2006年11月11日(土)

 「JAPEX作品集」
 JAPEXの熱狂の3日間が恙なく終了。余韻を残して時代は、月末の弊社のオークションとバザールに動きます。オークション誌は昨日発送、週明けにはお手元に届くでしょう。JAPEXとバザールを無理やり?げてみたのですが共通の因子が有るのです。若手というよりは中堅の実力派、この世界の核になりつつあるメンバーが、同じような行動パターンでフルに参戦しています。JAPEXに出品し、その作品集他を自家出版、ほんの小部数ですが、弊社のバザールの「ミステリー」のブースにて販売、世に成果を問うのです。
 今回は3名で、JAPEXでの戦績は、ワンフレの大金銀賞=ベストワンレーム賞、レギュラークラス郵便史の銀賞、ワンフレの銀銅賞と、賞のランクは分かれてますが、それはコレクターとしての資質を理由とした、作品の出来の良さというより、ただ只管、世渡りが上手か否かの差に過ぎないのです。
 「イシシロ」さんの名古屋の櫛型印と機械印、越後や岡山の初期消印と違って、素人受けする稀品・珍品は有りません。でも、ポイントとなるべきゴム印に、削りの流用印は押さえている。なにより、持ってないものまでも含めてのゴチャゴチャのデータを見易くチャート化した一覧表が良いのです。有るものの解説なら、現実しか語れません。でも無い物を、有ったら良いなと見せてくれるのは、この人の真骨頂。審査員との対話でも、この人にだけは最敬礼、4人が取り囲んで、ご高説を拝聴したやに聞きました。その場にいられなかった人、是非作品集を手にとって、強烈なキャラに触れて見て下さい。JAPEX’06銀賞受賞作品 「名古屋の櫛型印と機械印」 頒価4000円、限定10部 大阪駅前第三ビルバザールにて対面即売。

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 「とど仮面」の作品は、ワンフレの通信教育郵便、銀銅賞。人柄そのものの、真っ当な時系列に料金表どおりにこの種別を並べてます。中には随分入手に際して頑張った物も有るのでしょうが、まともすぎ。有るか無いかだけの料金表をそのままに、マテリアルに貼り付けたが如くの作品です。コレクションの教科書としては非常にわかり易く、好感が持てるのですが、評価をするに当たっての驚きがないので点数が伸びないのです。真っ正直に生きているのは判りますが、目に見える成果では損をする、この人の人生を見る思いの作品と、それに対する評価でした。
 さて、今回の売り物は、実は全く聞いてません。確実に言えるのは、8月には小部数しか作れなかった、「重量便使用例収集4・昭和切手時代」 2500円はジャパン・スタンプのブースで売ってます。ミステリーの「とど」でも通教作品集か、重量便の新作を売るはずです。文献・完集コレクターは、お見逃し無くお越し下さい。

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 「イッシー・司」はご機嫌でした。N2が2通入った、在日外国局とタイスコア、ベストなので上に来ています。この人のテーマは沖縄発速達郵便史 1937~53、悪知恵を働かせれば彼の右に出るものは無い。それは十分知ってました。今年の全日展が沖縄の菊、搬入直前のドタバタ劇を知っている者として、出来上がった作品を逓博で見たときの良い意味での驚きの落差を持ってすれば、JAPEXでも辻褄合わせが出来ていることは読めてました。
 でも、作品の前で捕まって、出品者御自らのレクチャーを受けた感想は、意外以上に、こいつ、ホントはまともだなという印象だったのです。日付けの括りが、S12・8・16の速達全国化が起点、1953・12・1の島内速達廃止が終点、きっちり完結しています。その間で、戦前は沖縄発で、内地宛の速達郵便、料金変化に留意し、19年の3銭+20銭なら軍事にも気をやり、更にはマサカと思っていた「島内速達」も入っている。でもそれ以上のポイントは、琉球郵政になってからの、島内速達を使った事。違和感が無く、コレクションから浮くことなく収まってました。1次航空と同時期の「速達切手」が出ているので、制度としての速達が有ったことは知ってます。でも、その速達切手貼りの実例は、沖縄の専門家の誰に聞いても、見たこと無い、有れば良いなのレベルでした。彼のそれも、2次普通5円3枚貼り、選管宛ての書留速達、豪華本の163ページに出ています。もしこれが、速達3枚貼りならば、「鑑定団」に一人で3回目の出演して、結構良い絵になったかも。沖縄1874-1972、この本が出た時も随分粗探しをしたのです。元の文献を丸写しだろうみたいな見方をして、料金や局の履歴を当たりました。でも、その期待は悉く裏切られ、原本のミスはきっちり訂正されてました。日ごろの言動に似合わない緻密な作業での労作だと改めて評価をしたのです。彼の性格からして、最高賞の作品集、作らないはずは無いのです。郵便史というよりも、人に見せる作品をいかにして、襤褸を出さずに仕上げるかの絶好の見本になるのです。もっとも、彼は真っ当な作品作りも出来るらしく「ドバイ」に本気でエントリーをしてるのです。もしかしたら、「沖縄」で最初の「国際展・金」になったりして。しかも悪知恵抜きの大勝負。こちらの作品集の販売はまだ暫く先のことになりそうですが。