2006年3月28日(火)

 「強靭紙」
今日、出社したら予想通りに、エージェントからのレポートがFAXで入ってました。
我々には常識ですし、欧州のブローカーの巡業の流れに入っている、西欧と北欧の3月25日のオークションセールの結果です。両方とも、しっかりしたオークションハウスですし、20年を軸に見れば、「3銭薄紙 右上コーナー 外郵十字」とか、「支那字入り分銅往復右書き 返信未使用付着の実逓使用」「8+8連合 使用済」とかも出てますが、それはレア・ケース、昨今は殆ど買うものもなく、日本の一般収集家では、まず落とす事を前提にしての、カタログすら受取っている人は少ないでしょう。
私とて今は、隅から隅まで丹念には読んでませんが、パラパラめくりで「JAPAN]の写真ぐらいは眺めます。一件は、オークションの1ページにぎっしりと竜が蠢いてました。左列が偽物で右列が本物、そこそこ、きっちりした分類でした。桜も小判も有るのです。でも、ボリュームが大きくて、古くて分厚いアルバム4冊、「JAPAN・CHINA」だけでなく、全世界、英領やイタリアも強いとか。参考値がEUR1万、写真に出てる「JAPAN・CHINA」を梃子にして、外国など落ちたらどうするのの怖さも怖さも有るけど、ゼロの評価では勝てません。結構リスキーな値段を入れたけど、結果と見れば随分差がある落ち値です。300万円で入れたけど、掠りもしてません。
全世界のクラシックのアキュムレーションは、「JAPAN」のウエートが7~8割ないと、絶対に勝てません。仮に2番札になったとしても、落とした人は「リング」で談合のグループなので、あと一人がいなければ、次は自分の番になる、ということでは有りません。実際に下見できた場合でも結果は同じ、ヒネリものが入っていて、その1点で全部が買えるぐらいでないと、ミックスロットは端から勝負になりません。まして、メールでのブラインドビッドなど、何の影響もないのです。
「JAPAN]単独なら違います。下見して、電卓を叩くと強みが出る場合が多いのは事実です。でも、条件次第では、こちらにいても勝負が出来ることも有るのです。今回の、小さい型録のカラー写真は正にそれ。存在確率と売れる値段を秤に掛けると、一番美味しい掘り出しネタと言えるのです。

竜5銭の未使用で、「猿でも分かる強靭紙」。使用済みの分厚い無地紙とは異質です。ただコレは半銭2版の硬い紙の「消去法的強靭紙」みたいな無理やり分類でなく、いくつかのポイントでポジティブに扱えるものなのです。色・毛羽立ち・紙質・弾性など、「竜5銭・未使用・強靭紙」は例外なくこのものです。
今までにも結構縁が有るし、狙い目なので4枚は見つけてます。写真で分かる通り、オモテズラはVF。ただどう見ても、真ん中当たりのヘゲかキズが気になって、中途半端な評価しか出来ませんでした。元よりこのロットは1871~1977のライトハウス2冊入りのコレクション、写真の5枚以上の情報は持ってません。だから直感で、有る物と無いものを頭の中で踏むのです。参考値は安いのですが、1種1枚的な物なのでそんなには厚みは有りません。ライバルは「強靭紙」が見える日本人だけ。追加の情報も条件は同じはず。残ったものの踏みも大きい差は出ないはず。結局、強靭紙を見える人がビッドするかと、写真で見て分かるキズをどう処理するかがポイントです。一人が見てなければ、参考値の少し上で落ちるはず、でもそれは甘いでしょう。見つけられるか否かでなく、型録を取っているか否かだけがポイントなのですから。だから参考値の4倍入れても、一声負けると読みました。それ以上入れて、大キズならそれもまた辛いし。
結果?こんなケースでは、読みが外れることは無いのです。だから有る意味では安心もするし、物凄く満足し