オークション誌発送後1週間経過です。ビッドもそうですが、早速いろいろとお問合せをいただいております。既に一部の方の札を見ておりますので、それに絡むことはセール終了までは書けません。元からオークション誌には書けないけれど、開示して差しさわりの無い、ちょっとした情報をここで書いて置きましょう。

Lot990 【青島軍事】 未使用 よく聞かれる質問なのですが、オークションでは何が売れますか?というテーマが有るのです。簡単にはマーケットに出て来ないけれど、或る程度物が有って、金額が張って、欲しい人が沢山いる物という意味で言えば、これが一番かも知れません。ボストークコレクターでメインナンバーでこれだけが抜けていて、気に入れば金銭的に全く問題が無い人が何人かいるのです。10数年前には連続で数枚扱ったことが有ったのですが、ここ10年位は全く縁が無かったのです。今回の物は、多分弊社で扱った現物だと思います。鑑定書が面白くて、日本郵趣連合 金井宏之氏のサインです。No.1504 平成12年5月8日です。ご丁寧に、鑑定書自体にNo1154と同一品です、の記載が有ります。正確な日付はトレースできないのですが、市田左右一氏の時代だったのかと思います。効力には何らの瑕疵は有りません。綺麗な田型を除けばかなりハイレベルだと思います。小OHですがセンターはこれで十分です。未使用とすれば最良の状態です。フロアでの競りが楽しみです。メールビッドでは落とせないでしょう。

Lot991 【かつおつり】 全型目打12・透かし無し・糊付、この3条件を満たす偽物は存在しないのです。序でながら耳付で全型なのですが、この切手に関しては目打も当局製で無いので、耳には抜けていないのです。鑑定書(正確に言えば、山本義之・中井輝典・新生スタンプ連名の書面)が付いていないのですが、それには理由が有るのです。100%の確認は取れて無いのですが、昭和40年と41年に2回に分けてシートが分割販売されているのです。ほぼ半々だったと思います。最初の売り立ては鑑定書無しだったのかな。マーケットに出て来る鑑定書付は、昭和41年1月14日の日付のはずです。この時の売値は35000円でした。今回の物は1次の分割品なので鑑定書無しですが、目打12の糊付で透かし無なら偽物の心配は要りません。それ以外の、無目打・糊無は、まず透かしを見て下さい。透かしありは100%偽物です。透かし無の偽物が有るかどうかは断言できないのですが、南関東の政治家の保家氏の無目打シートは、郵趣サービス社が分割販売しています。この時には全て切手の博物館の鑑定書付で売っていますので、紛れが生じる恐れは有りません。残念な情報が有るのです。無目打・糊無・銘付10B・透かしありで、鑑定書付の物が有るのです。弊社に2度、出品物として送られて来ましたが、事情を説明してお返ししました。売った人も分かっているのですが、ここではそんなものが有るという注意喚起に留めます。かつおつりで市場に有る本物は、新生スタンプ分割の目打ち有り・糊付・透かし無と、郵趣サービス社の無目打ち・糊無・透かし無しか有りません。そしてシートは、この2タイプ共に、国内に於いては旧逓信博物館にしかないはずです。

Lot784~991は綺麗な未使用を熱心に集められていた人のコレクションです。手彫他の本体は、大分前に弊社で処分されていい値段で売れていました。それが全部だと思っていたのですが、こんな物が残っていたのは嬉しい喜びでした。オークションで競り勝って買ってくれていたので、買い値は安くありません。基本的には往復の手数料はマイナスになるはずです。でも、【青島】と【かつおつり】は別格です。今の方が勢いが有るのです。最低値は絶対に売れる値段で付けているのですが、お支払額が買い値を超えることを期待しているのです。

Lot1177 三五六の5銭独宛 OCT.25.1878 YOKOHAMA消 UPU加盟と葉書は強烈にリンクしています。面白いテーマでは有るのですが、ドンピシャの書きたいマテリアルが中々出て来ないのです。でも三五六なら単品で勝負が出来るのです。日付が最重要です。今回の物は秀逸です。葉書の発行が1877.11.20、独宛5銭は1879.7.31までです。三五六の3銭と5銭は随分と新規の物が出て来ていて、20万も出せば結構良い物が買えるでしょう。でも、日付に拘れば難易度は格段に上がります。2種共に適正期間の適正宛を揃えている人は果して何人いるのかな。その上に今回はこの消印、頑張って落し切って後で後悔はしないでしょう。

Lot1328ー1338 旧中国孫文です。当時現地にお住いだった著名なコレクターの遺品です。ご親戚のコレクターが30年程抱えていて、手付かずに今回巡り合えました。このテーマは当時は随分と賑やかだったと思います。でも、実逓のエンタが無いのでオークションのネタにはなりにくいのです。私の知識では個別のロッティングは出来ません。大きく分けて、フロアセールの場に出せば見る人が見て、競って買ってくれるでしょう。正直、ご希望者が何人いるかは全く見えていないのです。10年に一度の日本国際切手展のオークション、場所とすれば最高だと思います。まさかこの分野のコレクターさんで見落としは無いでしょう。

Lot1561-1577 著名人の書簡です。このテーマで切手の世界で売る場合、条件が有るのです。直筆が絶対です。印刷は無価値です。そして人物とすれば、山川出版の高校の日本史の教科書に出ている人か、切手になったか描いた人。欲ボケの出品者はWikiに出ていればそれが著名人だと勘違いして、素っ頓狂な物を出してくることが多いのです。歌人・俳人・日本画家は基本的にNGです。別の場所で売って欲しいのです。綺麗ならまだしも、キズや読めない物はオークショニア泣かせです。今回は良い物が有りますよ。澁澤栄一、清瀬一郎、湯川秀樹・・みな条件を満たしています。残念だったのは、平沢貞道(帝銀事件)は次の機会となりました。大きい、アコーディオンブックの方は更に豪華です。東郷平八郎、後藤新平、板垣退助・・。同一人宛で封筒のみをベタ張りです。在北海道の内田武一氏宛ですが、この人の素性は判りません。政治家か軍人か官僚かと思うのですが・・。切手のオークションよりも、古書の方が高いかも知れません。でも、封筒だけで、手紙が一切なしが微妙です。もし全部残っていたらさぞやいい値段になったでしょうに。

Lot1736-2000 U小判

Lot2158-2169 飛脚便

Lot2207-2558 旧小判

何れも超一流のコレクターの遺品コレクションです。書き込みがしっかりしている、リーフの状態で預かっているので、編集は楽なのです。物は一級品、状態は極美、値段も張る物が多いのです。オークショニア冥利に尽きますよ。分類は基本的に故人のそれを尊重します。勿論、深刻な意見の相違は有りません。でも、値段が問題です。良い物をオークションで競って競争者を撥ね退けて買われているので、明らかにその場の勢いでの高買いされている物が多いのです。結構買い値のメモが残っていて、その数字を見ると、今の相場が御気の毒になる物も少なくありません。それは変えようが無い現実なので、納得して貰うしか無いのです。ディスクライブは有るがまま、見たままの表現です。最低値は今まさに現役の私の評価で、売れるだろうの数字で付けました。中には手品を使っても昔の値段に近づけて売りたいような物も有るのですが、それは市場に任せましょう。物が良ければ、今だって欲しい人がいると思います。良い物は競って、高くなるのがオークションの神髄なのですから。