2012年4月13日(金)

『After the sale 』

 最近やたらとスウェーデンからメールが届きます。同じ相手から5~6回は来ています。要件は当然ながら、「玉六ヨ」が自社の200回記念のオークションに出品されているので是非ビッドをしろとのご案内、他の人にも同じ条件で行っているはずです。

この切手は、昨年にドイツの著名オークションハウスのMixのロットから発見された物で、北欧のディーラーが持ち主=出品者です。早い時期に極秘を前提で画像を貰っていて、確か「市田番号=墨六ヨの32」の確認が出来たと思います。美品だし、目打と消印もOK、だからas is ベースでオファーが来れば、喜んでギャンブルしたと思います。情報が表に出ずに買えたなら、プライベートで嵌める手段も有るのですが、オークションに出て、衆人環視のディールになれば動きが取れなくなるのです。買値がオープンのマテリアルは日本では極めて売りにくいのです。余計な雀が騒ぎますから。

でも、持ち主の動きは私の予想以上に素早く、Linn’sにも記事が出たし、ドイツと日本の鑑定も通って、スウェーデンのオークションの目玉となりました。情報がオープンになった後、何人かと話をして、売れる値段=落ちる値段は1000万位、出品者は、がちがちで売りたいはずなので、参考値は安くつけていて、多分5万ユーロかなという線が共通の認識でした。手数料20%を含んで、650万位、この値段ならリスク商売の許容範囲だし、結構競るほうもエキサイト出来るのです。

Web.に情報が載り、間もなくカタログが届きました。今回のセールでは参考値は9万ユーロ、@108円を掛けて、1.2倍なので1166万円、思惑でリスクを被ってスタート値で買ったら1500万で売らないといけません。コミッションベースでノーリスクの客付なら幾ら高くてもOKですが、リスク商売は中々にきついのです。今の日本では買う人のお顔はすんなりとは浮かびません。ミッヘルの25万ユーロ、日本の3000万円というカタログ値は浮世離れしており、大局観に欠ける売り手サイドの都合によるボーガスの数字です。ステータスからして、「玉六ヨ」の実勢小売価格は傷がなくて1000万、但し朱消しでOK、傷はマイナス、白抜十字はプラスの評価になります。20銭イ>玉六ヨ>20銭縞の並びです。

オープニングの9万ユーロには多分反応は無いでしょう。アンダーエスティメイトはせいぜい2割引まで、7万ユーロが限度です。これならほぼ900万円、コレクターなら買える数字だと思います。この時点で5万ユーロのビッドをしてはいけません。オークショニアの評価を馬鹿にしていることになりますから。

和桜20銭縞は、私は6枚扱っています。出品されたオークションに出席したのが2回、後は掘り出しと、プラーベーと委託です。最初はドイツのShwanke & Sohnの記念オークション、出品者は、独系英国人のゴールドスミス、チューリッヒのRobsonLoweでの掘り出しです。表紙にでかでか出たし、DBZにも大きい広告が載りました。エスティメイトは非常に安かったと思います。日本の札は最初から1枚だし、メールビッドは無し、値切って300万位で買えるかなと思ったのですが、身も知らぬドイツ人と競り600~700万位になりました。その次が香港のJohn Bullです。アメリカ人のTylerさんの持ち物で表紙の真ん中に載りました。良い物ですが、参考値が高かつたのか、場では売れずに空売りコールになっていました。結果表で空欄なので、一発勝負で買いたい値段のMaxでオファーして即OKになりました。

日本の切手の高級品には、素っ頓狂なニューカマーが飛び出すことはないのです。カバーは別ですが。だから、今回の「玉六ヨ」へは、アンディーもジェフリーもグイドもデーヴィッドもビッドはしないでしょう。もしジュリアン・クライブがいたならば、場での値切りのオファー対策に、私もマルメへ行ったかも知れません。9万ユーロのコールにビッドがあれば大拍手だと思います。私としては今回は4月28日のセールの後のAfter the saleでの交渉に賭けましょうか。結果は後日ご報告いたします。

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