那須浄説エンタ アーカイブ

那須浄説エンタ 即売します。

長期連載の標記のエンタですが、「郵趣の6月号」に広告を出して即売いたします。それに先立って、当ブログでも先行販売いたします。郵趣の広告には、ある程度在庫が有る物を載せました。販売価格は共通ですが、当ブログでは、在庫少数の物にも値段を付けました。郵趣分は、A~Jとし、当ブログでは対応して1~13の番号を付けました。在庫1点の物も、販売しますが、値段は付けておりません。ご希望値をオファーして下さい。必ずしも値段の高い方を優先するのでなく、私が判断を仕切れなかった物に関しては、マテリアルを的確に解析してくれた方に買っていただきたく思います。先着順でなく、5月6日必着でご注文を割り振ります。メールにてお申込み下さい。連休中も数日は出社いたしますので、タイミングが合えばお問合せに返信いたします。発送は5月8日の予定です。⓵~②のみは21年8月31日までの2銭料金での◎・ボタ時代、③~⓾は2銭料金の丸一消時代、⑪~⑬は3銭料金時代です。全てブログに掲載の現品です。是非遡ってお読みください。

①(A) 21条拒否 管内 直配達 4銭+2銭 在庫12 販価15,000

①a         同上 五条宛 支局宛も管外扱いでの直配達 4銭 筆消+4銭・2銭を同時に未納消 現品限り ご希望地値をオファーして下さい。料金の解釈も添えてください。

②(B)22条還付 管内 直配達 4銭+0 在庫7 販価25,000

③(C) 21条 管内 直配達 局名無未納 4銭+2銭 在庫35 販価7,000

③a       同上 五条・今出川宛 在庫5 販価15,000

④(D) 21条 管内 直配達 局名入未納 4銭+2銭 在庫24 販価8,000

④a        同上 五条・今出川宛 在庫6 販価15,000

③ー④a   21条 五条・今出川支局宛 試配達 0+6銭 在庫5 20,000

③-④b  同上 本局=七條宛 試配達 0+6銭 現品限り オファーして下さい。

⑤(E) 21条 管外 直配達 局名無未納 4銭 筆x+6銭 在庫12 販価15,000

⑥(F)  21条 管外 直配達 局名入未納 4銭 筆x+6銭 在庫5 販価25,000

⑦(G) 21条 管外 試配達 局名無未納 0+6銭 在庫13 販価15,000

⑧(H)  21条 管外 試配達 局名入未納 0+6銭 在庫5 販価20,000

⑤-⑧a     21条 大阪島之内宛 管外宛 直配達なるも21条付箋無し 現品限り オファーして下さい。

⑨(I)  22条還付 管内 直配達 4銭⁺0 在庫6 販価20,000

⑨a             同上なるも付箋は21条を流用(一部訂正) 在庫6 販価20,000

⑨b            同上 今出川宛 試配達 0+4銭  現品限り オファーして下さい。

⑩ (郵趣掲載無し) 2銭料金 22条 管外 掲載品現品限り 計4点 神戸宛直配達・福知山宛直配達・大阪川口宛試配達・東京京橋宛(直・試不明) オファーして下さい。

⑪(J) 3銭料金 21条 管内 直配達 6銭+3銭 在庫17 販価15,000

⑫   3銭料金 21条 管内 試配達 0+9銭 在庫3 販価30,000

⑬   3銭料金 22条 管内 直配達 6銭+0 付箋バラエティー含む 在庫5 販価25,000

今回のロットで、項目ごとに希少性を計って見ました。料金では2銭よりも3銭が少なく、もっと言えば2銭時代の菊使用=32年1月1日~3月31日が最も稀れ、管内よりは管外が少なく、21条よりは22条が少なく、直配達よりは試配達が少ないのです。組み合わせての最珍品は、菊2銭時代の管外宛、22条の試配達です。姿とすれば32年3月末までの菊4銭単貼、未納消=管外宛の還付で京都戻しなので、未納京都消しです。筆は有りません。流石にこの組み合わせは有りませんし、ルックスは滅茶苦茶地味なので、もし有っても、評価できる人は居ないかなと思います。

手元にガメテいた、珍品を即売いたします。TPMのオークショニアレポートに書いて、そのままにしていたのですが、今回の記事を基にして、改めてアナライズして見たのです。今なら自信を持って書けるのです。ステータスは捨印京都32年2月10日で東京牛込宛、2銭料金なので未納の倍額で菊4銭貼、残念ながら牛込での21条前半の付箋漏れ、でもこれは直配達でしょう。転居先不明での京都へ還付=菊4銭に筆×。22条付箋付、新小判4銭貼 京都未納で那須さん戻し。2銭料金の菊貼時代の22条 管外 直配達(21条付箋漏れ)筆×での差出人戻しです。

