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無くなった・・・。

ここ1年位で、海外との取引に関しての金銭の遣り取りの手段が劇的に変化して来ています。基本的には国際的なマネロン対策なのでしょうが、我々も多くのシーンで巻き込まれてしまっているのです。既に大分時間が経っていますが、トラベラーズチェックは過去の遺物です。最早国内で扱っているところは無いでしょう。既発行分は法的には永遠に有効なので、貰った場合は何とか現金化は可能なのですが、相当に苦労します。VISAとAMEX、トーマス・クックはリファウンドセンターが手伝ってくれるのですが、最終的にはアメリカの銀行からの送金になるのでストレスのかかる手続きをせねばなりません。銀行での国際送金も、Demand Draft=送金小切手は何処もやっていません。T/T送金でSwiftやBicsコードが必須です。ただこれは、ネットで情報が取れるので対応は可能です。仕向け(送金)、被仕向け(受け取り)も面倒になりました。国際的な要求に金融庁が動いたのでしょうが、1年に1度、想定される取引相手の一覧表をヒアリングシートとして出さねばならないのです。1万ドルか100万円を超えれば、詳細なエビデンスが必要です。オークションの場合は、お買い上げのインボイス、オークション誌のコピー、発送物の差出時の証明書類を出すのですが、銀行さんが、これほどの完璧なエビデンスは見たことがないと吃驚していました。条件が整っていればやれるのですが、スポットのディールでは相当に苦労すると思います。

私の場合は、1995年にアメリカのWells Fargo銀行で、チェックを切れる口座を開いたのです。アメリカに行かずに開設したので、この時も本人確認が必要で、証明してもらうためにアメリカ領事館を訪ねました。簡単にできる筈だったのですが、震災直後の為、自国民以外の依頼には一切応じられないとして拒否されました。代案として通告されたのが、Nortary Public=公証人に依る証明です。日本の公証人役場に行って、私が私であることを公証人に証明してもらい、更に公証人がその立場にいる事を、外務省に行って確認してもらうのです。実際にその通りにやりました。アメリカの社会保険番号抜きでやるのでこの手続きが要ったのです。こうやって開いた口座は、利息は付きませんが、アメリカ等との取引で随分重宝したのです。ドルでの受け取りとドルでの支払いがスプレッドなしで完結出来るのです。でもこの環境も1年前に潰されました。アメリカの銀行のレギュレーションで、非居住者の社会保険番号無しでの口座の保持が出来なくなったのです。マネロン対策の一環でしょう。数週間のノッティスでクローズドの通告なので大いに慌てました。たまたま数万ドルの残が有ったので、アメリカの取引先5人に頼んで先付のチェックを切ったのです。

国内からの国際送金も不便になりました。ゆうちょダイレクトが事業用目的の送金に使えなくなりました。私の場合は、会社も、個人もいっさいNGです。だから何とかFX系の送金で凌いでいますが、それも普通にやれるのは100万円までなのです。超えれば銀行に出向いて手続きします。その銀行も外為の取り扱いは大幅に縮小、証明書類を揃えて、本店や営業本部に行かねばなりません。スポットの飛び込みではどこでも無理だと思います。代替手段で使えるのが、ペイパルとクレジットカードでしょうか。金額が大きくなればペイパルは無理かと思います。今回のFeldmanセールでもクレジットカード払いの方が少なからずいると思います。これにもトラブルの種が潜んでいるのです。誰も悪くは無いのですが、知っていないとイライラする事になるのです。

AI?での判断かと思いますが、海外との通信販売での取引をクレジットカードで払おうとすると、金額にもよるのですが、かなりの確率でストップが掛かります。詐欺を疑っての措置なのです。特に、今回のセールの場合、海外取引での実績がゼロの人は引っ掛かる確率が高いと思います。支払い枠オーバーに依る拒否でなく、詐欺の可能性が否定できないという理由でのストップです。全てをチェックしていませんが、決済不完了の連絡は何処からも来ないと思います。Feldmanの場合もWebの専用の窓から入るので、ユーザーさんの認識は支払い完了、落札品が早く着かないかなと待ち焦がれるのです。待てど暮らせど音沙汰無しなのです。イライラだけが募ります。対応策を教えましょう。Feldmanの場合は、発送時にFedEXのトラッキング番号を連絡して来ます。カードの手続きをして1週間たってこの連絡が無い場合は、撥ねられていることを疑いましょう。対応策はただ一つ、カード会社に連絡して、決済がストップされているけれど、自分の取引で間違いないことを告げるのです。簡単に確認を取ってくれます。でもそれ以上の再送金とかには動いてくれません。やってくれるのは、カード会社は1時間後を目途に、この相手に対しての支払い口座を1週間限定で開いてくれるのです。但し、次は貴方がやらねばなりません。もう一度、Feldmanのサイトから、再送金するのです。元の取引は拒否で完結しています。だから二重引き落としにはなりません。このケースに於いては、Web.の手続きのみで完了出来るのでFeldmanにも連絡は要らないのです。多分、数日後に発送の連絡が有る筈です。流れが分かっていれば、そんなものという事で納得できるのですが、慣れていない人にはちょっと酷かも知れません。海外のオークションハウスの取引とはこういう物だと理解してのご利用が必要なのですよ。日本のオークションでビッドするのとはわけが違うのです。

 

Authorized Economic Operater

海外のオークション等で購入した物を輸入する場合のルールを書いて置きましょう。切手の場合のHSコード(Harmonized Commodity Description  and  Coding   System)は全世界で共通です。日本切手の場合、郵便切手としての効力を有する物は印刷物の一部として、49:07であり、関税も、消費税も掛かりません。この点での税関での定義は、郵便法の手彫と5厘を除く旧小判、追放切手以外という概念とは異なっていて、ゼロ無になってからの未使用切手が該当します。因みに、追放切手には記念や国立公園が含まれていない事から判るように、GHQが通達を出した当時の、軍國主義や国威発揚狙いの普通切手のみを対象にしており、当然ながら他の法律での有効性には全くリンクしないのです。新小判と菊の1円は、今でも郵便には使えますが、税関の分類では、効力を有しない郵便切手として、使用済や外国切手と同じく97:04になります。郵便法を根拠にして、税関と争ってはいけません。

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スタンぺディアさんから送られて来た日本語版のビッドシートを見てください。Shipping instructions (発送指示)に、□FedEX  □Registered mail  国際書留  のチョイス欄が有るのですが、これは2つの手段の何れかをクライアントが任意で選べるという意味では無いのです。本文ぺージの12頁に英語で、13ページに日本語で書かれている通りに、【すべてのロットは、スイスのDavid FeldmanからFedEXで発送されます。】が優先されるのです。国際郵便での発送は、FedEXが使えない私書箱の場合に限られて、要望を出しても無視されてしまいます。

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国際郵便の場合の通関は、各地の税関の外郵出張所が担当です。ここは話しが出来るし、融通も利くのです。万一、税関が判断を間違えて課税扱いになっても、支払っていない限り修正できるのです。物は受け取り拒否し、同時に通関済み証明書の番号を貰います。電話で説明して、然るべき書類を送るか、開封しての日本製の現認を要求すれば必ずやってくれて、2日後に免税通関での配達になります。話を聞いてくれるのです。でも、今回は無関係なのですが、満州・琉球・南方占領地は日本切手にはなりません。字入りは、国際展での佐藤浩一基準では外国切手ですが、税関に於いても日本切手で通ります。金額の過少申告もNGですし、全てに於いて嘘をついてはいけませんが、会話ができるので外郵通関は結論にも納得できるのです。

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