2011年12月20日(火)

『道は北京へ』

今日で、12月のオークションの清算業務が完了、ちょっと空き時間ができるので、直近の情報を書いておきましょう。2月の同業者の突然の訃報に始まり、間をおかずに500箱以上のダンボールが到着、優先順位を決めてのやっつけ仕事で何とか処理の目途が付きました。香港の2回のオークション=Robert M.Spauldingセールとで、平常の年間仕入れ金額を超えました。売る方も、大きい不定期のイベントとしては、夏の横浜国際展が入ったことで業務が全てがタイトになりました。こちらは1年ぐらい前から覚悟を決めていたので、初い商品は円滑に流れて、ビジネスとしては上手く乗り切れたと思います。

全ての郵趣のシーンに於いて、今年一年のキーワードは「中国」です。あらゆる道が北京へと通じているのです。前回に書いた旧小判12銭の田型は、無事にインボイスが来て、直ぐに送金、近日中に届くでしょう。最近の海外のオークションは、ギリシャでもオランダでもイタリアでも、目玉はみんな中国です。縁あって、ちょっと相場を勉強したので、戯れにビッドをするのですが、中国の大物や大きいロットは、どの国のオークションでも頑張ったつもりでも掠りもしないのです。以前は、日本にくっ付いて来たもので、結構なボリュームになったのですが、今やその可能性は有りません。バン龍の読めない使用済が、@3元=US$5=約400円で実際に業者の取引で売れています。清国時代の切手というステータスで、現地の末端での実需があるのです。旧中国と新中国、更には満州も含めて、どんなゴミの切手でも10円なら右から左へ動きます。これらの需要は川下でコレクターに納まっているので、突然途絶えることはないでしょう。覚えておいて損はありません。

今回の旧小判12銭田型のB銘版、片銘の使用済でも確認されていないようなのです。田型自体は幾つかの作品集と手元にある内外のオークション型録で、少なくとも5点、多分+2~3は有るでしょう。ただ、今回のPos65・66・75・76に確実に繋がる物は見出せていません。もう一つの片銘田型は夢の中で終わりそうです。

今回のセールでは、中国、主に旧中国で素敵な田型が沢山出ていました。でも日本は1点だけ、出品者が同じならば別額面も有ると思うので、次回に期待しましょうか。セールの数日前に、旧知のイギリス人から電話が来て、オークション誌が来てないなら教えるよ!自分と私以外は、誰も知らないだろうから降りるのでコミッションを寄こせ!みたいな話があったのです。でもその時点で、こちらはフロアビッドが出来る人を手配して、高くても落す手筈だったので、交渉に入らず、結果としては先方の出してきた数字の一刻み上で落ちました。参考値よりは、桁が一つ上がったけれど、ビッドした数字よりは一桁低い数字です。

中国は戯れに入れましたが完敗、アンダービッダー=2番札にもなっていません。本国は勿論、香港やアメリカ、欧州のメジャーどころのオークションでは私は中国はビッドしませんが、A5版のガリ版刷りのオークションハウスに出た中国切手ですら、私の数字では勝てません。しっかりと中国人のブローカーが見ています。逆に日本切手は、落すつもりで入れれば、歯ごたえなく落ちるのです。今回のセールで、旧小判12銭田型よりも高かった中国切手を画像に載せましょう。赤い切手と田型は何故か評価は高いのです。

昨年までは、中国切手の相場など全く把握していませんでした。ただ、たまたま縁あってやってきた、先達の遺品のダンボールに動物トピカルとしての6種のパンダが100組以上混ざっており、花トピカルとして15種の牡丹のシートが有ったのです。否応なく数字を覚えます。簡単で確実なのは、原色図鑑やヤフーのデータでなく、本土での相場新聞です。複数の版元から月1で出ています。

新中国切手の相場は、国際展~JAPEXまでが現時点では未曾有のピークでした。無錫のアジア展では2~3割ダウン、旧正月が明けるまでは回復は無理でしょう。その後にどう動くかは今は誰も判りません。そこらも含めて、数回話を続けます。

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