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2015年のJAPEX会場での即売と12月のオークションに少し出して、あとはピンポイントでプライベートで何点か売って、塩漬けにしていたのです。PA200号に大分出品したのですが、出品記事は当ブログの検証記事を書くまでに仕上げています。オークションの記事は、見たままの事実を書くことに主眼を置いています。郵便史的な解釈を入れれば、もっと的確に書けたかも知れません。それはそれとして、今回は思う存分に調べたので、このエンタ類に関しては商売的にはfinなのです。さあどれ位売れるでしょうか。

無切手差し出しの郵便物で、受け取り拒否の戻し便など、郵便条例時代に限らなくても、見たことは有りません。那須さんエンタを除けばですが、本当に少ない物のはずなのですが。ご連絡を待っています。

3銭時代 管内宛

最後のパートに入ります。郵便条例での第1種3銭料金は、32年4月1日から33年9月30日までです。必然的に物の数も限られてしまいます。手元に残っている物は全て管内宛です。21条の受け取り拒否の直配達が【在庫は17点】です。

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京都郵便電信局管内発着なので、極めて安定した貼り合わせです。6銭分を貼って、京都未納消、21条前半の付箋付、拒否されて3銭分を加貼り、京都未納消しで、21条後半の拒否の付箋貼りです。貼り合わせですが、額面は複数ですが、何れも菊切手を1枚以上貼っています。要するに京都局に配給された菊切手がどの額面かということになるのです。4銭と1銭が基本で、3銭茶も少しあります。2銭は全く見ずに、U小判2銭がずっと使われています。17点の内のトピックですが、今出川宛が数点、付箋を21条後半とすべきところを22条とした物と最後の付箋漏れが1点有りました。ヒューマンエラーなので大きい影響は有りません。

21条の受け取り拒否での「試配達」が【在庫は3点】有りました。

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管内宛の試配達は会計勘定的には論理矛盾です。本当にそうかと調べたのですが、何れも21条前半の付箋無し、全てが五条局の徴税注意の付箋付、貼り合わせは新小判8銭+菊1銭、消印は京都未納の1印消しなので、確実に試配達だと判ります。支局宛がミソかも知れません。

22条が【在庫は5点】でした。何れも直配達です。

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21条前半の付箋を貼って、6銭貼り、京都未納消、最後の付箋が22条になっていて、未納税6銭徴収せよ=最初の6銭でOKが3通、最後の付箋が21条の後半の物を流用、「納税ヲ拒ミテ」を墨で消して、郵便税9銭を6銭に訂正、条文は21条のままにした物が2通でした。二十一を二十二に1本足せば良いのですが、余計なことはやりません。

じっくり読みなおせば幾つか訂正や書き洩らしが有ると思います。それは追々やりましょう。取りあえずは、是にて完。

今回の記事を書くにあたっては、片山氏と古家氏の論文上の仮説(宿題)が大いに参考になりました。那須エンタの山をアナライズするまでは、解明できていない大きいポイントが2点有りました。一つは筆×の意味です。これは既に書き終えたと思います。基本のルールとしては、会計上の処理の問題で、止む無き損金処理を示しています。現象で言えば、管外宛の郵便物の配達不能での欠損です。受け取り拒否は複数ある要因の内の1つです。大多数では有るのですが、全部では有りません。もう一つは、試配達と直配達が区別できるかです。徴収注意の付箋の有無と未納印の局名の有無、未納印の印色と字体、貼付切手の貼り方等で、タイムラグが判るケースが有るのですが、今回のマテリアルでは、京都郵便電信局管内分は100%明快になりました。管外も1点を除いて判明しました。直配達の場合は、「21条前半の付箋」を必ず貼るのです。郵税の請求・納付時の請求書兼領収書です。)試配達は貼りません。無いことを証明の根拠に使うのは若干弱いのですが、総合的に判断すれば大丈夫です。殆ど紛れは起きないと思います。丸一時代になってからは、更に明瞭になっています。付箋への条文の明示は那須浄説さんの知恵のおかげでしょうか。

一つのチャートを書いておきましょう。これを頭に入れて物を見れば、簡単に分類できるのです。

2銭時代 21条 直配達 2×2+2=6銭、21条 試配達 0+2×3=6銭、22条 直配達 2×2+0=4銭、22条 試配達 0+2×2=4銭

3銭時代 21条 直配達 3×2+3=9銭、21条 試配達 0+3×3=9銭、22条 直配達 3×2+0=6銭、試配達は現品無しですが、0+3

 

