はビッドしませんが、A5版のガリ版刷りのオークションハウスに出た中国切手ですら、私の数字では勝てません。しっかりと中国人のブローカーが見ています。逆に日本切手は、落すつもりで入れれば、歯ごたえなく落ちるのです。今回のセールで、旧小判12銭田型よりも高かった中国切手を画像に載せましょう。赤い切手と田型は何故か評価は高いのです。

昨年までは、中国切手の相場など全く把握していませんでした。ただ、たまたま縁あってやってきた、先達の遺品のダンボールに動物トピカルとしての6種のパンダが100組以上混ざっており、花トピカルとして15種の牡丹のシートが有ったのです。否応なく数字を覚えます。簡単で確実なのは、原色図鑑やヤフーのデータでなく、本土での相場新聞です。複数の版元から月1で出ています。

新中国切手の相場は、国際展~JAPEXまでが現時点では未曾有のピークでした。無錫のアジア展では2~3割ダウン、旧正月が明けるまでは回復は無理でしょう。その後にどう動くかは今は誰も判りません。そこらも含めて、数回話を続けます。

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