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【明治初期消印・ビジュアル印影集】のご案内

標記のカラー図録を近日中に制作・販売いたします。約30年に亘って弊社他のオークションにて流通した60万ロット++の出品物に中から、明治初期の消印=不統一・記番・二重丸印を各局別に時系列に並べた印影集です。同一の消印は最も綺麗な物を生かしています。局名の採録順は、株式会社鳴美の「明治郵便局名録」に依りました。採録品はオークションへの出品物がメインですが、記番印と二重丸印で出品例が見つからない場合はスペースのみを与えて、データは空欄です。不統一印の場合は、「月刊たんぶるぽすと 別冊不統一印Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」のイラストを穴埋めに流用しています。

発端は弊社にオークションの出品物として持ち込まれた物でした。A4のカラーの冊子で7分冊、総ページ数は1807頁です。出品物として売り切るのは余りにも惜しい労作です。そのケースでは、お一人が独占すると同時に、弊社の手を離れたのちに複製される可能性も御座います。編集者の30年に亘るご努力を無駄にせず、同時に必要とされる方に幅広く開示する手段を考えました。ネットの印刷通販のプリントパックで100部印刷しても直接のコストが@2万円は掛かります。それに、日本全国、丸ごとの需要が100部有るとは読めません。詳しく後述しますが、やむを得ないことながら、完成度も低いのです。それを訂正する時間的な余裕は御座いません。それでも何もしないよりは世に出して評価を問いたい仕事です。現状のままでも、ターゲットを絞れば極めて有益だと思います。地元印のコレクターのコレクションの下書きとして、同時に収集のメルクマールとしてなら最良の資料になると思います。

国毎に分割して、弊社で受注生産して頒布致します。カラーコピーで作ります。ページ当たり@35円+送料はご注文に拘らず100円です。

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サンプルをお見せして、今後数回で欠点の幾つかも説明しておきたいと思います。効率よくご注文に対応できるように準備に掛かっています。受注生産ですので品切れにはなりません。スタートまで今暫くお待ち下さい。

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これ何?

Lot410      洋桜6銭ル 使用済

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【しっかりとした裏付けを持っています。今回の物を除いて現存数は2枚で、共に私が見つけました。今回売れたなら、どこかで総括の記事を書きましょう。】

Lot1053 月に雁 紫櫛型YOKOHAMA27.8.51 極美印

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【綺麗すぎるのですが、物は本物です。同じ雰囲気の物が立山航空の0付の⓾正位で弊社のオークションに出た際に、思い込みの激しい人が『偽消しだ』で会場で大騒ぎしたのです。でも、連れが結構あって、しっかりしたカバーが残っているのです。弊社の去年のJAPEXセール・第204回のLot223 観光長崎8円貼APOメール 紫櫛YOKOHAMA29.10.51もそうです。ルックスは今一だけれど印顆は一緒です。だから知っている人は知っています。欧文櫛型から三日月印への切り替え期のYOKOHAMAでの限られた期間の使用です。1951年7月頃~だと思います。0付立山、十和田、観光、文化人あたりに見られます。今回の月に雁は郵趣家が出したヨーロッパ宛の航空便の混貼から剥がされた物でしょう。さあ、何時ものお二人さん、心置きなく競って貰いたいと思います。月に雁とすれば後使いですが、専門収集ならば買わない理由になりません。ルックスに惚れて、それ以上にもしお持ちでなければ買わざるを得ないのです。お値段は気分次第として置きましょう。】

Lot1535 菊2銭 特異型年2字SEOUL (逆向き)17.FEB.06

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【異様な姿ですが、物は本物だと思います。SEOUL局での年号2字~櫛型への切り替え期の印顆です。見つかっている日付も集中しているし、二ケタ以上で複数の出所で出て来ているのが、圧倒的に菊2銭、稀に1銭ということから、印刷物の帯封の消印だと思うのです。エンタの出現を待ちましょう。でも、消印の本には何故か未採録なのが不思議です。】