2銭時代 22条 管外宛

一覧で書いてしまえばどうということも無いのですが、この組み合わせは少数です。我ながら、よくぞ今まで売らずに残していた物だと思います。【在庫は4点】なので、全品をお見せいたします。

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神戸宛です。神戸郵便電信局の21条前半の付箋付、新小判4銭貼 局名無し未納消、転居により還付です。管外へ戻すので切手に筆×、、京都郵便電信局の22条の付箋、新小4銭で未納消。直配達としては完璧にルール通りです。

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福知山宛です。福知山郵便電信局の21条前半の付箋付、U小判2銭ペアに福知山未納押し、受取人暫く旅行の為還付、管外に戻すので切手に筆×、京都郵便電信局の22条付箋貼り、新小判4銭貼り、京都未納消。これも直配達です。

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大阪川口宛です。21条前半の付箋無し、未納税受否問合の小付箋貼り、大阪郵便電信局の持ち戻り付箋と、丸一印 摂津大阪川口29.11.6. 京都郵便電信局の22条の付箋、新小判4銭に京都未納消、試配達として必要十分条件を満たしています。

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最後の物がまたもや悩ましいのです。東京京橋宛、受け持ち局は東京本局です。丸一で武蔵東京28.11.2を押しています。「21条前半の付箋は有りません」。脱落や剥がした跡は皆無です。新小判4銭貼り、東京未納消、これに筆×、付箋が一杯付いています。転居持ち戻り、芝口廻し、武蔵東京芝口28.11.3、東京芝口未納も押しています。最後は京都郵便電信局の22条の付箋で新小判4銭に京都未納消。さてこれは試配達か直配達かどちらでしょうか。21条前半の付箋が無いので、試配達かと思いました。それならば、4銭の東京未納は矛盾するのです。もしこの消印が東京芝口で消したなら、東京本局は試配達、転居した芝口が直配達という事も有り得るのです。本局と支局で違う扱いをやったなら、抜群に面白いケースですがそれは無理筋でしょう。時系列で最初の東京で消しているので、4銭の欠損は東京本局が被っています。芝口局は会計勘定にノータッチです。結論として導き出されるのは、配達を請け負った東京本局で直配達、「21条前半付箋の貼り忘れ」、芝口は東京の支局なので、追加の未納徴収は不要、大本の京都に戻して、22条の還付倍額でケリでしょうか。でも、21条前半付箋の貼り忘れは他のケースでは皆無です。或る意味、流石に東京とでも言うのでしょうか。この時代の未納(不足も)料の徴収は、請求書兼領収書として21条前半及び後半の付箋を厳格に貼ってやっているのです。有るべき物が無い事の証明は困難です。どうしても推測が入ってしまうのです。このエンタどう解釈すれば良いのでしょうか。データをしっかり提供致しますので、是非とも解明をお願い致します。

2銭時代 21条  管外宛 

このテーマは結構ややこしい要素も有るのですが、数をこなして分類手法が確立しましたからサクサクと進みます。郵便条例時代の郵便局の取り扱いは見事な物だったと思います。管外宛で受け取り拒否で戻って来た物ですが、大分類は二つに分かれます。スッキリしているのが「試配達」が為された物です。

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納税問い合わせとか、徴収注意の注意喚起の小さい付箋が貼られています。21条前半の、4銭払えは有りません。管外の受取人に払うかどうかを尋ねるのです。もし最初に4銭切手を貼って未納印を押したなら、拒否されれば配達局の損金になるのです。管轄を跨いで差出人への請求は出来ません。郵便局がこの理屈を知っていればこそ、対処できる手段です。少ないかなと思ったのですが、未納に局名無しが【在庫は13点】、局名入りが【在庫は5点】でした。那須さんに戻して、3倍の6銭を頂いてミッション終了、ご覧の通りで紛れは全くありません。

「直配達」は、管外の配達局で21条前半の付箋を貼って、4銭に未納消です。受取拒否で差出人戻しですが、最初に貼った4銭の効力は消えるのです。配達局とすれば、損金になり「此畜生」で筆×で潰して京都に戻します。

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京都郵便電信局は那須さんからしっかりと6銭を頂けます。諄くなるのですが、一般的には筆×=受け取り拒否と思っている方が多いのですが、それは正しくありません。管内宛なら拒否でも筆×にはなりませんし、管外宛なら、試配達をしない還付でも筆×になるのです。実例は筆×のケースで、受け取り拒否の場合が多いのですが、リーフを作る場合は明確な記載が必要です。それをやって初めて知識点が貰えます。受け取り拒否なので筆×という説明は知識点では減点です。

