どうしても確認しておきたい弊社の過去のセールが有りました。第10回フロアセール(通算20号)・1996年11月9日(土)10時半から茶屋町ボイス3Fでの開催でした。ロット数は2014点、全てが記番印です。トータルの落札金額とかの細部はどうでも良いでしょう。私にすれば完全に忘れていたのですが、時々、今の出品者から変な出品記事が来るのです。このセールに出ていない珍局と書いてくれ・・、みたいな、ちょっと面はゆくなる評価も有るのです。特集号と言ってもお一人のコレクションです。希少性の評価をそれに求めるのは無意味です。25年も前なので、もう書いても良いと思うのですが、故大西二郎さんが持ち込んでくれました。親しかった知人のご遺族に頼まれた、信州だけは既に処分済みだけれどそれ以外は手付かずの本体のコレクションとの事でした。私も強いてはどなたの物かは聞かないし、やるべきことをやって、精算を済ませればそれでケリです。大西さんの生前の時点ではその後も一度も話題にも上りませんでした。実際は、記番印コレクションの「信州抜き」で、何方の物か判るのです。村川さんか榎さん、いや正確に言えばご両人から聞きました。かつて京都にいて、長野へ移られた林清登さんの物でした。この方は私は全く存じ上げない方でした。教えてくれたお二人の口ぶりからして、親しくされていたことが分かります。信州のパートが何処へ行ったかもインパクトの強いお話を聞いたかも知れません。

ビジュアル印影集-0011

ビジュアル印影集-0012 ビジュアル印影集-0013

改めて記事を見直して見ると、オークション誌の編集方針とすれば、今と全く変わりません。イロハ順で国ごとに並べて、若い番号順、葉書・カバー・単片の順。記事のヘッダーに局名を持って来て、見易さを重視するのです。違いと言えば、オールカラーで無いことです。今ならもっと綺麗に仕上がるのですが、当時とすれば十分な出来栄えです。物を並べてしまえば編集は楽です。10日間ぐらいの作業だっと思います。このオークションでの私の記載はその当時の文献の情報で書いているので、今となれば局名とかで、少し動いている物も有るのです。今回の【ビジュアル印影集】の記番の局名が間違っていたならば、そのすべての責はこのセールでの私の拙き記載が原因でしょう。今回の図録の編集者のお仕事としては個々のケースでの検証は無理なので、オークションの記事を信じての引用で、仕事とすれば立派にされていると思います。そして記番印の情報のかなりの部分は、2014ロットのこのセールから採られているので結構穴が埋まっているはずです。惜しむらくは『ウの国』が弱い事、その原因も明らかなのですよ。

このオークションの段階で林清登さんがお持ちでなかった物ですが、印影集と付きあわせれば、多くのケースで穴が埋まっているのです。年数を掛けてオークションの出品物を集合させれば、たかが30年の、ほんの60万ロットであっても、超一流の記番印コレクターを遙かに凌駕することをはっきりと認識できました。記番印は、⓾が原則の単独抹消なので、画像のデータを取りやすいという有利さも有るのでしょうが、目で見られる印影という意味では、【ビジュアル印影集】は実際に良く出来た資料です。地元印のコレクターなら、是非とも勝負して欲しいのです。ご自身がお持ちの局数でここに出ている物を上回るのは結構ハードルが高いと思います。オークションの年季の積み上げには非常に重い物が有るのです。オークションは良質のデータの宝庫なのですがそれを集積して分類する作業が為されていなかったのです。今回の企画は手前味噌ですが、クリーンヒットだと思います。

現在進行形でのオークションでの情報です。記番印に関しては、全国のそれをターゲットにされている熱心な方がいるのです。でも、幸か不幸かその人は、旧小判2銭狸・1銭黒しか集めません。カバーも単片もそうなのです。お持ちでない物は良い値段でビッドしてくれる、オークショニアにすれば有難い方なのです。でも、大分埋まって来ているようにも思えてきましたが・・。毎回何点かは嬉しいビッドが来るのです。地元印の人とぶつかれば良い値段になりますよ。落札結果を見ればよく分かります。勿論お入り用は1点だけ、どのぐらい集まったかは聞かないで置きましょう。オークションでのビッドでその結果が判りますから。