既にご案内の通りなのですが、Robert Siegelの MAGNOLIA コレクションのカタログが届きました。表題はJapanese Foreign Mail and Post Officeなのですが、Stephan Chazen氏のフランス横浜局コレクションがメイン、デグロンカバーが主体で日仏コンビが35通並んでいます。彼はアメリカの独立系の石油会社でシェールオイル大手の著名企業、オクシデンタ・ペトロリアムのCEOでした。北海油田での大事故とか、直近ではウオーレン・バフェット氏のバークシャー・ハザウエイが、株を15%所得した事がニュースになっています。

20230314

当時は意識してなかったのですが、弊社でも結構買っていただいていたのです。当初はエージェントの名前での取引だったのですが、何時しかお支払や発送はご本人宛になっていました。金額は大きいのですが、先方が保険会社と特約を結んでいるので、FedEXの着払い、輸送保険付き、お支払いは、即刻での振込みなのでストレス・フリーの取引が出来ていました。思い出深いのが、旧中国大龍3銭と旧小5銭のコンビネーションのハワイ宛、手数料込みで1000万円を超えました。海外からのテレフォンビッドが2人で競って、値段を切ってビッドを依頼していたChazen氏が負けました。極めて貴重な敗北だったと思います。このエンタは、ハワイ宛の料金が抜群に面白いのですが、ふと思いついて記事にして、片山七三雄氏と山崎文雄氏が解明してくれました。落札者はフランスの中国人のDr.で、お父上とは長い付き合いをしていたのです。品物は香港のオークショニアのジェフリー・シュナイダー渡しをリクエストされたので、丁度しょっちゅう行っている頃だったの、持参して、問題は無くビジネスを完了できたのです。今にして思えば、結構ハードなディールをやっていたのです。

今回のセールは、彼のコレクションの極一部です。何せ、デグロンがゴミのように並んでいます。でも多分、アメリカ局の方がグレードは上だと思います。私が扱った物でも、HAKODADIや、神奈川領事館、ニューヘーブン→生野のコンビネーションが有りますから。Siegelなので、如何様や、空売りは無いと思います。これだけ並んでいれば、参考値に惚れて、ちょっかいを出したくなる人もいるでしょう。実際、絶好のバーゲン・ハンティングかも知れません。でも、私は手を出しません。落としても、デグロンを100万+で買える人の顔が思い浮かばないのです。

達者なブローカーさんも十分、物のチョイスをして下さい。ひねりの要素が有る物を一見安く落とせても、いざ売るとなるとしんどいかも知れません。目を瞑っての、最低値一任で弊社に送って来られても、私は料理できる自信が無いのです。この並びを見せられれば、物に対する敬意が消滅して冷静な評価が下せないのです。知り過ぎるとビジネスが出来ません。

このカタログに広告が出ている、香港の文華拍売有限公社=AVAオークションですが、ついこの間までは、初耳でした。落札結果を見ても、中国ものが突拍子もない値段で落ちています。Chazen氏自身の関係者の会社かなと思っていたら、中国人が教えてくれました。お前がよく知っている香港人がやってるぞ・・。D・・、W・・、いや、言われれば心当たりが有るような、無いような、何年か前のJAPEXで会ったのは確かなのですが、その後のビジネスの印象は有りません。それに、今の香港は何がどうなってるか分かりません。ここ数年は行きもしないし、ビッドも全くやっていないのです。Chazen氏の弊社でのお買い上げは、ほんの数千万円、でも、期待していた物には不思議な程に食いついてくれたのです。今となれば、もっと真面目に商売すれば、他の同業者位のお付き合いも出来た人だったかなと思うのです。所詮は、弊社が扱う純日本物では彼の好みからはズレていると勝手に思い込んでいたのです。

Siegelがポット出の香港のオークションハウスに広告スペースを提供する位なので、さぞや凄い金額のビジネスが隠れているのでしょう。軽く見ても数十億円、いや一桁上かも知れません。デグロンカバーの数を見て、私の認識が如何に甘いかを改めて認識した次第です。