2011年5月18日(水)

『7種で完』 

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チャートのマークは◎が山本さんの本と、今回の香港のロットの両方に存在、○は山本さんのデータ、△は香港のそれです。時間の制限もあり、それ以外の文献やオークションの資料は精査していませんが、表を作っていて面白いように簡単に埋まりました。根拠の標本数が数点から10点程度なので、あくまでラフな叩き台と見てください。その不十分な限定されたデータだけでも、一目瞭然で、1944年1月8日と6月15日で分布は明瞭に分かれます。3次昭和3銭は、山本さんの推定の民間会社製の特殊タイプとして検証から除きます。
誤解を恐れずに推測で分析するなら、40銭凹の山本本のタイプ7・8と、灰勅10銭のタイプ18には連れが無く浮いているのです。特に、タイプ7・8は、1昭~3昭の他のどの額面にも現れていません。タイプ7は「み=B・ほ=D・ん=G」タイプ8は「み=B・ほ=D・ん=H」で「ほ」のDが問題になるのです。私にとって利己的に解釈すれば、「ほ」のEとDを混同したならば、BEG=タイプ9、BEH=タイプ10で、非常に収まりが良くなります。確定の結論ではありませんが、仮説として提示して話を進めます。また、灰勅のタイプ18はこれだけ異様な「左書き」なので本稿では取り上げません。
1次昭和の後半発行はタイプ9の1種での100面組、2昭で最初の5銭は、もしかしたらそれに属するかも知れません。2昭4銭(1942.10.1)~40銭凸の9種は、取り敢えずの属性で、1タイプ又は2タイプの出現で追加のデータを組み合わせれば3種になる可能性が大です。タイプ9・10・15の3種です。2昭7銭(1944.6.15)でがらりと雰囲気が変わります。3昭5銭は7種完、それ以外も概ね5種~6種が簡単に埋まります。このグループで全て7タイプが埋まるなら同一版の実証の希望が出てきます。データの少なさを考慮に入れても、前半の3種以下の出現タイプと後半の7種タイプで版を組み替えているのだと推測します。この2グループの2種の版組が確定すれば、タイプごとの希少性も分かってくるし、それなりに収集ポイントが定まります。オークションの公表されている写真でかなりのデータが得られますから、ぜひ挑戦してもらいたいと思います。コーナー等の耳付やマルティプルが有れば大事にしてください。
私の手元のデータを少し追加します。今回のオークションに出したLot3518の灰勅10銭田型は、Pos89=タイプ15、Pos90=タイプ15、Pos99=タイプ9、Pos100=タイプ17です。また、たまたま3昭5円と10円のPos100両耳付が有るのですが、この2点もタイプ17です。同一版の必要条件は満たしています。因みに3次昭和5銭の田型は左上から右下へ9・11・15・17です。勿論このデータだけでは法則性は見つからず、何の可能性も示せません。みほんの発行数は、200とか230の数字が一人歩きしていますが、それは山本さんの「明治・大正編」に一覧が出ている、公式の配布数であり、印刷数とは違うデータです。私の今までの経験で、昭和~新昭和は、少ないものでも2桁近く、多い物では数十枚は扱っています。状態は概ね良好でした。マーケットに出てきているものの出所は、230枚の配布に属する物は、廃棄されて恐らくはゼロ、大部分が別枠の郵政の関係者の保管品、一部は駐留米軍関係者の収集品でしょう。数年前に「うなぎ」「二宮貯金」が束で、塔航空がシートで出てきました。郵政の事務次官の遺品と聞きましたが、何がどれだけあったかは確認できていません。それ以外にも、私の手の届くところに、遺品の1次昭和~の希少な「みほん」のまとまったロットが出番を待っています。だから、印刷自体は少なくとも5~10シート単位で刷っていると思います。ただ、同時にそれ程は頻繁には版は組み替えてないだろうとも推測します。この情報があれば、1種集めて完、異タイプを色眼鏡で疑って見るのでなく、料理の仕方によっては、手軽にサビの利いたリーフが作れるでしょう。どなたかチャレンジして下さい。次回で、「みほん」をテーマのちょっとしたアラカルトを書いて、このお話の完といたします。