2005年10月8日(土)

「全型目打」
この小型シートの場合、 目打形式の分類で言えば、可能性の有る物は、単線(4周を1辺ずつ打つ)か全型(4周を一度に打ち抜けるように設定した器具を用いる)の何れかに限られます。ここでの「全型」とは、平版・平台なら櫛型、平版ゲーベルなら全型と表現されるものとは意味が違います。実際、日専等でも、小型シートの殆どは、一度に打ち抜くという点で、「H=全型」という分類表現を採っており、ここでもそれに従います。
「プラハ・・」の目打形式は何だったのでしょうか。一見して、4隅がきっちり揃っているので「単線」でなく「全型」と見られます。でも、菊切手や田沢や新高額においても、4隅が揃っていれば単線を櫛型と見誤ることも有り得ます。数が少ないロットの場合、慎重に1辺ずつ打ち抜けば、飛び出したり、ずれたりせずに揃えることも可能でしょう。現物を慎重に見ましたが、1次昭和の5種と昭白高額2種の計7種は全く同じ目打器で打たれてます。単線で1点ずつ打ったのでは有りません。但し、7枚を重ねて一度に作業した可能性も残ります。この場合は、単線目打を慎重すれば4隅揃えも出来るでしょう。でも、別の資料が現れて「全型」で打たれたことの証明が出来ました。記念・国立の大型サイズの方は、富士箱根4種・議事堂4種の計8種が同じ目打器で打たれてます。当然ながら、4隅は揃っているのですが、重ね打ちの可能性が残るので、全型とは断定出来ません。
昨日の画像を見てください。郵趣2001・7月号から引用の「逓博所蔵」の議事堂10銭、原版刷で目打有り、透かし入り用紙に刷られて、多分糊も有るのでしょう。4周の白耳をくり抜けば、発売された物との区別が困難なように仕上げてます。そして、その目打は13x131/2、この目打を打った器具で、「プラハ・・」の8種も打ってます。議事堂の発行はS11年11月、このシートはその少し前に作られていて、プラハのシートはS13年年初あたりの印刷でしょうから、1年以上もズレテます。単線で打って、1年過ぎて同じ仕上がりにはなりません。だから、11年の議事堂を打った「全型」仕様の目打器をそのまま保管して置いて13年にプラハの為に引っ張り出して来たのでしょう。1次昭和とは器具のサイズが、愛国の場合はピッチも違いますが、何れも「全型」仕様で打ったと判断して間違いないと思います。
次回は国立公園小型シートのお話です。

議事堂竣工(1.56MB)