2011年5月13日(金)

『現(うつつ)の消印』

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ちょっと時間が出来たので、今回のオークションでの「目から鱗」ネタを2件書きましょう。何れも、随分前から温めていて、ようやく時満ちて書いてもいいかな、と思えるテーマです。まずは、異形な欧文印から。
Lot947と2650 全くの同一の消印で、ゴム2字SEOUL(逆向き)局名下 日付は27.FEB.06 と17.FEB.06IJPO上 です。台切手は菊2銭C13x13.5、印色も含めて一致しています。
私が最初にこの消印に接したのは10年ぐらい前、入手のルートから、不自然さや嫌らしさは感じなかったのですが、余りにも異様な姿で、兄弟も見つかっておらず、売りに出しても誰も認めてくれないと思って、取り敢えずはペンディングにしていました。画像の物ですが、いつの間にか2点になっていました。以前、ちょっと記事を書いたのですが、その時も早速反応が有って、それ以前、今からだと20年ぐらい前の名古屋のオークションに同じものが出て、それを買った人が画像をくれました。私個人の評価は100%真正で、夢や幻でない、実存した郵便印だと思ってましたが、それを強調してもオークションのマテリアルとしてのステータスは上がりません。正に、エンタが出るか、説得力の有るデータが増えるのを待ってました。
Lot2650は、2年前に預っていました。ただ、出品者も私と同じ感性の人で、時間の余裕をくれました。この人はこれをE-Bayで落して、しかも他に10点ほどのピースも持っています。全て、同じ印象で台切手は同じ、消印の日付だけが微妙に違っていました。この時点で、もう少し詰めた記事を書けば、信用されるのかなとも思ったのですが、タイミングが悪くてそのままになっていました。そこへ、Lot947の出品です。こちらは、瞬時での処理が要求されます。だから、私の持っているデータをそのまま書いて掲載、ならばと同時に、以前からの預り物も載せました。最低値の違いは、消印の掛かり具合の差だけです。
手元のデータを纏めましょう。私を含めて少なくとも同じ印影のマテリアルを4人が手にしています。合計で20点近くは見ています。日付は1906年2月10日~28日まで、実際はもっと絞れるはずです。台切手は、菊の2銭C13x13.5ばかり、1点だけ菊1銭が有りました。推測ですが、アメリカ宛の印刷物帯封に使われた物と思っています。消印のデータでは05年の後半から、06年の前半のSEOULの欧文印は空白です。だからと言って、このタイプの消印のみが、この空白を埋めるとは思っていません。出現した額面と、単片の数の多さと、エンタの少なさから、印刷物専用印だと読みました。SEOUL消のアメリカ宛の印刷物は、完全な物も、それなりに残っています。このタイプの実例の出現を待ちましょう。
もうひとつのアラカルト、弊社のフロアセールの極初期に扱ったのですが、U小判1銭のオンピース、ちょっと不鮮明ですが、どう読んでも、JN3上海/日本郵便局というものが在ったのです。完影でないので4~5万で落ちたのですが、今となれば、今回の菊2銭の異形の年2字と同じ、印刷物に使われた◎印と思えるのです。ポジティブは要素としては丸一の上海の前の消印と思います。こちらは、カバーは無論、単片やカットも出てきてません。疑って、諦めて持っている人、是非ご連絡をお願いしたいと思います。Fakeと思い込む理由はないと思います。もう一件は、「香港」と「みほん」のお話、数回分割で書いて見ます。