坂東ラーゲルシートの行方

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ゲルトナーに出た時の参考値は他の3回のセールよりも遙かに安かったのです。今はドイツでの需要はあまりなく、日本が唯一の良いマーケットになっています。日専のカタログ値は2銭が7万、5銭が13万です。数十年以上動いていないかと思います。実勢価格は→上向きです。シートなので安いと言っても数百万の商売です。数字をクールに見つめます。形状はシートですが分割販売が前提になるのです。切ることに躊躇は致しません。田型の需要はゼロと見ます。セットに組めるのは16組、2銭の横1列はおまけです。苔が生えたカタログ値ですが、リスクヘッジとしてこの数字を基準にします。小売りで20万X16組=320万から利益分を引き算します。この値段でもゲルトナーの参考値の2割超えて大丈夫だったと思います。このオークションハウスの場合、ノービッドなら1割引きでOKです。実際のセールでも、締め切り直近までノービッドだったと思います。何時ものクリスの行動パターンが出ていました。ビッドをして欲しい、日本の数人に電話攻撃を掛けるのです。タカハシ・コバヤシ・ヨシダです。多分、誰もポジティブには反応はしなかったと思います。私を除いては、ですが。彼の電話には私の場合は、ビッドは何時ものエージェントに頼んでいる、忘れてないから心配するなと答えています。実際、この時もそうしたのです。売り立ては2銭と5銭が個別の2ロットでしたが、当然ながら2個一のコンバインをリクエストして、Fixの数字を出しました。アワヨクバ参考値の1割引きで落ちるかなと期待して。

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