Lot1796 旧毛1.5銭貼カット 青ロールPAQUEBOT/NAGASAKI NIPPON

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【何とも扱いにくい物なのです。100%駄目だと思えばオークション誌には掲載致しません。「as is 最低値1000円」はオークショニアのメッセージなのですが、自信のある人は買う価値は有ると思います】

Lot1984 産業2円⓾銘付10B 透かし殆ど見えず

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【出何処が産業図案のトップコレクターのコレクションです。ベンジンで透かしを調べても本当に見えにくいのです。でも銘版からして産業図案なのは確かです。】

目から鱗

Lot1148 支那字菊4銭 穿孔D&CO LTD

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【昨年の時点では、新発見の穿孔でした。でも連続してのご出品で今回で3枚目、お二人から出て来ているので、E-Bayが出所でしょうか?あと何枚有るのかな。】

Lot1571 和桜1銭26版見本印刷 目打9s

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【手彫専門カタログに明記されています。目打は11sx9sのみです。4周9sは私も初めて見たのですが、マージンは十分だし厭らしさは全く感じません1枚有るという事はもっとあるはずです。真剣に9sを探さないといけません。】

Lot1818 竜100文4枚貼西京発東京宛 壬申7月17日 黒潰し消し

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【黒潰しでよく見るのは、大阪・堺・八尾などです。西京で有るとは思ってもみませんでした。見たところ作った偽物とは思えません。価値が上がったとは思えないのです。初めて出たからと言って頭ごなしに否定するのでなく、物を生かすことを考えるならば、可能性が見つかるのです。西京検査済の完全印と頭消の不完全印の使用期間には空白期が有るのです。オークション誌に書いた書いた日付は、消印とエンタイヤ・京都大会記念誌が出所です。詰めればもっと空白期間が埋まっているかも知れません。オークショニアは、性善説で物を生かすことを狙います。榎さんがご健在なら躊躇なく買ってくれたと思います。】

Lot1995 新毛コイル10連 2番目のみ”花弁正常”

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【単独の花弁正常はそこそこ有ると思います。ペアの相場が10万++なのですが、10連ならば幾らになるのかな?】

Lot2358 旧小判2銭紫無地紙 11N

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【まともに書けば相当な紙数が要るのです。目打の11Nは問題ないと思います。木綿では複数枚見つかっているのですが、無地ならば初めてかも知れません。物を見て納得できる人に買って欲しいのです。KG四日市かな?幸か不幸かこの消印ならば高くはなりません。無地と木綿で悩むのは8銭の12.5の場合もそうなのですが、原料も時期も同じなので、見た感じで判断するしかないのです。私の場合でも、1000枚有れば数枚はエイやで決めてしまいます。まさにその日の気分で違う分類も有り得ます。鑑定云々は野暮の極みです。ご自分で基準を決められる人しか買ってはいけません。このケースに於いては、人に意見を求めるのはご法度だと思います。】

Lot2602 房1銭ペア貼 ツ1号(直径20㎜)=異常な小型サイズの記番印

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【明らかに普通の記番とはサイズが違います。不統一かと思ったのですが、日付け的には、もろに記番時代です。二重丸印より小さい記番印が有るのでしょうか。摂河泉の大家のご意見はどうでしょうか。】

 

日付のデータと文献の記載ミス

Lot191 上海日本領事館宛 中継2字KOBE 10.AUG.94 日清戦争宣戦布告後上海局閉鎖直前使用例

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年号2字の初期使用はさて置いて、日清戦争での上海局の閉鎖時期と絡むのです。94年8月16日が境目です。コレスポンデンスとして一連の出品物を見れば、この日付でも届いているはずですが、着印が無いので証明できません。買った人が上手に料理すれば生きてくると思います。

