手元に南洋庁関係の珠玉の出品物が届いています。知る人ぞ知る、日系三世のアメリカ人のコレクションの一部と聞いています。JAPEXセールでの目玉になるレベルです。内容は後述しますが、平成17年2月16日に上梓された、豪華本を紐解きました。その時は意識していなかったのですが、著者の荻原海一さんに、是非とも手に入れたいと懇願されて、お世話した2点と、お役に立てなかった1点を改めて思い出しました。1通目は、荒井国太郎氏宛の印顆郵頼の戻し便、1次昭和7銭、10銭貼の書留、マラカル郵便局消です。値段問わずのご希望なので、持ち主に滅茶値をぶつけましょうかで話を通したら、荻原さんは値切りもせずに取引成立、相場の3倍位の値段でした。私は売り手のエージェントとして1割手数料を頂き、買い手サイドのエージェントへも同じ数字を払いました。よくぞ、付けも付けたり、買いも買ったりの取引でした。オークションで勢いで行ってしまうなら有り得ますが、プラーベートなら起こり得ないディールです。

2点目が、本の最後にさりげなく載っている、不発行3銭貼、白金消、京城のガロア宛の実逓カバーです。金井スタンプのオークション、多分グルックナーセールだったと思うのですが、荻原さんは何方が買ったかをご存じでした。何故か私が指名されて、お持ちの方に声を掛けたのです。【玉芙蓉】氏です。駄目元のつもりで、最初から素っ頓狂な値段で、買い手の名前も出してお願いして、商売成立。取り持ったのは確かですが、もしかしたら、ご本人間で直接のディールになったのかも知れません。私が仲介したのなら、手数料位は貰ったかも知れませんが、全く記憶にないのです。

頼まれて、買えなかったのが、ファイスの風景印です。クサイとファイスは、幻の風景印の使用局でした。ところが、この本が出る1年前の2004年1月にアメリカのE-BAYに出品されたのです。情報を得た荻原さんが、躍起になって、100万出すから探せのご命令でした。人づてに私の耳にも入ったのですが、その時はタイミングが合いませんでした。古いフィラテリストに載っている、橋本章さんの報告の物は行方知れずですが、日系三世氏も確かにお持ちなのですよ。今なら、取れるのですが、今度は買い手の顔が見えないのです。

南洋庁の郵便史のコレクターでは、鎌倉の荻原さんと、八代の小川正義さんが有名です。私にとっては、実はもうお一方のインパクトが強いのです。駿府のバンカー、私が知遇を得た時点では、頭取をリタイアされて会長さんでした。この方もイニシャルはOさんです。オークションの場合、小川さんは場に出て落し切る、荻原さんは、代行者に落して来いのオーダーを出す、駿府のOさんは、メールビッドで一桁以上高い数字を入れて来る、3人がノンリミットのビッドなので、当然ながら凄い値段になるのです。確か、今は無くなったサンフィラだったと思いますが、YARUTO(或はJALUIT)のエンタが、260万だかで落ちたことが有るのです。変な如何様でなく、3人のOさんがぶつかって、駿府の人が500万入れていたと聞きました。お三方共に既に鬼籍入り、ガチンコのバトルの期間はそれ程長くなかったかも知れません。

今手元に来ている出品物、世が世であれば、100万超の物が一杯有るのです。3人がぶつかれば1000万でも有り得ます。近日中にここでお見せいたしましょう。誰もが納得してくれる珍品ですが、問題は買ってくれる人が居るのかな・・なのです。