2009年3月28日(土)

『非課税・無税・免税』

本年2月16日から輸出入に関しての通関手続きが変わり、輸出も輸入も20万円を超える物品を国際郵便で送るか受け取る場合は、全て通関手続きが必要になりました。概略を説明すれば、従来は賦課課税方式で税関が手続きをしていた物の内、20万を超える物は本人(実際は委任を受けた代理人)が手続きするように変わったのです。実務上は、輸入(納税)申告を必要とする可能性がある国際郵便物=価格が20万円を超える物が届けば、税関でなく、郵便事業会社からその旨の連絡が来るのです。まず最初にやることは、迷わずに代理人選任の委任状をFaxで送ること。自動継続で半永久に有効です。同時に荷物の説明も事業会社の該当部署にFaxですれば良いのです。

内容物に関しての説明の仕方は、以前の税関や通関業者=乙仲さんにしていたのと同じです。違うのは書類を出して説明する相手が税関直接でなく、委任状を出した乙仲の郵便事業会社になるだけで、税額とかの実質面は変わっておりません。ただ、当局の周知が不十分な為、予備知識がない人にとっては、今までは無縁だった予想外の手紙の文面に戸惑われる方が増え、私に対してプロ・アマ問わず既に7名の方から手続きに関してのお問い合わせが来ております。その回答は極めてシンプルで、電話で空で返事ができるのですが、過度な心配をされる方も結構おられるのでここに簡潔にまとめておきましょう。硬直した法律用語を用いた堅苦しい法解釈でなく、実務に即して書いていきます。私の数十年の経験で、散々税関や乙仲と遣り合って、あくまで日本切手を中心とした郵便切手の輸入に関してですが、最も効率よく通関できる方法も把握できております。ただ、私自身が実践的に実務で用いる判断を主としますので、厳格に分析すれば一部法解釈では不適当な表現になる場合もあるのですが、それは聞き流しておいて下さい。例えば、新小判1円の未使用は郵便法上は1円として使えるものの、ここではその判断を用いてはおりません。それを強弁することに意味は無く、話を複雑にするだけなので、如何に楽にかつ費用を掛けずに通関するかを論じます。

まず、本邦に郵便切手を輸入するに際して課税される可能性の有る税金は「関税」と「内国消費税=5%」の2種類ですが、日本切手に限定すれば、一切税金は掛かりません。ただ、税金が掛からないという同じ事実でも、法的には3種類に分かれるのです。「非課税・無税・免税」です。結論としては何れも税額はゼロですが、完全に意味は違います。

本邦に於いて郵便切手として通用する物は、有価証券であり、税番は49.07で資本の移動と同じく「非課税」です。この場合の有価証券の定義は、郵便法上の効力の解釈でなく、プレミアの付いてない時代の額割れ切手が該当します。貨物の全てが、これに該当するなら、税番を言う=未使用の新しい日本の切手です、で問題なく通関できます。時として額面合計を問われるのですが、これは後述します。郵便料金納付に供せない、使用済の日本切手及び外国切手の場合は、収集品・骨董品で、税番は97.04に変わります。この税番は、関税は「無税」=料率がゼロですが、内国消費税5%が掛かります。外国切手の場合、この消費税は税関がミスをしなければ、本来免れることは出来ませんので、申告の上支払って下さい。但し、日本切手の場合は、更なる最重要のファクターが有って、「日本」の使用済の場合は、関税定率法14条―10の、「本邦から輸出したのち、形状を変えずに再輸入した物品は無条件で免税にする」という規定があり、これで消費税も「免税」になるのです。このケースは知識に基づいて、強く主張しなければ結構揉めるし、海外のオークションハウスの場合、グリーンラベル上のdeclareおよびorigin=原産国を悪意がなくても「Japanese stamp only」と書いていないケースが多いのです。この申告が有れば、見落とす税関が悪いので、幾らでも強気で話せるし、かなりのケースで異議申し立ても効くのですが、リスクヘッジをする意味でも送り主に「Postage stamps ; origin Japan」の申告をするように要求して下さい。これをして、税金が課税された場合、クレームを付けるのですが、申告書に書いてない場合は、乙仲さんの出来によっては、例えばUPSヤマトの場合など、かなりの上の立場の責任者でも、社のポリシーとして、小口の貨物などいちいち調べる程の料金を貰ってないので手間が掛かる仕事はしない、貨物の表面の情報を基にして、自己判断で通関して何が悪い・・等の暴言を吐く輩もいるのです。この考えには与しませんから、私は如何なるケースでも国内外を問わず、ヤマト運輸は使いません。