このケースの局名無しの【在庫は12点】、局名入りの【在庫は5点】でしたが、お化けが【2点】有りました。直配達なのに、21条前半の付箋が無いのです。旧小4銭貼で大阪島之内宛、22年1月9日です。随分早いので、21条の条文を印刷した物が一般的でない日付けです。(最後の京都ではしっかり貼っています。)それが理由なのか、貼って有って剥がれたのか証明は出来ません。これも保留のアイテムです。最後の一点は更に悩ましい物なのです。

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25年2月19日で東京麹町宛です。徴税注意の下げ紙が有るのですが、21条前半の付箋は有りません。受取人の自筆の受け取り拒否の付箋が付いています。直感ですが、試配達でなく直配達だと思います。新小判4銭貼で局名無し未納消、墨×です。これだけならば21条前半付箋無しで留まるのですが、ご丁寧に転居しているのです。同じ麹町区ですが、番地が違います。最初の宛地と転居先は同一管内かも知れません。でも、もう一枚新小4銭貼未納消、こちらも筆×です。筆跡からして、2点の筆×にはタイムラグが有るのです。転居を追いかけて、直配達の21条前半付箋が有るならば、転居先が管外ならば2度の筆×も分かります。有るべき付箋が無いために、このマテリアルもドンピシャでの解明には至りません。識者と議論したいのです。最後の京都郵便電信局は、21条後半付箋を貼って、しっかり6銭取ってます。京都局はやるべき仕事をしています。

2銭時代 22条 管内宛

那須エンタに戻ります。商売上の理由が有って、大型連休の前に全部書き終えてしまいたいのです。今回のテーマは最も地味な使用例です。未納郵便物、それも意図しての切手不貼付の郵便という括りでですが、配達不能=不在または転居先不明での還付は非常に少ないのです。21条の前半は無論ですが、21条後半の拒否での戻しよりも希少です。このポイントは、片山、古家両氏も随分強調されていましたし実際もそうでした。このカテゴリーでの総在庫数は17点です。

マイナーバラエティーですが、付箋の文言で区分できるのです。基本形は、最初に21条前半付箋を貼って、新小判4銭貼 未納消です。未納につき受け取るならば4銭払えです。不在の戻しで那須さんに還付ですが、その際の付箋は、「附箋之通二付返却ス郵便条例第二十二条二依リ未納税四銭集配人二渡サルヘシ」です。未納に局名無しが【在庫6点】、23年10月8日~26年5月20日です。

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他に局名入り未納が【在庫1点】28年7月31日、本局で無い今出川支局宛が局名入りで【在庫1点】31年8月9日です。これ以外に付箋の21条の文字に、横線を1本引いて「二二条」にした物が【在庫2点】何れも局無しです。

流れは上と同じなのですが、最後の付箋が「附箋之通『納税ヲ拒ミタルモノ二付』返却ス郵便条例第二十一条二依リ郵便税四銭集配人二渡サルベシ」の『 』部分を墨で消しているのです。未納に局無しが【在庫1点】26年10月14日、局入りが【在庫5点】27年8月6日~30年5月2日です。

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この取り扱いは明らかに22条なのですが、上記の正規の付箋を使った後に、21条の旧付箋を流用というのは意味が分からないのです。的確な答えは見つかっていないのです。

最後は珍品です。

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今出川宛の試配達です。付箋も22条になっています。ここまで書いて来たポイントを反芻してマテリアルを解析すれば珍しさが更に増すのです。必要かつ十分条件が完璧に揃っています。ド派手な、徴税注意の付箋、切手の下に今出川の捨印、新小4銭が被さって、京都未納、29年5月21日、これは勿論【在庫1点」限りです。管内宛の場合は、還付不能以外は絶対に損金にはならないので、試配達はある意味では論理矛盾になるのです。支局宛がポイントで、何らかの理由があるかも知れません。要再調査の案件です。

2銭時代・21条・管内宛

最も在庫の多い分野です。基本的な取り扱いは、引き受け部署で捨印を押して、配達部署に回し、倍額4銭を貼って未納で消印、拒否されて戻って来て2銭を追加で貼って、那須浄説さんに戻すのが正しい取り扱いの流れです。条例及び、取り扱いの規定遵守で紛れる要素は無いはずです。でも、結構面白い例が見つかりました。◎時代の付箋には、条例名の記載は全くないのですが、今回のカテゴリーには全て明示されています。在庫品の該当期間は22年10月23日~32年2月22日になりました。数が70数点有りますので時期を2区分いたします。未納(不足も)に局名が入らない27年2月20日までと、21日以降です。

