2010年9月10日(金)

『しばらくお休み』
日専Vol.1 戦前版 2011-12 は、10月25日発売=10月20日より出荷予定とのこと。今年も、例年の如く、巻末の広告スペースで「コラム」を書きました。広告なので、編集委員会のチェックは入らず、本体の記事とは責任の在り処が違います。広告ですが、ページ数は原則自由ですし、テーマも書き放題、文字数の割にはストレスを感じずにすんなりと出来る仕事です。今年のテーマは「珍品カバーを検証する」。20数年の出来事を並べて、直近のライブの「ヤフー」の手彫の珍品カバーの素性を分析しています。初めて図版を入れて、トータルで17ページ、今までの最高のボリュームなので、担当者に迷惑が掛かってなければいいのですが。私は普段は書いた文は読み返さないのですが、今回は内容ゆえに、慎重に推敲しています。自分で読んでも疲れないので、是非お買い上げの上、ご覧頂きたいと思います。
郵趣サービス社のディーラー向けのBulletinによれば、「★刊行50周年の節目にあたり、手彫~第1次動植物国宝の切手別専門分類が完成し、分冊刊行はひとつの区切りを迎えました。本年版をもって「日専」分冊刊行をしばらくお休みいたします。この機会に、ぜひお買い求めください。」とのことです。これに関しての、コメントは止めておきましょう。
今回の私のコラムで、ちょっとした追加の情報が必要なポイントが二つ有ります。一つは、テーマを絞って書き出したら、止まらなくなって端折ってしまったことが一件、SPECIMEN他の、UPUの横文字みほんのこと、これば遠からずここで書きたいと思います。随分前に資料を貰っていて、載せるだけのタイミングでしたが、やれていませんでした。丁度、直近に新しい文献に記事が出ていますし、オークションでも関連の出品があったので、今まさに時満ちたのです。戸籍をきっちり付けられます。
もう一件は、今回の記事のテーマの結論です。オークションでの偽カバーの実存を証拠を示して書きました。同時に、疑わしくても、私が本物と思っている根拠も載せてます。オークショニアの立場として、やるべきは、流通の場からの偽物の排除と、ビッダーの不信感の除去なので鑑定の役割が重いのです。それへの新たな一つの結論として、然るべき鑑定機関に提示して、その結果が「意見なし」なら、弊社の場合は、返品を受け付けると書いたのです。ただ、これにはかなりの注釈がいり、スパッと割り切って、現状のルール=「意見なし」は返品不可=買わねばならない、と全てで正反対でやりますよという結論には出来ないのです。
利害の伴うルールの変更なので、実務上は然るべく告知をした後にやりますが、真偽に関してのポイントで、鑑定のリクエストがあり、その結果として、現状では確定できないという意味での「意見なし」は、無理やり買って貰う必要はないという考えです。ビッダーの疑心と不安感、鑑定に携わる方のプレッシャーを減らしたいのです。オークションの出品物全てに対して、神の真正の鑑定書が付くものでなければ、流通させないという主張では有りません。単片の未発表の不統一印とか、カラーマークの主観による、シェードの表現とか、神でない鑑定者が、絶対の答えを持っていないテーマの場合は基準が異なります。それに対して、全てで鑑定という責任回避の答えを求める方が無茶なのです。それがわかってない人も多いのですが・・。ここらも含めて、今回の記事は相当詳しく掘り下げましたから、是非ご一読願いたいのです。因みに、弊社の「意見なし」での、返品の可否の基準は、オークショニアの判断による、とせざるを得ないと思っています。マニュフェストに書いてあるから、教条的にその通りにやらねばならないでなく、実行することが社会正義に即するから、個々のケースで判断して運営をすることになるでしょう。ここらは、まだ時間も有るし、色々動きも有るでしょうから、まずは提言することから始めたいと思っています。