Lot328 櫛型和田岬司令部内39.2.15

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日露戦時の臨時局で局の等級は2等です。郵便消印百科事典519頁の記載はいただけません。この局は開局が39年2月3日なので、丸一は無いのです。序でに書くならば、大阪停車場内の消印を丸二・櫛型としているのも間違いです。2等局で、38年12月21日の開局なら、38年中は確かに丸二のはずですが、実際は39年に入っても丸一を使っていたのです。菊と丸一に執着していた人が2人いて、絶対に探せと頼まれていたのです。竹内満寿蔵さんと塩見和彦さんにでした。何とか2枚見つけてオークションに出したのですが、お二人のコレクションに間に合ったかどうかは何故か覚えていないのです。5局の内、宇品碇泊場内、大里(だいり)検疫所内、和田岬検疫所内は、各2種類の消印共に比較的容易く見つかります。大阪停車場内と和田岬司令部内は一ケタ少ないと思います。

Lot519 〇SA/T 京都三條不足印

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日本郵便印ハンドブック243頁に、三宮として載っていますが間違いです。山崎君がミスるのは何時もの事でご愛敬で済むのですが、日本郵趣協会のそれはいけません。決定的な論文が出ているのです。【澤護先生】が如何に知識と鋭い洞察力をお持ちだっかかが判ります。確か、スタンプレーダーだったような気がします。〇SA/Tを三宮でなく、京都三條だと証明してくれています。奈良発、KIOTO・YOKOHAMA経由ドイツなので、神戸は絶対に通りません。それ以上にSAを三條だと見抜かれた慧眼には脱帽です。改めて読み返す価値が有る論文です。山崎君の「郵趣反故集」に載っていますので見ておいて下さい。

Lot877 ロールTOKIO NIPPON 19.8.35

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日本郵便印ハンドブックの229頁の記載、TOKIO NIPPONが1~2点の確認、云々はどうかと思いますが、実際に少ないことは確かです。一見して見覚えが無い姿でした。単片の欧文ローラーででデータ完読、それだけでも貴重です。なぜ少ないのか解明できれば、更に出世できるでしょう。

Lot2182 林式櫛型京城7.1.1

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日本郵便印ハンドブックも、郵便消印百科事典共に、京城の林式は9年からとしています。そのこと自体はミスでは有りません。いままで見つかっていなかったからでしょう。今回の物はどう見ても【林式】そのものです。書き込みからも7年で間違いありません。それ以上に、国内の林式が7年からなので、2年更新の最初期データと見て大丈夫だと思います。でも、でもここらあたりなら、熱心な表に出ないコレクターなら既にお持ちかと思うのですが。

中国と宛先と

Lot221      受領証書に朱縦書第七野戦郵便為替章

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文献に発表はされています。非郵便なのでまとまって有っても不思議は無いのですが、これ以上は出て来ないかと思います。

Lot1322 香港宛航空印刷物5円+7円 吉野熊野10円他貼

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ポイントは香港宛の航空便の料金です。セールに於いての結果とすれば、国立公園コレクターのお眼鏡に叶うかどうかです。吉野熊野の10円は最高に悩ましい物なのです。

Lot1827 長春支局時代のゴム黒櫛型CHANGCHUN-S 30.10.07

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遠目で見た雰囲気なのですが、瞬間、KUAN CHENG TZUかと思いました。消印の色と押し方に特徴が有るのです。正確に11日間だけの使用例です。知っていて、狙って探していた時も有ったのです。もしかして、数年前のINTER ASIAで売られた、吉川洋先生のロットの中の1通かな。KUAN CHENG TZUとセットで入っていて、随分と良い値段で落ちてました。これ以上の思い出話は、セールが終わって、その気になれば書きましょう。

Lot1855 満州3次普通1分貼 櫛型張北 蒙彊・察哈爾省

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私では評価できない使用例です。中国本土の人が100万超の強烈なビッドを入れて来たのですが、それは一昔前の大嵐でした。日本勢で踏める人は居るのかな。

Lot1939 AOPU豪宛船便 富士桜30円に3次R5円ペア貼

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AOPUの葉書よりは、絶対に少ないと思います。日本葉書の外信使用のコレクターとして世界一のアイホン君は一体どの位で入れてくるのでしょうか。

検閲封緘紙と検閲印

Lot545  香港検閲 白地に朱検閲済封緘紙

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Lot1849 朝鮮総督府逓信局検閲済封緘紙

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Lot2172 逓信省検閲関係2次昭和貼カバー13通・新楠公2銭1枚

