2012年5月2日(水)

『玉六ヨ』

4月28日の現地時間午後4時20分・日本時間では11時20分にハンマーが叩かれました。現地のエージェントとは携帯でライブで話ができていたので、5分後にここにUpする手筈でしたが、自宅のパソコンの動きが悪く、今日の作業になりました。

Postiljonenの200回の記念セールの目玉でした。ドイツのメジャーなオークションハウスでの最近の掘り出しで、幸運なデンマークの業者が的確に動いて素早くマーケットに出しました。

金井宏之さんのお別れの会で、ベテランのディーラーさんに聞かれました。今、2000万で買う人が何人いるのかね?即答で「世界中で1人」。私のアンテナには複数はかかってこないのです。それも、「玉六ヨ」だから売れるのでなく、傷のない、朱消しでない、白抜十字のNo1の状態だからこそ、商売の可能性が出てきたのです。今まで3回はオークションとプライベートで買えるチャンスがありましたが、何れも値段以前に買う気が起きずにパスしていました。ありふれた物でも、珍しいものでも、状態がよければ相当に強気の値段で通ります。でも2級品は一桁安くして、違う世界の住民からの新たな需要が起きるのです。切った張ったが日常茶飯事の商売とはいえ、覚悟して切り込むには、自分なりの理屈が立たないとダメなのです。今回は強いカードを手にして飛び込めます。

スタートが81000ユーロ、メールの2番札が8万ユーロ=@107x1.2(手数料)で1027万円、1000ユーロで刻んで、台が変わっての一声で、105000でハンマー、大拍手になりました。メールの1番札は10万ユーロ=1284万円、メールのお二人の素性は判りませんが、1000万円と10万ユーロは落ちれば良いなのビッドでしょう。切り裂くような迫力はありません。落とす気なら本人が場で動くでしょうし。

場には日本人が2人いて、ひとりは外国のクラシックの珍品としての「玉六ヨ」を踏んでいました。希少性にプラスして、状態でプレミアを付けていたので、結構強い札でした。幸い私は2ヶ月前に会食して情報を交換、それなりのニュアンスで話をしていました。Corinphilaの流れで来たのかどうかは聞いていませんが、国際展出品者の為のセミナーへの出席のついでに、フロアに出た彼が買っていれば、手彫の世界にビッグなニューカマー登場・・、今頃は驚天動地の話題になっていたかも。プライベートオファーが嵐の如く降り注ぐでしょう。でも物には買う順番が有るでしょう、という言い方で降りて貰って、今回は1点借りになりました。

スウェーデンの『玉六ヨ=No1』、マジで4人は買う気でいましたから、手彫も捨てた物ではないでしょう。もし掘り出しで私の手元に来ていれば、値段は付け放題の商売が出来たのですが、オークションに出されてしまえば、如何にリスクを外して手に入れるかに神経を使います。想定していたMaxには随分余裕が有りました。降りて貰って稼いだ鞘は、そのまま本来の買い手に進呈できるので、良いお買い物のお手伝いが出来たと思います。ユーロの送金も、ちょっとしたテクニックを使えば、銀行間レート=ミドルに25銭のスプレッドでTTSが取れるのです。今日の手配で@106.20位でやれました。オークション誌の発送までにもう1回は更新できると思います。テーマは決めていません。