未納・国名無しの内、京都郵便電信局管内便は【在庫35点】です。

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これ1点だけが旧小判4銭貼で、他は新小判4銭を貼、後の貼足しはU小判2銭です。五条・今出川宛は【在庫5点】です。

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本局内も支局宛も、全てのアイテムで、当初に21条前半の「此郵便物未納税二付郵便条例二十一条二依リ郵便税四銭集配人二渡サルベシ 京都郵便電信局」の付箋貼りで4銭切手を貼っています。最終段階で、21条後半の「付箋之通納税ヲ拒ミタル二付返却ス郵便条例第二一条二依リ郵便税六銭集配人二渡サルベシ 京都郵便電信局」で完結です。マイナーバラエティーですが、本来は局名入りで有るべき、27年3月1日と3月23日に、局名無しが使われているのが唯一のトピックです。

局名入りの在庫データは27年5月16日以降です。本局宛が【在庫24点】

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五条・今出川宛が【在庫6点です】。会計勘定としては、本局内も支局宛も、未納郵便物の扱いとすれば、条例21条の前半部で受取人が受け取れば倍額の4銭、拒否されれば3倍の6銭、拒否でない不在還付なら22条で倍額の4銭を局が受け取るので、当初の配達時に倍額の4銭を貼っておけば、還付不能を除けばとりっぱぐれは無いのです。だから事務処理はこの流れでやられます。後に出て来る、管外宛での損金の恐れは有りません。直配達であり、当然ながら普通はこの扱いをしています。

でも、違う扱いの例が見つかったのです。「試配達」です。

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五条・今出川宛が【在庫5点】、本局宛が【在庫1点】です。前述の、21条前半の「4銭渡サルベシ」付箋を貼っていません。その代わりに、徴税注意に類する付箋が有るのです。クールに考えれば、管内便では支局宛も含めて、会計的には試配達は不要です。未納の処理をせずに、受け取るか否かをわざわざ聞きに行っているのでひと手間余計にかかっているのです。五条と今出川は支局なのでまだしも判りますが、七条は本局その物の管轄です。なぜ試配達なのか、理由は判明いたしません。直配達と試配達、もっと区別が判りにくいのかと思っていたのですが、誰でも明瞭に分かります。直配達はしっかりと2種類の付箋を貼って、その意味も付箋に書いてくれていますから。試配達パターンは色々ですが、今回のグループの場合、直配達ならば、最初に21条前半が根拠の付箋を貼ってくれているので、それがない物が試配達だと思ってカバーを見れば良いのです。間違う心配は無いと思います。有る事による証明でなく、無いことが客観的に立証してくれています。

今回は、地味なバラエティーですが、次回以降は更に色んなパターンが出て来ます。22条・管外宛・試配達・3銭料金、想定の形式に収まらない使用例も幾つも有るのです。でも、強調したいのは当時の京都郵便電信局、きっちりと仕事をしています。多くの試料を分析できたからこそ分かった知識なのですが、那須さん対策を見事に取ったと見られるのです。

京都ボタ=◎時代の21条と22条

それでは本題に入ります。長期の連載になると思いますが、書きながらマテリアルを精査していきたいと思います。早速ですが予期しない物も見つかってしまいました。

郵便条例の期間は、明治16年1月1日~33年9月30日です。この期間中は基本的には条文は変わっていないと思います。前回までには書いていなかったのですが、消印で見れば、21年8月31日と9月1日で劇的に変わっているのです。勿論、ボタ・◎から丸一への変化です。条文が一緒なので、意図的に区分していなかったのですが、実例では顕著な違いが有るのです。20年4月1日以前の京都郵便局、以降の京都郵便電信局時代を含めてですが、ボタ・◎時代の付箋には、何条かが明示されていないのです。料金を考えて付箋の文面を読めば、21条か22条かは分かりますし、実務上は厳格に処理を為していたことも確かです。今はまだ、21年9月以前の物しか精査していないのですが、どのタイミングで、条文を明示したかを探りたいと思います。恐らくは、那須浄説さんの大量差し出しがきっかけになって京都郵便電信局が対処したような気がしてなりません。これは今後の宿題です。