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ピックアップの3ロット以外にも色んなものが、かなり散らばって出ています。Lot2172は、受取人は同じなのですが、差出人はまちまちです。今ケースに於いては検閲の番号違いが大事なので、コレスポンデンスで無い方が良いでしょう。大阪と北海道は中々に面白い地域です。何故か結構その辺りが多いのです。

越後国不統一印

Lot768 旧小2銭狸貼 ◎川浦・・・

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Lot829 旧小2銭狸 〇田嶋

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Lot978 房2銭貼カット 〇湯元検査・・・

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Lot1121 旧小2銭狸 ◎越後国三郎丸驛・・・

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Lot2597 洋桜10銭貼書留 〇峰岡

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〇田嶋は越後かどうか判りません。他の国でも同じ名前の局が有りますから。洋桜10銭の峰岡は、越後の人にすれば、書留で無くても良いのですが・・・かな。

最後にとびっきりの物をお見せいたしましょう。知る人ぞ知る名品が、on saleになるのです。8月の最終日曜日、場所はパシフィコ・ヨコハマ、勿論セールのラストロットになるでしょう。

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手紙が重要

Lot1693 旧毛3銭貼 櫛型青島11.12.10前9-12 山東省撤退日

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Lot1832 大震災時電報頼信紙

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Lot1901 1昭2銭、10銭、20銭貼審判書類

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Lot2508 1昭2銭、2昭10銭、17銭貼書留速達山型封筒

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何れも中身がミソなのです。売り手の手前味噌でなく、私が見ても十分にその価値が判ります。モロに郵便史マテリアルなので資料を生かせる人が買ってくれることを望みます。

ご希望によりコピーのリクエストにも対応致します。でも、ここで載せていますので本来はそれで十分だと思えるのですが。

鉄郵印と船内印

Lot41  菊青枠 丸一鉄道郵便二八水打狗間

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Lot376 旧毛1.5銭貼 櫛型AFRICA-MARU

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Lot1662 菊青枠 丸一鉄道郵便基隆台北間

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Lot1810 菊青枠 丸一舩内郵便徳山門司間

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Lot1811 薄墨連合往復両面使用済 返信部 独鉄郵印MAGDEBURUG-HANNOVER

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このパートは余計な解説は要らないでしょう。見たままの情報が全てです。

IJSEAPOSTは、ハワイが出て、アフリカが来れば次は鹿島でしょうか?

116回フロアセールのご案内

オークション誌は本日校了になりました。本の納品は2月3日で、2月4日に発送です。新型コロナの状況が不透明では有りますが、2月21日の東京の下見会、27日~28日のフロアセールと66回大阪駅前第三ビルバザールは予定通りに開催いたします。

やっと少し時間が出来ましたので、フロアセールの出品物の前宣伝をして見ます。全くの偶然ですが、複数の方からのご出品で、何故かテーマ的に重なってくるものが有るのです。今回の場合は、検閲封緘紙、日清戦争の軍事郵便などが、3~4名の方から来ています。こちらは掲載箇所がバラバラです。別口の明らかにコレクションからという物では、山東省の消印を主体にした郵便史、北陸線の鉄道郵便などは、オークション誌の編集に際しては、時系列に綺麗に並べて見易くしますが、複数の方からのご出品の場合はそういう訳には行きません。弊社の編集のテクニックではテーマ重視の並べ替えは出来ないのです。

お遊びで、幾つかのテーマで目玉を並べて見たのです。次回から8分割でお見せして行きましょう。

⓵鉄郵印と船内印・⓶手紙が重要・⓷検閲封緘紙・⓸越後国の不統一・⓹中国と宛先と・⓺日付と文献上の記載ミス・⓻目から鱗・⑧これは何?がテーマです。

何れも、記事も最低値もオークショニアご一任なので、やりたいようにやってます。図版をとくとご覧いただきたいマテリアルを選びました。オークシニアからビッダーへの挑戦でも有るのです。