2007年6月12日(火)

『官製模造のバラエティー』

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画像はLot4753と4754及び沿革志用官製模造4種
同じくLot4753と4754は、正に沿革志用の脇付半銭の官製模造が2点並んでました。昔から型録評価は高く、4~5万ですが実勢価は1万位のものです。残っている数とお入用な人の数のバランスで値段は収斂するのです。今回は、4753が1万、4754が7000と付けました。状態の差故の値段です。本来、売れるか、売れないかだけで、それ以外には紛れの要素のないロットです。
でも、「丸ビル・・1000円引き」君は、これに価値を見出すのです。印面と枠・脇文字の間隔が違う。その原因は・・と来るのです。官製模造は、竜1銭・2銭、紅枠2種、脇付2種、封嚢長形2銭イ、飛信逓送2種、書留新聞紙カットの10種です。何れも、正規発行の物とは違う図案を新たに調整し、手彫の凹版で刷ってます。必要最低数は500枚、使用目的の意思はきっちり統一されてます。また、沿革志に於いては、官製模造と、正規品は一切混用されてません。10種の内、紅枠は2色刷り、明治27~29年の調整なら、当然2度刷りになってます。飛信逓送もそうでしょう。竜、封嚢、書留新聞紙は単色の一度刷りでしょう。では、脇付はどうでしょうか。画像は4753・4754です。目で分かる位に、印面と枠の間隔が天地共にずれてます。明瞭に2度刷りだと分かるのです。
500枚(一応は)の調整数なので、どの位のバラエティーが出てくるか分かりませんが、紅枠と脇付は数を並べて比較する価値が有るのではないでしょうか。版の違いでなく、刷りの段階での変化なので派手さを並べるしか手はないのですが、それでも、官製模造でも新たな楽しみが見つかるのです。
この前提で、彼がやって来るのを待ってました。手持ちの沿革志剥がしのステーショナリーと幾つかのコピーを揃えて、先方も当然、手持ちの物を持ってくるはずなので、そこそこのデータの集積が出来るでしょう。脇無半銭トが3版流用の異種版、1銭ヌの兄弟、沿革志の脇付半銭ニが2度刷りであるのは簡単に確認できました。でも、先方が持ってきた「官製模造」と私が準備した「官製模造」の雰囲気が違うのです。紅枠も脇付も半銭はニで1銭はイ、1銭は桜の芯に小さい点が有る。印面も、規則書も全て一緒、でも、並べると違うのです。紙質は同じだけど、刷り上りの色が違う。私の沿革志のものは「クリーム色」、ウーロン茶君の物は、少し黄みおび、だがより白さが勝り、刷り上りは鮮やかで、半銭トと1銭ヌの物にそっくりです。紅枠・脇付・脇無を6種並べると、見事なまでにと統一性が見て取れます。同じ時期に同じ目的で作ったものでしょう。
半銭イ、1銭ヌが輸出用なら、他の4種もそうなのです。原版が沿革志と共通の手彫なので、まやかし物ではないでしょう。でも、紙が違うので、沿革志そのものでないはないし、印刷時期も後のはず。ここまで考えて、甦ってきた記憶が有るのです。つい最近、同じ物を自分の在庫で一杯見た。6種セットで値段を付けてバザールで○千円で売っていた、「模造の二つ折の6種セット」です。随分前にアメリカから買ったロットに束であった物、迷うことなく模造として評価していたものでした。大急ぎで探さなくては。  次回に続く・・・。