ボタ・◎時代の21条後半の受け取り拒否ですが、16年後半から19年まで平均して有るのですが、【在庫は12点】で全てが管内宛でした。無切手封を差し出されても、そのまま受け付けて処理をしたのでしょう。引受部で捨印のN3B3京都を押して、配達部に流します。ここで料金の倍額の旧小判4銭を貼って、未納印を押して、宛所に向かいます。受け取ってくれればそれでケリ、拒否されればU小判2銭を貼り足して差出人に戻します。同一管内なので、先の旧小4銭+後のU小2銭=合計6銭が郵便局の収入になります。何れも、結構な枚数の付箋が貼られていて、最終的には受け取りを拒まれたことと、6銭徴収が明瞭に分かります。未納印には局名が無いのですが、理屈を考えれば、先に4銭・後で2銭というのが明瞭です。このジャンルの物に関しては、紛れも全くなく、捻れる要素も無いのです。条例遵守での扱いです。

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22条を解析いたします。局の扱いは同じです。捨印のN3B3を押して、配達部で旧小4銭を貼り未納消、不在か転居での差し出人戻しです。倍額請求ですが、同一管内なので最初に貼った4銭で完結しています。一般的には、完納便には殆ど受け取り拒否は有りません。意図せぬ不足便でも、受け取り拒否(21条後半)は配達不能での差出人戻し(22条)よりも遙かに少ないのです。でも、切手不貼付の未納便の場合には、発生率は逆転します。圧倒的に受け取り拒否が多いのです。今回の山でグループ分けすれば、同じカテゴリーの中で拒否12点に対して、戻しの【在庫は7点】になりました。何れのケースでも、全て直配達で試配達は見つかりませんでした。

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ここまでは、どうという事もないお話ですが、一点吃驚ネタが有りました。

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五条郵便支局宛ですが、墨×戻しが有るのです。捨印でN3B3京都、旧小4銭貼りで未納消、次がこの4銭を墨で消して、改めて旧小4銭+U小2銭を貼って、一発での未納消、このパターンは管外宛なら正解です。でも五条は同一管内なので、会計上からは、墨消しは起こり得ないはずなのです。単に、五条局の職員が間違えただけなのでしょうか。時代が下がった物を調べたのですが、五条と今出川宛は、管内として扱われています。ミスの起きる確率は高くないように思います。ちょっと気になったのが、五条局の成り立ちです。前回は全国郵便局沿革録・明治篇=日本郵趣出版刊を元に19年4月26日に京都五条橋郵便支局として開局、25年11月16日に五条に改称と書いたのですが、画像でもお分かりの通り、16年8月10日で五条郵便支局の付箋が付いているのです。別の文献を複数当たったのですが、そちらのデータでは13年12月25日に五条橋郵便分局として設置、16年5月23日に五条橋支局に改編、25年11月16日に五条支局に改名になっていました。郵趣出版の本の日付けにも何か意味が有ると思うのですが、現時点では解明できていないのです。ご存じの方教えてください。五条を調べていて気付いたのですが、ここと今出川以外にも、六条支局も管内局の可能性が有るのです。こちらは、14年7月27日に設置、16年5月23日に支局に改定、19年4月22日に廃止です。今回の在庫の内のボタ・◎時代の物には実例が無く、丸一時代には既に廃止されているので残念ながらどういう扱いだったのか検証は出来ません。この先の時代を経るに従っての、管内局の五条と今出川の扱いには注意を払いながら分析を続けて行きたいと思います。理屈に合わない物が見つかっても、例外でしょう、ミスでしょう、でブッタ切れる問題でなく、何か納得が出来る理由が隠れているように思えるのです。マテリアルに貼付された膨大な量の付箋を読んでみて、如何に当時の局員さんが真面目に仕事をやっているのかがはっきりと判るのです。ミスと見える現象にも、何かの理由が隠れているように思えます。

未納還付をアナライズ

スペースに限りが無いので、諄いほどにしっかりと書いて行きましょう。カテゴリー分けから入ります。因みに料金は第1種2銭を前提として書きますので、3銭時代は機械的に置き換えて読んでください。

「法律の条文」では、郵便条例の21条の後半と22条に分かれます。条文は前回書きました。このパートはスタートに書くとちょっと複雑なので、最後に書くことにします。

「料金」としては、明治16年1月1日~32年3月31日が第1種2銭、32年4月1日~33年8月31日が3銭です。特殊要因として、菊切手=2銭・4銭・10銭の発行が32年1月1日で、この日から32年3月31日までの菊使用は特筆される珍品ですが、郵便史の観点で見れば、ステータスは高くないのです。菊切手のコレクションとして生きて来るのです。

