2005年10月15日(土)

「制定シート」
18種の原版刷りの小型シート、残るは、愛国3種だけになりました。ポイントは、目打です。他は全て「全型」13x131/2ですがコレだけは131/2のピッチです。恐らく同じ時期に調整されたのに違いないのに、発売用のそれと見事なまでに一致させて作ってます。18種を分析すれば、1936.7.10~1938・2・11までに発行されたものに限られてます。逆に見れば、この期間の発行で、展示されなかったものは、関東局30年は内地発売がなく、昭和毛紙と昭白の田沢・富士鹿・風景は同一図案の用紙変更なので除かれた、年賀の2種がなぜ入らなかったいは解りません。逓信省における、ステータスが違っていたのでしょうか。
ここで、制定シートの在り処を示して置きましょう。決定的な資料は、切手趣味第18巻3号=1938年9月刊の記事です。PRAGA1938の概況 我逓信省の出品として図版が載っています。1次昭和5厘・1銭・4銭・14銭、昭白5円、愛国3銭、議事堂11/2銭・6銭、富士箱根11/2銭・6銭・10銭の11種です。出品目録から取った図版らしく、英文でシートサイズが116x163mm(これがちょっとしたミス)と書かれ、品目は日本語で印刷されてます。
「普通切手」 新五厘切手(御朱船 )、新一銭切手(収穫の図)、新二銭切手(乃木大将)、新四銭切手(東郷元帥)、新一四銭(春日神社)、五円切手、十円切手
「記念切手」 帝国議事堂竣功記念切手11/2、3、6及10銭、富士箱根国立公園11/2、3、6及10銭、愛国切手2+2、3+2及4+2銭。そして改行して、一番下に「此に航空組合せシート」と共以上十九種。
最初は、別口の情報で、制定の4面掛けを見たとか、余白の大きい芦ノ湖4種組みが有るとかで、色んな伝手を当たったのです。でも、原文をよく読めば、「18種の原版刷り小型シート」と「制定シート」。実際、1934・4・20日発行の制定を、新たに刷る必要も無いし、見てくれが、発売されたものと違うものが有るならば、図版に載せているでしょう。逆に表現するならば、「制定シート」こそが、日本で最初の、原版一枚刷りの小型シートなのですから。探しても出てこないし、まさか、「透かし無し・制定」は作られていないでしょう。思い込みで夢を見たのですが、単純な読解力の問題で解決できました。

今年の初頭にスイスから情報を貰い、5月のセール、実際に落札して、プライベートで処理して、記事を書いてと随分楽しんで来ました。最初に思っていたことと、調べた事実での違いも出てきてます。決定版のパンフレットでも作ろうかとも思ったのですが、今でも解明できない点も有るのです。1次昭和の版式=原版は果たしてどちらを使ったのか?14銭はゲーベル原版です。此れが悩ましい。原版シートの縦寸は22・3ミリ、発売切手は0.5ミリ伸びるのです。ならば、他の4額面も原版シートと「ゲーベル」印刷の発売切手に0.5ミリの差が出ても当たり前。5厘・1銭は製版時期から考えれば「平台」でしょうが、2銭・4銭が伸びてるとするならば、「平台」と言い切る証拠は有りません。コダマ先生に、乃木を語らせれば、自信満々、2の字の特徴と印刷の雰囲気で「平台の最初期」のご判断ですが、彼のいつもの言い切りには、ちょっと眉に唾して見たほうが良い場合が多いのです。今回の「プラハの乃木」でも、彼の大著には、プラハ国際展がS12年10月に開かれたとなってるし、逓博の倉庫は地下と書いてるし、ヤマザキ先生ともどの、達者だし素早いけれど、物事の検証能力という点では、やや早とちりであることを否めないのです。18点の小型シート、何故か、愛国と議事堂は、我が社の金庫を出るのを躊躇しているのですが、それ以外は既に我が手を離れてます。最高で最適の新所有者により、敬意をもっての分析がなされると思います。私の文での表現は、これにて暫しの余裕を置きましょう。折があれば、何れは決定稿を上梓するかも知れません。

当コラム、印刷も出来ると思いますが、シートの鮮明度が如何なる程度か分かりません。画像に使った「原版刷シート」18点、ご希望ならば、鮮明なカラーコピーを差し上げます。メールのお申し込み限定で、無料です。10月中にお申し込み頂いて、発送は11月に入ってから、何せ今が、11月のオークションの編集の追い込みで、10月27日が入稿日、あと、2000程を12日で書かねばなりませんから。動けるのはそのあとです。

愛国切手(1.27MB)