FedEXやDHLの場合は、一般的には現品のチェックもするし、慣れているせいも有って、証明書類さえ有れば手続きで間違うことは少ないのですが、貨物の特性で、同じ性質の同じ形状の商品の反復・継続でなく、1回毎にまちまちで複雑な内容の輸入なのでケースバイケースで対応せざるを得ないのです。送り主や乙仲はそれを想定してませんから、私でさえ、今までに2回は通関できずに差出人戻しになりました。前述した通り、日本切手の場合、どう転んでも税金は掛かりません。但しそのことと、正しい書類を出さずに済ませられるというのは別問題なのです。特に困るのは、明らかな過少申告です。こちらは口を酸っぱくして、Full declareで Fullinsurance の要求を出すのですが、守ってくれない場合が多いのです。額面100万円の未使用切手のインボイスで、US$100の申告では説明が通りません。税関は税額ゼロならそれでOKですが、頭の固い乙仲は、何故過小申告をするかのかを聞いてきます。確実に内容が把握出来ている場合は、事情を説明したり、先方に正しいインボイスを訂正で出させるのも可能なのですが、オークションの出品物を始めての相手が送ってきた場合などは、何が入っているか全く予想も付かず、かなりのトラブルの可能性も有るのです。大阪税関の外郵出張所が大阪中央郵便局に有った時は何度も直接出向いて、税関職員立会いで開封確認ができましたが、関空や成田ではそれも出来ません。それでも、郵便ルートで来る場合は、従来の場合、説明をする相手が、正に「税関」其の物なので話がすんなり通ったのです。ところが、乙仲通しの場合は、FedEXでもどこでも、お上の名前を使って自分でなく、「税関がこう言っている・・・」の一点張りで、インベントリーリストの提示や、詳細な切手の枚数の確認を要求してくることも有るのです。税関が書式を整えろと言っている、それをそのまま伝言しただけだというのが乙仲の言い分ですが、これは100%嘘で、税関内部の職員に聞いたところ、税関はその種の要求は絶対にしない。密輸や脱税の可能性がなければ、すんなり通すのが仕事だからという返事です。このケースの場合、近ければ自分で行って説明できるのですが、それが無理ならば形式上は相手に理があるので、乙仲と遣り合って喧嘩をしても無駄なので、私の場合は専門知識のある第三者の「相談官」を使うのです。全ての税関に必ず一人います。そして確実に話は聞いてくれるのです。税関と税額で揉めるケースはゼロで、あとは書類が整っているかだけ、それも税関の名を騙った乙仲が無意味な要求を出しているケースをクリアするのに頼むのです。5回はお世話になってます。相談官とは連絡が取れれば冷静な会話が成立するので困ったときには是非使って見て下さい。乙仲では相談官の存在自体を秘匿し、連絡先を知らないと嘘をついてまで教えない場合が有りますが、直接税関に聞けば分かります。

細かいことを言えば、スコットアルバムのJapanのコレクションの場合、琉球や満州、南方などが1割位は混じっていると思しき場合など、印刷が日本だからとか、かつて=当時は日本領だったから日本製だと、理屈で強弁するよりも、幾許かの日本以外の外国切手も有ります、その部分は消費税を払いますの方がすんなり行くかも知れません。案分比例での正確な評価など誰も出来ないので、阿吽の呼吸でやるしかないのです。私の場合は、消費税が本則課税なので、払っても払わなくても確定申告で精算になるので、何時払うかだけの差しかないのです。ただ、簡易課税の人や、消費税の申告義務のない人の場合は、払うと損、払わなければラッキーなので努力のし甲斐が有るでしょう。

今回の制度の変更の場合、親切この上ない郵便事業会社が一切無料で通関手続きをしてくれるのです。これは使わない手はないのです。ただ、制度が始まって慣れてないし、今だけのイニシャルな手続きもあるし、結構手間取っているようですが、将来的には慣れてくるし貨物ベースの乙仲に説明するよりは楽だろうと思います。切手の場合、税番の49類と97類、関税定率14条・・を滑らかに説明できれば事はスムーズに進むのです。このケースは知識をひけらかして何らのマイナスにはなりません。

次回もこの関連ですが、輸出に使うEMSの裏話を少ししましょうか。国際郵便約款を熟読して、ネットを使えば効率よくこのサービスを利用出来るのです。