「宛先」は管内と管外に分かれます。料金は同じなのですが、未納・不足便の場合には顕著な差が出るのです。京都郵便電信局の場合ですが、支局として今出川がM25年3月16日から、五条橋がM19年4月26日~25年11月15日、25年11月16日から五条に局名変更されています。丸一で五条橋の「橋削り」の五条という物も有るのですが、局名変更の日付けとはリンクしていないと思えます。支局としての開設されていた事実が会計上で重大な意味を持つのです。管内のポイントは、還付郵便物の料金処理を、自己勘定で出来ることです。支局も同じ会計です。宛地で料金を徴収して配達しても、拒否又は不在戻しで還付になって、料金を差出人から徴収しても、郵便局の会計とすれば、仕事を完遂できたことになるのです。那須さんの未納エンタで言えば、引き受け局の京都の担当部署で、捨印を押して、配達担当の部署で2銭料金の未納の倍額を貼って、未納印で抹消します。この時点では、21条の前半部の、未納郵便物を相手が受け取ることを前提にしています。受け取り拒否で21条の後半部に移り、差出人に還付して3倍を徴収するのですが、局のお財布は一緒なので、未納の消印を押した、2銭x2枚の料金は生きているので、追加の2銭を貼って、未納で抹消、合計6銭を那須さんから貰えば良いのです。制度に則った扱いです。管外の場合は違います。未納郵便物の料金徴収は、宛地で行います。切手を貼るのは宛地局です。京都局の捨印が有る未納エンタがやって来れば、配達局で2銭x2枚を貼って、未納で消印するのです。受取人が受け取ってくれれば21条前半でケリですが、拒否の場合が困るのです。差出局の京都に戻すのですが、配達局で貼った4銭切手の支払いが為されていないのです。差出局に戻しても、賠償はしてくれません。結論を書いてしまえば、配達局の損金になってしまうのです。消印を押してあるので、管轄をまたいでしまえば、有価証券=郵税の効果はないのです。受け取り拒否をされたなら、差出局に返すのですが、未納で消した切手代は、誰からも貰えずに、料金として死んでしまっているのです。涙を呑んで此畜生と筆でを書くのです。配達局の損金になるのです。筆の料金は、本来の料金の2倍に限られます。那須さんの元に戻るのですが、その際には、21条後半の受け取り拒否の3倍のペナルティーが新たに課されます。2銭x3=6銭に未納消しです。筆の4銭は那須さんから貰えません。よく聞く話ですが、受取拒否だから、筆では無いのです。「管外宛の還付便」だからなのです。21条後半の拒否でも22条の不在での配達不能戻しでも会計勘定が異なる「管外宛」だから筆なのです。これは次に書くことと関連して来ます。

「配達の手法」は2種類に分かれます。一般的には直配達です。未納分の2倍を貼っておいて、未納で消して宛先に持って行き、21条前半の倍額を受取人から貰うのが前提です。拒否されれば、21条後半の3倍を差出人から貰うのですが、管内便なら差出人が最終の支払いを拒まない限り、損金にはなりません。それをやれば、その後に響くので、那須さんは3倍払いを承知でやったと思います。未納で請求書を送り、郵便局員が対面で未納料金を徴収するので、書留便を無料で出せることになるのです。えげつないけれど、非常にクレバーなやり方です。郵便局も、それへの対応策を取りました。那須さん対策では無いのでしょうが、試配達をやったのです。未納(不足も)郵便物が来たならば、最初は切手を貼らずに、2倍の罰金を払って受け取るか否かを前もって問うたのです。「徴税注意」等の付箋ではっきりわかります。お尋ねをしてから、了承なら4銭を貼って未納を押して、倍額徴収で配達し、拒否なら差出人に戻しての3倍徴収をやるのです。郵便局は損をしないで済むのです。管内の場合は、問題ないのですが、管外ならば大いに会計に響きます。管外宛でも試配達なら、切手を貼ってないので、そのままで差出局に戻せます。つまり、管外宛の受け取り拒否でも、試配達をやったなら筆発生しないのです。筆=受け取り拒否でないことは、このことで分かるでしょう。実例が非常に少ないし、筆に比して地味なのですが、覚えておいて損は有りません。リーフに説明を書ける絶好のネタなのです。

「条文」の説明に入ります。21条の後半部は受け取り拒否での規定です。単純に3倍徴収です。22条は拒否で無い還付=転居先不明等での差出人戻しです。罰金は当初の料金の2倍です。切手を貼った郵便物の還付はよくあるのですが、未納便のそれは滅多に起こりません。那須さんエンタを除いてですが。そして那須さんの場合でも、21条後半の拒否よりは格段に少ないのです。管内のそれは何の問題は有りません。2倍徴収でケリです。そろばん勘定で言えば、試配達の必要性は有りません。受取人か差出人の何れかから4銭を取れますから、郵便局とすれば美味しい仕事です。管外の場合は、試配達をやっていれば、那須さん戻しで4銭徴収ですが、直配達の場合は、4銭を貼って配達局で未納消しで配達未完了での戻しになるので、このケースでも筆が為されるのです。郵便局的には此畜生です。受け取り拒否でないのに筆で損金の計上になるのです。

