2006年12月28日(木)

「郵便種別」
仕事柄なのでしょうか、郵便・切手に絡んだ情報やお問い合わせを各方面から頂きます。直近の話題は、「料金別納」に切手が使えなくなる?という噂についてです。今開催中の大阪の催事でも、それに関する話が随分出てました。近々その発表があるので、切手の「引き」の相場が暴落する。売るなら今の内みたいな話です。
複数ルートから入ってきた情報を精査すれば全体像も見えてきます。未確定の、近くない将来の方向性を推理するのは無意味なのでやめましょう。判っているのは、郵政の現場には既に通達は下りてます。報道発表と一般顧客への通知は年明け直ぐになりますが、その内容は「広告郵便物」「区分郵便物」の郵便料金納付の形態から、「料金別納=切手納付」を除くというものです。現状では、同一差出人からの差出の都度の料金支払方法は「料金別納」「料金後納」「料金計器別納」の三手段ですがこの内の「料金別納」がなくなるのです。現金納付はどうなるかは、調べてません。
ここで、まず問題になるのは、「広告郵便」「区分郵便」の定義です。釈迦に説法的になる解説は除きますが、両方とも「第一種・第二種郵便物」の内の、内容および、差出形態により、料金を特別に割り引かれた郵便物を示します。「広告郵便」は「商品の広告」「役務の広告」「営業活動に関する広告」が内容で、同時差出2000通以上が条件です。「区分郵便物」は事前に郵便区番号ごとに区分された郵便物で、これも同時差出2000通以上です。この双方は、個別差出より料金が割り引かれ、通数・バーコードに有無等で細かく料金が設定されてます。個々の郵便物に切手を貼ることはできません。現状でも、この二形態には、支払い手段の制限が掛かってました。人的事故や窓口での料金計算の煩雑さを除く為に、当局としては、切手での別納納付は歓迎できないのでしょうか。ただ、郵便サービスの提供への前払い証紙としては切手は現金と同じ効力を有します。今回の措置に至る、当局上層部の意思は聞けませんが、はっきり現れてくる現象としては、この事実の公表が年明け直ぐ、実施は7月からになるのです。
実際に郵趣マーケットへの影響は今の時点では定かでは有りません。ただ、「別納納付」の内、今出来ていて、来年7月から出来ないのは一種・二種の一部のサービスだけなのです。別納自体は10部(通)以上なら、殆どの郵便で出来ますし、小包・EMSは1通から出来るのです。かつてなら、選挙が近づけば、政治献金の裏金作りの為に企業が通信費で落とした切手を金券ルートに流すので「引き」の分率が下がる・・みたいな話も有りました。事実か否かは知りませんし、今は、ネットでの情報開示が進んだ為、「引き屋」さんの競争が激しくて、レートが随分上がってます。末端のユーザーさんは、割引料金で契約して、さらにはその納付に現金ならば100で渡す物を、96で買えるなら当然その手段をとるでしょう。切手の効力の考えた方が「UPU]の枠を超えてまで変化しない限りはこの商売は続くでしょう。
「引き」の商売は、何段階か通るので、それぞれが数パーセントの利を得られる「ニッチ」ビジネスです。即現金での堅い商売なのですが、郵便制度の内の、切手の流通の中ではそれ程のボリュームとも思えないのです。今回の制度の変更は、この流れの中ではプラスにはなりません。ただ、「引き」の末端=最終ユーザーで、どれだけの該当者が居るのかははっきりとは見えてません。金融商品として思惑があって切手を使うのなら別ですが、郵趣の世界にある、記念切手程度なら、十分に吸収できるニッチの需要は有ると思います。ことは、7月というより、民営化した後の、追加の措置が出るか否かで違って来るでしょうが、取り合えずのところは、物凄く影響が出て、「額面保証」の記念切手の「引き」の相場が暴落するということは無い筈です。不確かな情報への過剰反応はされなくて良いと思います。