4項目でそれぞれ2区分なので、2の4乗=2x2x2x2=16パターンに分かれます。「2銭と3銭」「管内と管外」「直配と試配」「21条と22条」の組み合わせです。追加して、未納印に局名が入るのが明治27年2月21日です。管内支局の確認と直配と試配の区別の際に有効なデータになるのです。次からは、実例をお見せいたしましょう。合わせて手元にある数も書いて見ます。

理屈上の計算式では、2の4乗の16ですが、実際はそれは無理、だけど◎時代を独立させ、不足消しを局名無しと局名入りに分け、付箋のバラエティーを加えれば、結構な数になりました。エンタの情報では、直配達と試配達の区別が無理な物も有るのですが、殆どの物は理屈がきっちり立つのです。次回からは、画像を添えて解説していきたいと思います。

那須浄説エンタを解析する。

2015年の事でした。ダンボール50~60箱位の、初いエンタのロットがやって来たのです。出所は京都堀川六角の金融業者の御屋敷で、そこを解体するに当たっての費用とバーターで、都の旧知のブローカーさんが手にした物でした。相談されたので、オークションで生きる物は抜いてオークションに出し、残りは一括で買い切ることでまとまりました。年賀状は一切無し、年代的には旧小判から田沢で、見るからに初出し、状態も概ね綺麗な物でした。こちらで人を使って物をピックアップ、オークション分だけで想定に金額に達しました。雑多な嵩張るジャミは、箱単位で潰しました。残した物は一括りの、U小判から菊の時代の、同じ性質のエンタだけになったのです。見るからに面白そうなので、この山だけは、時間を掛けて料理することにしたのです。状態が今一な物は、ロットの餌にしています。だから残した物は、台も消しも十分に単品売りに耐える物だけになりました。200~300通の、金融屋さんが切手を貼らずに差し出した貸金の返還請求の戻り便なのです。郵便条例時代=明治16年1月1日~33年9月30日に完璧に区切られるし、郵便の制度としても、紛れる要素が消えて、説得力の有る運営が為されていた時代の物なのです。ボタと◎時代=明治21年8月以前は、数も少ないし、使われ方も面白い物は少数です。だけど丸一の時代になってからは、あらゆるパターンが揃っていたのです。想像以上の面白い山だったのです。幾分かは、オークションで売りましたが、残りをじっくり料理したので、その報告を書いてみたいと思います。

切手を貼らずに差し出した借金返せのお手紙です。未納の倍額を払って、名宛人が受け取った物はここには有りません。受け取り拒否と配達不能で那須さんに戻された物ばかりなのです。まず、根拠法令を書いておきます。郵便条例です。

第21条 「未納又は不足の郵便物を受け取る際には、受取人よりその額の2倍を徴収する。受取人が郵便物を受け取る際には、その納税を拒んではならない。」「受取人が郵便物を受け取らず、差出人に還付する時は、差出人よりその額の3倍を徴収する。」

第22条 「未納又は不足の郵便物を配達できず、差出人に還付する時は、その額の2倍を徴収する。後略。」

実際上は、切手を貼らずに差し出すことは極めて稀だと思います。未納・不足で括っても、圧倒的に不足が多く、結果としての未納でも、意図的な無切手差し出しは一般人には出て来ない発想だと思います。マーケットに有る未納便も、このパターンでなく、法規を取り違えたミスによる物が多いのです。那須エンタの、未納郵便=受け取り拒否便には、目から鱗ネタが一杯含まれているのです。当時の京都郵便電信局が、那須さん技対策としてわざわざ最初は21条の付箋を印刷して、後には22条のそれも作ったと思える節が有るのです。郵便条例時代の受け取り拒否=21条後半部分と、22条の未納の還付はほぼ完璧にアナライズできるのです。京都発なので、管内局のバラエティでも「一ハン」プラスになるのです。ここらは、後ほどのお楽しみです。数回にわたって書きますが、お二人から貴重な示唆を頂きました。片山七三男氏の「差出人戻しの料金徴収方法」のリーフと、古家美和氏の新大門会資料「郵便条例時代に未納郵便物について」です。